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民話で独りコラム~まず日本語から~

 木曜日の朝のロシアによるウクライナ侵攻から数日。あまりの展開模様に、「まさか」と「やっぱり」が交差してしばらく呆然として何も手につかない状態でしたが、とりあえず今自分達にできることはやりました。まだ、やれることもあります。
 状況を追いつつ、自分達ができる限りの援助をつづけながら、ここでの日常に戻りたいと思います。

 ただ、一つだけ確信したのは、有事には他国の援助約束なんて、そんじょそこらのメモ用紙より役に立たない紙っ切れで、いっそうのこと裏に落書きしてもいいレベルなんじゃないかと。最後に国を守るのはそこの国民だけなんだと、しみじみ感じ入りました


 さてさて、前回の「民話がわからない子供たち」の話をさらに発展させてくれた記事がありました。とても知的好奇心が刺激される内容ですので、是非お目通しを。


『言葉の話』ついでに、今回は私の思い出話を少々。

 
 時々「子供なら耳からすぐ覚えるから、小さいころから沢山外国語に触れされないと!」と頑張る親御さんがいます。

 いいんです。もし、子供の環境が普通に2か国語がある状態(両親の母語が違う)とか、家で話している言葉と住んでいる国の言葉が違うなど、そのような状況なら私もウンウン、と頷いてしまいます。

 でも、もし、その子供が母語のみの生活が通常だというなら、私は母語の語彙をまず増やしてあげてほしいと思ってます。外国のお話を読むなら、まず日本の昔話でも読んであげてほしい。

  私から日本語を、父親からはポーランド語を聞きながら、ドイツの幼稚園に通った我が家の子供たち。今思えばちょっとかわいそうなことをした、と反省中なのです。

  もともとの、語学能力の高かったとみられる娘はそれなりの幼稚園生活を営んだと思いますが、言語が混乱した息子は医者とも相談し、最終的にドイツの幼稚園を辞めました。(いろいろなドラマはありましたが、ここでは割愛)

 ドイツに永住するつもりがなかったので、その時点でその言語を切り捨てました。まぁ、それでも同年齢の子供たちと遊ばしてやるために、ドイツにいるポーランド人の子供用の土曜教室や集まりに、車で出かけてましたけどね。

 遊べる同じぐらいの年齢の日本人の子供が近くにいなかったので、ポーランドに移る前までは私と1日中日本語で会話。

 とにかく話して、話させて、とやっていました。

 その後、ポーランドに移動し2人ともポーランドの学校制度のカリキュラムに沿って歩んでいくのですが・・・面白いことに、2人ともポーランド語と英語は問題なくマスターしたのですが、最終的な言葉の幅は息子のほうが広かった。

 これを「言語能力」という視点で採点すると、更に(読み書き以外の)日本語をほぼ自由に操れる娘のほうが高いのですが「言語知識」でいくと前の2か国語だけでいうなら、息子のほうが点数が高い。微妙なニュアンスの違いのある言葉を適格に選び取る能力が高かったので、彼の国語の成績は娘よりよかったのです。

 まぁ、我が家の一例だから「だからどうした」と言われたらそれまでなんですが、核となる、思考できる言葉がきちんと確立すれば外国語もそれについてくるから、まず、核となる母語をしっかりと育ててあげてほしいなぁ、と思ってます。

 そこを一気に、まとめて情報を流し込むとどれもこれも中途半端になり、脳内処理ができなくなる可能性が非常に高くなります。欧州内で、数か国語ができる人がいるのは事実です。でも、どの言葉も同じレベルで使いこなせる人はそう多くないですし、それが同じ系統の言語でない場合はさらにその確率は下がります。

 我が家の場合は、息子の「核」となる言葉は日本語からポーランド語に切り替わったのでしょうが、とにかく一つの言語がしっかり身につけば次はついてくる、と思っています。


 ちなみに、日本に出かけると娘はすぐに日本語に切り替わりますが息子は切り替えに数日要します。その数日間は実に静かに周りの話を聞くだけに徹しているのですが、それが過ぎると「暴れん坊将軍の時間だね」といそいそとテレビの前を陣取ったり(時代劇が好み)「おば~ちゃん、買い物に行きましょう~ 荷物僕が持つよ~」と、ばあさまを喜ばせる一言を忘れないゴマすりの上手な日本語が上手な孫に変身します。


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