屋上同好会とエトセトラ(0)

0.りーんごーんらーんごーん。

と、威風堂々としたグレート・セント・メアリー教会のそればりのチャイムが鳴り響く。1日の授業の終わりを告げるものだ。それと同時に、生徒たちはみな、それぞれ動き出す。ただシンプルに帰路についたり、あるいは放課後の体育館裏で愛の告白をしたり。はたまたバカな男子集団が女子のスカートというスカートを捲ってまわったり。校舎内ははちゃめちゃにわちゃわちゃとしていた。

そんな中に1人、トボトボと歩く少し小さな男子生徒が居た。
極力誰にも絡まれないように、できる限りの猫背、できる限りの暗い表情、できる限りの独り言、できる限りの"近づいてくるなオーラ"、できる限りのエトセトラ。
その男子生徒は、その誰をも寄せ付けさせない雰囲気をずーっと醸し出しながら、学園の階段をただずーっと上っていく。
そうして、あるドアの前で立ち止まった。そのドアには、こう書かれている。
"この先屋上
飛び降り禁止"
男子生徒は慣れた様にその文字を一瞥してから、重そうなドアノブに手をかけて、ギギギィ…と重々しい音をたてながらドアを開ける。

学園の屋上。
煉瓦造りの校舎の屋上は、まるでダンスホールかの様な広さだった。
春風の吹く清々しいこの屋上に、なぜこんな陰鬱な男子生徒が来るのか、というと…

「"大江(おおえ)先輩"、おはようございまス。」
「今は何時だ"海乃(うみの)"よ…」

この男子生徒、"大江 少彦(おおえ すくひこ)"と、その前に立つ長身の女生徒、"海乃 桃(うみの もも)"の2人からなる、"屋上同好会"の活動の為である。

「今日も初めまスよ、先輩。」
「何をだよ…」

今日も、"屋上同好会"の不思議な活動が始まる。


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https://note.com/mioao551888/n/n985af1323c5c

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