アメリカ音楽業界の豪華無料イベント in NY
3月10日から夏時間になり、毎日暖かい陽気が続くニューヨーク。今日は2月末に開催された、ASCAP(日本でいうJasrac のような著作権管理団体)主催の無料イベントをレポートします。
ASCAPカンファレンスについては、以前の記事でも書きました。
カンファレンスはハリウッドで2017年に参加。個人セッションで教わった通りに行動した結果、アメリカではほぼ不可能とも言われるレーベルからのアルバムのリリース契約にこぎ着けました。
誰でも参加可能で、有名アーティストや業界スタッフが講師・ナビゲーターとして多数登壇。アメリカ・ショービズに興味あるかたはぜひ!
楽しい思い出もお友だちもできたカンファレンスでしたが……。安くはない参加費に加え、ニューヨークからの移動・宿泊でひと財産が飛んで……。その後はアルバム制作とコロナ禍などで、すっかりご無沙汰のASCAPイベント。
そこに今年になって、ASCAPから地味なメールが来ました。メンバーシップ・ミーティングという無料イベントのお知らせ。ニューヨーク開催なので、なんとなく申し込み、RSVP(予約確保)の自動返信を受け取りました。
けれど、カラフルな講師陣や講座の紹介メールが「これでもか」と次々送られてくるカンファレンスとは大違い。内容が何なのかもわからないし、列席アーティスト名も記載なし。会場すらも、「近くなったらメールします」の一言以来、何の音沙汰もなくて……。
「大丈夫なの?」と思ったまま、ギリギリに届いた会場のリンカーン・センターに向かいました。ところが、フタを開けてびっくり。西海岸カンファレンスに勝るとも劣らない豪華&充実のプログラムでした。
ただし会場は、西海岸のフレンドリーな雰囲気とは別物。半日のイベントということもあってか、名刺交換などで社交をしている人は誰もいません。名刺を持ってなかった私はホッとひと安心。
最新TOP40アーティストや大物らに楽曲提供するソングライターが集結。意見交換をしながら、成功のコツを話してくれました。
右から2番目の女性が新人の頃「来た依頼は何だかわからなくても全部受けた」の発言が驚き。みなさまは「業界の噂はすぐに広まるので、その方法なら優秀なことが伝わりやすい」と賛同のコメントをしていました。
右から3番目の男性は、他の仕事をしながら15年間曲を書き続け、不思議な縁でブロードウェイ・ミュージカルの作曲家になったそう。
スーパーボウルでのステージも記憶に新しいアッシャーさんのソングライティング・スタッフ/プロデューサーのジャーメインさん。言動の全てが、とにかくカッコいい!マライア・キャリーさんなどの有名アーティストとも多数の共作をしています。
印象的だったのは、最近の音づくりがワンパターンの繰り返しなのに疑問を呈しておられたこと。確かに、アッシャーさんの楽曲はシンプルに聴こえながら、リズムトラックが相当凝っています。
レコーディング・スタジオでのエピソードなどで、分かりやすくソングライティングの秘訣を話してくださいました。ありがたすぎて、涙。
下記のみなさまは大物系に楽曲提供で、自作自演を順番に披露。パフォーマーではないながら、聴かせる演奏ばかり。右端の方がコロナ自粛中に作ったという弾き語りは特に沁みました。
無料イベントなのに、最後にはフードやアルコールまで出て感激。
こちらはカンファレンスと違って、ASCAPに登録しないと参加できません。予約も先着順。でも将来アメリカで音楽活動したい方にはぜひオススメしたいです。
実は毎年開催されていたらしいのですが、何せお知らせが地味すぎ……。開場待ち列で隣りにいた男性は、メリーランド州から度々参加しているそう。「Really inspiring」と絶賛していました。10年もNYにいるのに、参加したことがなかったのが恥ずかしい!
これからはもっと積極的に行かないと……と反省した出来事でした。
(February 28, 2024)