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それぞれの岐路


先日、機会があって八王子まで出向いた。

会場でもらったチラシ

八王子 Short Film 映画祭のセレクション上映会を観に行った。コニシユカさんという日頃仲良くしていただいている方が「リスケ」の劇伴を担当されており、これは観に行かなければ!とずっと狙っていて。これまでの開催場所が北海道や名古屋、長野などの遠方だったので、家族を放って飛び出すわけにも行かず…今回の八王子が観に行ける最後のチャンス。観に行くことができて本当によかった。

「リスケ」と「ラの#に恋をして」の監督も同席しており、映画終了後に作品の思いを生の声で聞くことができたのは、とても貴重で贅沢な時間だった。それぞれのこだわりや、視聴者にどう投げ掛けるか、制作に対する姿勢など多く気付きを得ることができた。

日頃ドラマは全く観ないが、映画はたまに観る程度で、今回のショートフィルムは初めて。軒並み映画を漁ったわけではないので評論家のようなコメントは慎むが、体感として、短い時間にも関わらず、2時間超えの映画にも勝るような濃いストーリーがあって、とてもよかった。構成がいいものはその時間以上に観ているような感覚になるので不思議だ。

リスケについて。元々恋人同士だった男二人のうち、片方が結婚することに。人生の岐路に立たされたカメラマンの主人公、まだ好きなのに、元恋人が結婚、おまけに写真を撮って欲しいと。映画を観始めた頃は、勝手に幸せになったくせにお前も幸せになれよなんて相手の無神経さに怒りを覚えたが…実はそれは強がりで、本当は心の底から心配していたのだった。その優しさと強がりのギャップが個人的にストライクすぎて、川辺のシーンで涙腺崩壊。主人公と一緒にうわあああと泣いた。バカヤロー!!(叫)


本当にこの選択でよかったのか、他にも手段があったのではないか…そう考えることは、人生においてきっとあり続ける。未練とかでなく、現状の最適解が見つからない時に選んだ道は、何となく不安が募るものだったりする。
リスケとはリスケジュールというビジネス用語から取った、と監督が仰っていた。スケジュールを組み直すことを簡単に言うけれど、果たして人生のスケジュールが狂った時に上手く組み直すことが出来るのだろうか。そして、その道は本当に選んでよかったのだろうかという疑問から、これ以外のタイトル候補はなかったそうだ。

コニシユカさんが担当された劇伴は、シンプルなピアノで少しノイジーな音だった。映画の空気と一体化するように、そして呼吸するように、重く、ゆっくりと要所で鳴る音が印象的だった。


本当は息子を主人に預けて出てくる予定だったが、時間も遅くなるし…と小旅行気分で近くの温泉に寄って、くつろいでから会場へ向かった。
温泉でるんるんになった息子も最初は静かに観ていたが、段々退屈してきたのかリスケをギリギリで最後まで観た後、途中で抜ける形になってしまったので、全作品は観られなかった。でも、私の我儘に付き合い、静かに観てくれた息子のお陰で、とても有意義なひとときを過ごすことができた。感謝。


長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。


tohma

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