184.わたしの内側はだいじょうぶ
もうこれからはみんな、自分を、”自分の内側のほんとう”だけを、拠りどころにすればいいと心から思っているので「もうカリスマの時代はおしまいです」と感じている。
そしてカリスマにも人気者にもまったく興味のないわたしですが、たとえばつうりさんのような「明晰な魂と声の持ち主」の言葉にはいつでも真摯に耳を傾けていたい。つうりさんのこの記事が読めたわたしは幸せだし、去年の1年間ずっと、彼のスクールでお仕事ができた経験がなかったら、いまのわたしはいなかったと断言できる。つうり兄貴、いつもありがとう(Facebookの大山奇譚サイコーです....!ぜひnoteで連載を....!)。
ちなみに、なかなか好評なこのnoteのわたしのプロフ写真は、つうりさんが撮影してくれたのでした。みんなでスクールが終わったあとに居酒屋行ってビール飲んで、お店から出禁になりそうなほどえげつない下ネタばかり話していた日々がなつかしいな!
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今日はとても天気が良かったので「とにかく午前中に仕事を終わらせる」「午後はちょっとでもいいからお散歩をする」「映画を1本観る」「夜ごはんは水餃子鍋」というポイントだけ決めて過ごすことにした。完全オフだったら、温泉とかに行きたかったなあ。
それでも、仕事ができて映画が観られてお散歩ができて、みんなが「食べるのが楽しみ!」と思えるごはんがつくれる1日だったので幸せを感じながら過ごしていた。やっぱりいろんなことがあるからいろんな気持ちになるけれど、そういうときは心の中でおまじないを唱える。
「わたしの内側はだいじょうぶ」
って。なにがあってもなにがなくても、どんなときでもとにかく。わたしの、内側は、だいじょうぶ。
出典は『ハチ公の最後の恋人』(吉本ばなな)だったかな。アレッサンドロの恋人のミキちゃんが唱えていた言葉だった。いっぱいいじわるをされるけれど、いいの気にしない。そんなときはいつも心の中でこう言うのよ。わたしの内側はだいじょうぶ。
「あなたの部屋に置いてある本を、持って帰ってちょうだいよ。いま、終活中なんだから」なんて母に言われてしまい、少しずつ、山のように置いてきてしまった実家の本を回収している。車で10分ほどの距離なので、紙袋に入るくらいのものを少しずつ。親が終活をしているだなんて、泣きそうになってしまう。彼らの前ではわたしはただの甘ったれのひとりっ子なので、どこかで本気で信じることができない。彼らがもう高齢で、そう遠くない未来にわたしを置いて、この世からいなくなってしまう可能性のほうが、大きいだなんて。
そんな日がくるなんて(もちろん、わたしが明日ぽっくりと死ぬ可能性も否めないけれども)。
本はだいたいカバーがかかっていたので、内容も見ずにざっくり持って帰ってきてみたら、こんなラインナップだった。
村上春樹、吉本ばなな、ル=グウィン、野口晴哉、菊地成孔.....。うう、15年前から読む本が変わっていないことにびっくりだ。なつかしい!と思ったのはフラのサンディー先生の本と、雀鬼こと桜井会長の本、あとは糸井重里が監修した非売品の『ゲドを読む』だろうか。ねじまき鳥もそうとうなつかしいけど。
よそのおうちに行ってそのひとの本棚を見ると、本棚はその本人以上に雄弁に本人のことを語ってくれたりする。
この頃のわたしの本棚のラインナップは、当時のわたしについて語ってくれているようだと思った。なんていうか、自分がだれなのか、どうやって生きていけばいいのか、自分の心と魂をこの人生でいったいどうやって表現していけばいいのか、知りたくて知りたくて、でもぜんぜんわからなくて必死で、まちがえてばかりでなにもうまくいかなかったけれど、でも、一生懸命だった。
その頃のわたしの声が聴こえてきそう、と思いながらテーブルに広げて眺めていた。いやあ、それにしても久々に読み返した雀鬼にはやっぱりしびれるわ〜。男だったら雀鬼会に入りたかったぜ、とか思いながらパラパラとページをめくっていたら、こんな言葉が書かれていた。
わが道を生きるとは、
われを見捨てず、われを人任せにせず、
自分の内面を心を想いを大切にし、
われを知ることにある。
楽しい人生というのは、そんなところにあるのではないだろうか。
そして、このフレーズに横線が引いてあった。
当時のわたしがどんな思いで、このフレーズに目を止めたのか、なにに悩んで、なにを探していたのか、いまとなっては思い出せないのだけれど。
あの頃のわたしも、ある種の言葉の中にだけ存在している大切な響きに、耳を傾けていたんだろうな。
まちがえてばかりでいつでも心細かったけど、それでもやっぱりどこかで信じていたのかもしれない。「わたしの内側はだいじょうぶ」って。
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