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385.向いてないけど、やろう


まだ20代だった頃、転職の際になにかしらの「人格診断」のようなテストを受けたことがあった。

わたしは自分でも特に変わったところのないふつうの人間だと思っていたので、取り立てて問題ないだろうとたかを括っていたら、わたしを正社員にと引っ張ってくれた前職の上司(その人とのご縁で転職のオファーをいただいたのだ)との採用面談の際に「うわあ、あなたチームワーク力の判定、Dだわ〜。俺、けっこうたくさん診断結果見てきたけど、チームワーク力でD判定出た人初めてみた。チームでなにかするのはむり?」と言われたことを思い出した。

やべえ、転職の話は反故か?と焦ったけれど、なんとかうまいこと言ったかやったかしたのだろう、無事に転職できた。けれど、けっこう自分でもびっくりしたのだ。え?その判定アテにならないんじゃないですか?わたし従順にうまくやれる方ですけど?みたいな。

でも今ならわかる。わたしは完全に自分で決めて自分ひとりで動くタイプだし、逆にいえば自分だけで決められないことや進められないことに手を出さない。グループ単位で動かないし、チームプレーもしないのだ。というか、できない。というか、必要性を感じない(かろうじて子どもアリの結婚生活はチームプレーだなと思うが)。

そしてそれに不都合って感じなかった。今までもひとりでやってきた。だからこれからもひとりでやっていくのでしょう、という感じで。

でも、自分の今の流れやここ最近の出来事を見ていたら、どうもそうではなさそうだ。わたしは向き不向きでいえばひとりで動く方が向いている。けれども、向いていることばかりやればいいってもんでもないし、向いていないことでもやる価値のあることだったら、やろう。そんな気持ちになってきている。


BTSのことをよく考える(というかいつでも考えている)。

ジンくんを見出したのは事務所だけれど、当時のジンくんはきっとアイドルに向いているかいないかといったら「ビジュアルと歌は向いているけど、ダンスは向いていない」という評価だっただろうな、と思う。ナムジュンにしても「カリスマ性と才能は計りしれない器でいずれ世に出ることは間違いないだろうけれど、超アイドル向き!というカテゴリではない」というのが、まあ多数だったのではないかと推察する。

これはわたしの永遠の謎なんだけど、なぜパンPDは「向き不向きで言えば、向いていない」気がする方向性へ思い切って舵を切ったのだろう。ヒップホップとアイドルを掛け合わせるという一見矛盾した、どこか不穏さのあるクリエイトへと、どういう確信のもと舵を切ったのだろうと考えてしまう。

きっと、矛盾とか不穏とか、予定調和ではない要素というものが、大きな躍進へのエッセンスとしてとても重要だということを彼は感覚的にわかっている人なんじゃないかな。

わたしはメンバーの中ではいちばんキム・ソクジンという人に惹かれるけれど、それは彼が内側に秘めている矛盾と葛藤と、外側にいかんなく発揮されている育ちのいい人だけが持つ独特の”人としての明るい品性”みたいなものが絶妙にブレンドされている人だからだ。

彼はどう見ても向いていないことを10年以上かけてやり続け、たぶん人知れず愚直に努力し続けて、プロとしてのレベルまで進化させてきた人だ。それがわたしに見えるジンくんの美しさのコアの部分だ。
ジンくんがジョングクくらいにビジュアルも歌もダンスもこなせて、アイドルになるために生まれてきたような男の子だったら、それはそれで魅力的だろうけれどわたしが今、どうしようもなく惹かれるあの、”右半身は太陽で左半身は月”のような相反する複雑な光の放ち方は、きっとしていないだろうと思う。

そしてほんとうに心から痛くて痛くてたまらない思いをしたひとだけが持ちうる、深みのある優しい銀色の歌声も、持ち得なかったのではないかな。

向いてない、けどやるしかない。
やるしかない、けど向いてない。

という果てしなく続く不穏な矛盾とともに10年間走り続けてきて、今なおもっと遠くへ行こうとしている彼の姿に、自分の姿を重ねて見ている。そう、だから、彼がわたしのナンバーワンなんだ。

好きなことだけ、向いてることだけすればいいよ、という意見もきっとあるよね。ていうかなんとなく昨今では主流だろう。
でもわたしはそうは思わない。そんなのつまらなくなるだけだ。そんなのただの言い訳だ。

わたしにはやるべきことがあるし、それは”なされるに値するもの”だ。
そのためだったら、向いていないことだってやるし、なんならその中には好きではないことだっていくらでも含まれているけれど、そんなのかまうもんかって思う。

わたしはチームプレーも、グループ単位で動くことも、仲間という関係性を上手に保っていくことも、ぜんぜん向いてない。そんな才覚はないのだ。ドライで身勝手だから。

けれど、あえてやってみたいし、やれるチャンスを神さまがくれているのかもしれないなって思う。


ジンくんはきっと「確かに自分にダンスは向いてないな」ってもちろん知っていると思う。けれど、彼は”なされるに値するもの”のほうを見ているひとだ。


「できるだけ長く、この素晴らしいひとたちと、こうして一緒にいられることを願っている」

って、いつでもそう言っているから。
そのために彼は、向き不向きや好き嫌いやあらゆる制限を超えて、選ぶべきたったひとつの道を選び続けていくのだろう。これからもきっと。


「わたしにこれって向いてますか?」とか「これをやったらうまくいきますか?」とか「これをしたらわたしが求める人生が与えられますか?」なんてもう聞かないことにしよう。明らかに向いていなくても、うまくいくかどうかなんてさっぱりわからないとしても。
”自分が求めるもの”を与えられる人生をぼんやりのぞむのではなく、

”人生が、自分に求めていること”に、応えていける道を選びたい。



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