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心臓病は誰でもいつでも起こりうる

 女優の山本陽子さんが帰宅直後の急性心不全でお亡くなりになりました。心臓の病気は、バグのようなもので、誰でもいつでも起こりうるものだそうです。特に起き抜けは、魔の時間帯といわれています。生死を分けるのは、倒れた際、救急車を迅速に呼べるか、AEDなどの処置を迅速に行えるかにかかっています。救急車が来るときは、玄関のカギがかかっている場合が多いので消防署ではカギを壊せる道具をもって来るようです。
 心不全が増加している理由は、心不全の原因になる心筋梗塞や狭心症などの心臓病が増えていることにありますが、心臓病を起こす最大の原因は「動脈硬化」です。動脈硬化は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙習慣によって引き起こされる血管の変性であり、血管の内側の壁が傷ついてそこにコレステロールなどが沈着することで、こぶができる、血管が狭くなります。
 食物では、トランス脂肪酸は心疾患の原因となる明確なエビデンスがあります。政府は食品各社にトランス脂肪酸を段階的に減らすよう要望していますが、未だに使用されています。トランス脂肪酸を確実に避けたければ、植物性ショートニングを使った焼き菓子(マフィン、パイ、ペストリー、ケーキ)、電子レンジでつくるポップコーン、マーガリン、ファストフードの揚げ物(チキンフィンガーやフライドポテトなど)は確実に避けるべきです。
 摂取量に気を付けるべき脂肪のひとつが植物油です。植物油自体は必ずしも有害ではないですが、植物油の過剰摂取や酸敗した植物油(抽出中や保管中、あるいは揚げ油として繰り返し使用する間に劣化した油)の摂取が健康に及ぼしうる悪影響については注目する必要があります。
 現在の植物油は、高度に精製され工業的に加工された食品です。100年前、植物油が米国人の食事に占める割合はほんのわずかだった。しかし、今では、大豆油、キャノーラ油、綿実油、コーン油をはじめとする工業的に製造された植物油から、当時よりはるかに大量のカロリーを摂取するようになり、毎日500キロカロリー超(摂取カロリー全体の約20%)を植物油から摂取しています。
 世界全体で見ても、植物油の生産量は、鶏肉・牛肉・チーズ・バターを合わせた生産量を上回っています。植物油は米と小麦について、世界で最も消費されている食品となっています。また、消費されている植物油の多くが、工場での加工や、保管状態の悪さ、揚げ油としての繰り返しの使用による酸化が原因で酸敗しているため、健康にさらに悪影響を及ぼしています。
 揚げ物はおいしいですが、身体に最も悪い食べ物のひとつです。ファストフードやチップスなどの加工スナック食品については、健康への悪影響は主に加熱した植物油の摂取によるものと考えられます。こうした食品が健康に良くないことは周知のとおりです。
 では、キャノーラ油などの植物油自体が健康に有害なのでしょうか。おそらくそうではないと思います。だが、植物油を過剰に摂取したり、揚げ物を食べたり、超加工スナック食品やファストフードをドカ食いしたりするのは、間違いなく身体に悪いです。
 料理には植物油の代わりにオリーブオイルやアボカドオイルなどの果実油を使うことをお勧めします。果実油は、オメガ6多価不飽和脂肪酸の含有率がはるかに低く、コレステロールに良い影響を与える一価不飽和脂肪酸の含有率が高いため理想的です。これに加えて、ココナッツオイル、ダックファット(鴨脂)、牛脂、ラードも使っても、(すべての油と同様)使用する量は控えめにしたほうが良いでしょう。
 また、オリーブオイルを1日当たりテーブルスプーン半分以上摂取する人は、オリーブオイルをまったく摂取しない人と比べて心血管疾患リスクが14%低く、冠動脈心疾患リスクが18%低いことが複数の研究で明らかにされています。ただし、市場には低品質のアボカドオイルやオリーブオイルもたくさん出回っていますので、必ず信頼できるブランドのオイルを買うようにしましょう。
 結局、心臓病のリスクは誰でも抱えていますが、普段からの心がけでそのリスクを抑えることは可能だと思います。食物だけでなく、禁煙、減塩、カロリー制限、適度な運動、ストレスのコントロールなどが重要となります。心臓を元気にする生活習慣を心がけましょう。

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