日米で真逆?「お客様は神さまです」
お買い物はお好きですか? アメリカでは「ショップスタッフは神さまです」。早い話、日本の逆。スタッフさんにはディクテイターもいて、欲しくても「売ってもらえない」ことすらあるのです。
私ことmint、初めにびっくりしたのは、ブルーミングデール(デパート)にファンデを買いに行った時。まだ学生ビザの頃で、コスメおたくのクラスメイトが勧めてくれたランコムのカウンターに行きました。すると年配のブロンド女性スタッフは言いました。
「あなたにはファンデでなく、BBクリームのほうがいいわ」。年齢的に難を隠したかった私は「でも、カバー力のあるものが欲しいんです」。彼女は納得顔で、「だったら他のスタッフにも訊いてみましょう」。若いエキゾチックな女性スタッフに手招きしました。
呼ばれた彼女はよくよくmintの顔面を観察してから、「そうね、私もBBのほうがいいと思う。あなたはカバーしない方がいいわ」。
その頃はまだ強く主張するアメリカン・メンタルもなく、勧められた色番を購入。これでメイクして学校に行ったところ、目ざとく気づいた仲良しのアニーが「わあっ、ベースメイク変えたの?!すっごく良い色!」と絶賛してくれました。
このBBがなくなりかけた頃、馴染みの薄いクラスメイトから話しかけられました。「ねえ、ファンデは何を使ってるの? 私も同じのが欲しい!」ちょうど買い足そうと思っていたところだったので、「なら後で一緒に買いに行こうよ」と提案。学校のすぐ側のメイシーズ(デパート)に行きました。
ところが彼女は現物を見てスタッフの説明を聞くと、「じゃあ要らない。私はファンデが欲しかったの」と、さっさと帰ってしまいました。
影響されて、mintもスタッフに言いました。「実は私も、ファンデが欲しかったところを別店舗でこのBBを勧められて。今度はファンデにしようかと思うけど、どうかしら?」と。
答えは3人目スタッフさんも同じ! で、今に至ります。
こうした「強制不売」は、食べ物でもありましたね。mintは日本からの帰還時にジョンFケネディ空港エアトレイン駅のデリで、夕食用にラップサンド※を買う習慣にしています。(※日本のコンビニにあるラップの冷製版的メキシカン・フード) 最初に買って気に入った”チキンファジタ”という種類のひとつ覚え。
ある時「たまには別の種類を」と、外見はほぼ一緒の他種をオーダー。ところがいかつい系の男性スタッフが「それはダメ。チキンファジタじゃないと」。変に思って「どうして? 他のは古いとか?」と冗談ぽく訊いても、彼はただ首をふり「チキンファジタ」と繰り返すばかり。面倒になって言われる通りにしましたが……。
「もぉ〜!」と割り切れない思いで、「次こそは別種を!」と。JFK利用毎にハムチーズなど何種類か試したけど、どうひいき目に見ても、チキンファジタほど美味しいのはない!
……とまあこんな調子で、店員さん権限は強いです。不売とまではいかなくても、上から意見されることはよくあり、それも心地よく感じます。「誇りを持って働いてるんだなぁ」と……。
着るもので今秋の決定版はこちら。分厚い防寒コートの季節までの繋ぎを、近所のアウトレットで物色していた時のことです。
教師風の眼鏡アラフォーマダムがこれ↑に目をつけながらも「XSだから私には小さいわ。ほら、あなただったらピッタリ」とグイグイ来るのです。「さあ、店員さんを呼んであげるから(盗難防止用のワイヤーを外すため)、着てみなさいよ」と。
はあっ?! 派手だし、若作りでしょmintには……。と思いつつも、可愛さに惹かれて「試着ぐらいは」と着てみたが最後。若い店員さんとふたりして ”She’s cute! “を連発され……。←アメリカ流Big Talk。
いえ、今ではこんな場合も「ありがとう、嬉しい!でも趣味じゃない気がするから、ちょっと考えるね」とシラっと逃げるメンタルは育ってます。けど、若作りに言い訳が欲しい「渡りに船」ってこともありますから……。
ところで、「お客様は神さま」は芸の世界で言われた理念↓。mintもミュージシャンなので、「お客様(リスナー様)は全能の審査員だから神さま」ですけど。商業にはTPOが違います。
ただ、mintがニューヨークに来てからの10年で「日本も変わってきたな〜」と実感しています。最初の頃は、日本でレジ係さんに「ありがとう」なんて言う人、見たことなくて。一時帰国での会計時に、うっかりアメリカ流で「ありが……」と言いかけて、いつも気まずかったんですが。→(2016年ごろ)小声で「ありがとう……ございます」→(2021年〜)堂々と「ありがとうございます!」
いずれにしても、スピリチュアル的には「あなたも私も、みんな神さま」だとか。「お客様もショップスタッフさんも、どっちも神さま」??
最後に。
夕べ近所のレコード&雑貨ショップでかかっていた神曲を貼りますね。mintはそのショップで、冒頭の写真と同じロゴのカップを見た時に、まだNY3年目ぐらい。なので、意味がわかりませんでした。(ここまでお読みくださったあなたには、おわかりでしょう!)
“The customer is always wrong.”(客はいつだって間違っている)
スタッフさんに意味を聞こうかと思ったけど、”You’re wrong”と言われそうで怖かったので、黙って買いました。(その素敵な品はコロナ時に日本に持って帰った)
ググったら、どうやら定型句らしく。アメリカの常識!? ロゴカップもいろいろ売ってる……
ということで、「ショップスタッフは神さま」的ミュージックを。ヒッピー風レゲエの’80年代版? 爆音で聴けば世の中どっちでもよくなって、寂しさやむしゃくしゃもスッキリ飛ぶかも!