見出し画像

健康関係小ネタシリーズその2・・・大豆ってイソフラボン以外にもいろいろとあります。

先月参加した「腸内細菌学会」でいろいろと基礎研究部門や、様々な分析、粘膜免疫についてなどなどいろいろと勉強になったのですが、臨床医としては食事や食材に親しみを持ちやすくするための小ネタもしいれております。

小ネタはお仕事のため以外にも自分のモチベーションをあげるのにも

自己肯定感を強めたりに使うもので、その内容に命をかけて調子崩す的な話にはせず、自分のやっていることをこれってやっぱりやっていていいよねという都合良い自己肯定をするのに使います。実際、正しいかどうかは食や栄養に関してはある程度年数が必要。なので本当に真偽を問うのにはかなりの年月が必要で、それまで私は待つわけにはいきませんから、ある程度の整合性があれば自分の使いやすい手段で多分からだによいだろうというものを集めたりしています。
そういった小ネタ・・・そのなかの一つが大豆関連。

腸活の優等生

腸内細菌叢と大豆の関わりは私たちにいろいろな恩恵を与えてくれます。
大豆の「食物繊維」「オリゴ糖」などの成分で腸活食材の優等生です。
そして大豆イソフラボンをうまく分解できる腸内細菌叢を持つ女性はエクオールという更年期対策に有効な物質をつくれます。

そして何より大豆は「豆腐」「納豆」「油揚げ」「高野豆腐」「おから」「豆乳」「湯葉」「味噌」「醤油」と和食にはなくてはならない、私たちにとっては身近な食材で、それだけに活用もしやすいものです。

コーヒーとの相性

今回、大豆ではいつもとちょっとかわった切り口の研究がありました。
マウスの実験なので人でどうかは分かりませんが、題名は「イソフラボン添加食を給餌した閉経モデルマウスにおける肝臓脂質、ポリフェノールの代謝および腸内細菌叢に及ぼすコーヒー投与の影響」というものです。
結果の一つにNf-kbの発現の問題とかいろいろ書かれています(このNf-kbってちょっとややこしいので私では上手く説明できません)。さらには腸内環境に変化が出る、排泄される物質の濃度が変わる・・・などなどあり、結論として「閉経モデルマウスのイソフラボン含有食に比較的高濃度のコーヒーを加えると肝臓の脂質代謝の改善や炎症の抑制ができるんじゃないかなあ」といった話でした。
「比較的高濃度」てのが問題ですが、閉経以降の女性は一様に肝臓の脂質代謝がそれ以前に比べて落ちてしまうので、意味あるかは分かりませんがコーヒー好き、特に植物性ミルク派の私としては「体によい」的なきもちでソイラテをいただけるのは良いなあと思った次第です・・・これって精神衛生上とてもよいですわ♫

αGPC

これは腸内細菌学会ではなくて疲労学会関連のお話です
ようするに大豆に含まれるαGPCが抗炎症効果がある・・・という報告。

抗炎症効果ってそんなに意味があるのかと考えられるかもしれませんが、炎症は単に「虫垂炎」とか「肺炎」だけでなく様々な疾患に関わり、時に原因となります。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられています。これらの疾患が「酸化」と関係あることも知られています。
これは当然なことで、炎症反応の課程で酸化ストレスが発生しますし、酸化ストレスは炎症反応を増悪させます。・・・そう「炎症」と「酸化」は切っても切れない関係なのです。
例えば、動脈硬化では、動脈壁における慢性炎症がLDLコレステロールの酸化的修飾を引き起こし、プラーク形成と心血管の症状(心筋梗塞など)がおきます。
生物の寿命は「抗酸化力」の強さに関わると以前聞いたことがあります。酸素を使ってエネルギーを作っているからには体は酸化とは無縁ではいられません。そのあたり炎症を起こしにくくする、無理な酸化を体に与えないようにするためには「抗酸化力」高める工夫が大切だと思います。

話は戻りますが、というわけでαGPCが「疲労学会」でどのように発表されていたかです。
検討対象の疾患は筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は強い倦怠感、微熱、頭痛、筋力低下、睡眠障害などの症状で日常生活が著しく損なわれる慢性疾患です。
いまのところ治療法は確定していない状態ですが、いろいろな意味でのストレスの関連が原因または悪化させる因子だろうと考えられているため休養、リラクセーションなどが治療の組み込まれることが多いようです。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)で使用される漢方には補剤という疲れを取るタイプ、体力を付けるタイプが多いのですが、細菌ではウイルス感染や慢性炎症が関わっている疾患と考えられていることから漢方分野でも慢性的な熱・・慢性炎症、を想定して「溫病」の考え方の処方が使われることもあります。
今回検討されていた大豆のαGPCは経口でも血液脳関門を通過し脳内に移行し、且つ、炎症性マーカー(IL6など)を押さえることができると報告されていて・・・つまり大豆製品は脳のオーバーヒート対策にもいいかも・・なんか言い方が適切でないかもだけど・・・というイメージのお話かな?。

食に関する話は複雑で長い目で見るといろいろと変わってくるので栄養素の話を絶対視はしていません。実際は私は「栄養素」は食の話をするためのきっかけとして使っています。最終的には体を養い、いたわるものとして、栄養素ではなくて「食物」全体を大切にしたいと思っています。
なので長い年月の経験、日本という地域と気候(これからは少し異常気象があるので工夫しなくてはいけないかもしれなせんが)、日本人という人種(人種が違う場合は当然食の視点も変えるべきなので)で作り上げられてきた食養生を社会環境や、気候の変動に合わせて活用すべきだと考えます。
サプリメントは私にとって「薬剤」の代わりになる、薬剤を減量するツールという位置づけかもしれません。
クリニックで漢方を処方するのも、漢方は日本人が大陸から入った知識を日本独自にくみ上げて「日本人向け」に作ったものだから使いやすいからです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?