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偏見から逃れる為に

今日はちょっと頭の中の整理も兼ねて、取り止めもない感じになっていることをご了承ください。興味のある方はぜひ読み進めていただけると嬉しい。


再構築をテーマに創作を続けているものの、そこでもまた腑に落ちず、迷走する日々が続いている。1月に制作した以下の2つは、再構築を始めたばかりの中では一番上手くいった方で、これを超えるものが作れずに作っては放置、作っては諦め、を繰り返している。

その時、うまい具合に重なった表現は、その時にしか存在しない。思い出して無理やりリンクさせるのとは訳が違う。だから、違う方法で歩んで行った先で偶然同じ場面に出くわした時、昔の自分を超えることができる。それは少なからず成長しているからだと言えるだろう。

My beat はその名の通り、メロディーよりリズムや交わりを意識して制作した曲。心地よいビートを目指して、でもそれは自分が普段から傍にあるような素朴なものだろう?と問いかけながら。
対して Voice はMy beat に足りなかったメロディーの辻褄を合わせるように制作した。この癒し声は、我が息子である。隣駅まで散歩していた時に通った高架下のトンネルで、反響している自分の声が面白かったらしく、しばらくそこにいた。その時にこっそりサンプリングしたもの。いい塩梅で反響している、偶然の産物だ。

この曲は作った後気づいたが、再構築ではない。普段使っているシンセの音をサンプラーに持ってきて、そこで打ち込んだだけ。当時はそれで何か表現方法が見つかるかもしれないと思って取り組んでいたが、やっぱり何かが違う。

完成した曲がない日々が続くと、それもそれで不安になり、ひとまずスケッチを再開。相変わらず放っておくといつもの子守唄のような手癖しか出てこない辺り、引き出しの少なさを痛感したと同時に、自身に過信しすぎていたように思う。

そこで、今日はコードの概念をなくし、音と音の重なりは自分の耳を頼りに心地いいポイントを探すというていで打ち込むことにした。音のスケッチでは展開を考える時間がないので、とっつきやすいループ(点の音)に短7度を重ねて、無機質感を出すことと、中音域のハーモニー(線の音)は4度、5度間で音を重ねて、あとは偶然に任せた。そこにメロディーを入れるのだが、合うような合わないような微妙なポイントを探して打ち込む。放っておくとどこまでも不協和音が続くので、メロディーとのバランスを考えつつ意図的に音を足す。

ここでもうひと工夫。完成させた曲をさらにサンプラーに取り込みカットアップし、足したい音を選び、パンを左右色々に振ってまばらに鳴らしてみた。それはあくまでも機械的且つ演出的な部分なので、私がずっと自分の中で超えたいと思っているのはやはり音楽的な部分。音の重なり、展開、リズム、持続的なものと断続的なものの関係性、ふと垣間見える安寧…等。ずっと不安定な音楽というのは劇伴やアニメなどの演出として効果があっても、音楽として聴いた場合は…?正直聴くに耐えない。私が求めているものが「音」ではなく「音楽」であること。それは、やはり聴き心地や、その空間の居心地の良さみたいなものが根元にあるから、こういう考えに至るのだとは思っている。何かありきの音楽ではなく、音楽そのものを作りたいという自分がいることにも最近ようやく気がついた。

そういう意味で、今日の音のスケッチは悪くない。ようやく何かが見えてきそうな予感がする。楽曲制作の後に描く抽象画は、表現方法の一環として共に継続する。絵については素人なので、やること全てが新鮮に感じるのだが、音楽については長年積み重ねた西洋音楽の概念が知識としてあるせいか、ふとした時にそこに囚われることがよくある。勿論、その中には自身の思い込みによるものも多い。

だから偏らないように考えようとしているのだが、知識の引力とは凄まじいもので、固定観念としてそこに在り続けるのだから、時に恐怖を感じる。それも本来、人が生きていくための防衛本能の一つだろうから逃れることはできない。
じゃあどうするのか、一度でも知識を手に入れようものなら、偏らないために様々な知識を取り込んで中和していく必要がある。
圧倒的な知識量があれば、何でも思い通りにできるのかと問われれば、それは違うと思うが、少なくとも思い通りにいくチャンスは増え、幅は広がる。

気付くのがもっと早ければよかったのか。
いいや、来るべきタイミングで来たに違いない。学生の頃によくわからないままに現代音楽を勉強させられ、アウェーなまま嫌悪感だけを残して過ぎ去ったあの頃の自分と、ようやく繋がるかもしれない。そんなタイミングが来るとは、思いもよらなかっただけに、少し泣きそうになっている。
この答えを、うまく創作に昇華できればいいのだが。いや、やるしかない。


tohma



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