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民話で独りコラム ~省かれる真実~


 これ、民話に関連するコラム、、、なのですが、なんだかこの秋から自分の生活が民話の世界をそのまま体現してしまいそうな勢いです。

 ヨーロッパのエネルギー不足、というとなんだか話のスケールが大きすぎて一般の人は「はぁ、、、」と聞き流してしまうそうになりますが、そのエネルギー不足のおかげで電気、ガス、水道代とライフラインに直結するものがガンガン値上がりを続けています。

 さらに、ロシアが「ガスパイプの修理が必要だからヨーロッパにガスを送れません」という建前で、早い話が「ヨーロッパにガスはやらねぇよ」(まぁ、、、これはこれで、ロシアの立場から言えば敵対するところにガスをやる義理はないわよね、とその決定を驚きはしない)と言ったので、この冬はガス暖房すると破壊的な請求書が届く、、、かそもそもガスが届くのか不明。そのうえ、このポーランドの冬に何かしらの暖房措置を取らないと凍死する、ということでだいぶ前から暖房用の石炭の争奪戦が始まっています。そして暖炉にくべる薪の戦いもすごい。

今年の薪の争奪戦の戦利品。これともう二つ、薪置き場があります。東欧の冬、なめたらアカン。

 我が家は親戚筋に、薪を売ってくれるところがあり市場価格の3分の1で買い付けました。(ガソリン代をたっぷり払いましたが、近々よいウォッカでも買って持っていかないと・・・)先週の土曜日、朝から庭先にトラックがつけられ、ドカドカと薪がばら撒かれたのですがその薪は一刻も早く敷地内に放り込まなければいけません。というのも、いま薪の盗難もすごくてこの親戚宅でも既に3人泥棒をつきだしているそうで(そのうちの一人がご近所さんだったというのが泣けてくる)、我が家もこのまま柵の外に置いておくと持っていかれるかもしれない、ということでひとまず薪を敷地の中に放り込むところから開始。
 
 それを始めると、あちらこちらから近所の人が出てきて、『どこで買ったのか』、『いくらだったか』と質問が始まり最後は「きー羨ましい、うちもそんな親戚が欲しい」と。たまたま車でその道を通った人たちも車を止めて質問してくる有様。
 今、買いたくてもなかなか売っていないのです。
 たとえ売っていたとしても、薪も石炭も眼の飛び出るような値段になっています。
 
 敷地内に放り込まれる薪ですぐに暖炉に入る大きさのものは、私がすぐに薪を置く場所に積み上げていきます。薪は乾燥した状態にしておかないと燃えないので屋根のある薪置き場に積み上げ作業。
 ひとまず薪を敷地の中に入れると、今度は大きすぎて暖炉の中に入らなそうなものは、斧でわらなければなりません。はい、旦那の仕事。
 もぉ、民話で暖炉の火にあたりながら優雅に茶を飲んでいる、じいさま、ばあさまの話。この優雅な状態へ行きつく前の肉体労働の描写は見事に省かれてますね。

Janina Porazińska " ZA GÓRAMI ZA LASAMI" より拝借

 上の絵のような、こんな牧歌的な秋の風景の裏では迎える冬のための猛烈な肉体労働が繰り広げられているのでした。

 翌日、腕と腰に違和感を感じた小梅なのでした・・・。


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