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私ものってみた!福祉と日本語教育のかけはしになるのに失敗した話⇒【企画】日本語業界のきっかけ


私は9年目の日本語教師です。


昔は福祉業界にべったりでした。
専門は高齢者福祉です。


英国の高齢者福祉を学びたいと思い渡英し、
住み込みでナーシングホームの介護士を
経験しました。


年がばれてしまいますが
(自称24歳なのですが...)、
20年ほど前のことです。


私はSurrey州のCamberleyという場所の
ナーシングホームに勤めていたのですが、
田舎のため町を歩いていても
外国人などあまり見かけないような
ところでした。


しかしながら、
イギリスの看護師・介護士は
既に何と、その3分の2が外国人でした。


そのナーシングホームには、
他にも海外から来た住み込みの
介護士、看護師が働いていました。


20代前半の頃...。
何が起こるか、お分かりですね。


そう、私はそのうちの一人の男性看護師と
恋仲になりました。


きゃ~っ!!!


彼はフィリピン人で、
大学を何年も飛び級をした
非常に頭の良く真面目な
4歳年下くんでした。
(この頃から年下喰い。ぱくぱく)


英語はもちろん、フランス語も堪能で
日本語も少しだけ出来ました。


よく仕事でも一緒に行動することが
ありました。
お年寄りには物腰穏やか
言動もスマートで、
典型的な「いい人」でした。


そんな穏やかな彼は、よく怒っていました。
イギリスの外国人を雇う
システムに対してです。


イギリスでは当時、国籍によって
給料が決まっていました。
つまり、大変有能な職員でも、
外国人であれば
イギリス人職員の給料を
上回ることはできないのです。


それはかなり詳細に決まっていました。


例えばインド人は真面目で有名ですが、
彼らの給料はフィリピン人より下でした。


更に、彼は労働時間のことでも
憤慨していました。


イギリス人介護士は、通常、
週に36時間勤務でした。


これでは到底、人が足りません。


そのため、フィリピン人看護師・介護士は
週に52時間も働いていました。


アジア人が身体の重いイギリス人の
看護・介護をするのは
それは大変なことです。
体重だけで2倍はあることも
少なくないのですから。


当然彼は肩を壊し、通院していました。


そんな彼が私に言ったことが、
今でも忘れられません。


20年前です。
EPA(経済連携協定)なぞ日本人は誰も
知らなかった頃の話です。


「日本もそのうち、
 僕たちを【輸入】しはじめる。
 だけど、日本人は、どうか
 イギリス人のように
 僕たちを扱わないで欲しい。
 給料は正当に。
 労働時間も正当に。
 僕たちは、奴隷じゃない」


帰国して日本で再び
福祉の仕事をしていると、
彼が言ったように
日本でも外国人看護師・介護士を
【輸入】しはじめました。


私は注意深く、彼らの状況を見ていました。


日本では、給料形態は【表向き】は
日本人と同等。
労働時間も【表向き】は日本人と同等。


でも、外国人介護士・看護師には
大変な問題がありました。


それが、「ことばの問題」です。


技術があっても、心があっても、 
日本語が出来ないと働くのは無理です。
精神的なストレスも
並大抵のものではありません。


でも、そこに十分な支援はありません。


外国人介護士・看護師が雇われた先で
多忙極める職員が
ボランティア的に日本語を教えているのが
現状でした。


圧倒的に、彼らに日本語を教える人材が、
いない。


これは、ある意味
給料に差別があることより酷いのでは?
労働時間が過酷なことより酷いのでは?


そう思って、日本語教師になりました。

(以前のnoteでも話したように
 福祉職に燃え尽きたのもありますが)


最初は外国人向けホームヘルパー養成講座で
教えていました。
でもここは閉鎖されました。


掛け持ちで福祉の専門学校でも
社会福祉概論を教えていました。
私が現在でも働いている学校です。


こちらもカリキュラムを変更して
福祉を教えることはなくなりました。


更に、大手在宅介護業界の
語学スクールで
福祉の日本語に参入するかも?
ということで採用され
教えていましたが、
こちらも閉鎖されました。


私は今は専門学校で、
ビジネスや日本語を教えています。


時々、企業研修などで日本人に
日本語を教えることもあります。


福祉の日本語は、
それは長いあいだがむしゃらに泥臭く
しがみつこうとしていましたが、
諦めました。


もう、風が変わってしまいました。
福祉業界にいた時に身体を酷く壊し、
精神的なダメージも大きかったので、
無理に固執するような意識が
無くなってしまいました。


ご縁があれば、またやるかもしれませんが、
今は担当した学生たちを
コロナ禍でも極力上に連れて行けるよう
毎日悩みつつ教えています。



この記事は、こちらの企画に参加するために
書きました。↓

素敵な企画、ありがとうございます!



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