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オリンピックと睡眠~十分な睡眠が大事とはわかっているけど~

オリンピックの興奮冷めやらぬうちに、もう間もなく、パラリンピックが開幕しますね。オリンピックに続いて、ぜひ選手たちを応援していきたいと思っています。

さて、今回はオリンピックで選手を応援しつつ、ついつい気になってしまった、オリンピック関連の睡眠ニュースについてです。

既に閉幕したオリンピックでは、多くのアスリートが睡眠を大事にしているというコメントや記事を多数見かけました。

そんなアスリートと睡眠の関係性を話すときに、よく引用されているのが以下のスタンフォード大学の研究です。

 研究内容は、バスケットボール部員に毎日10時間以上の睡眠を約1カ月半に渡って、毎日とるように指示し、その間のバスケットボールに関するパフォーマンスの変化を記録したという研究です。10時間の睡眠を続けながら毎日シュートやダッシュ、反応速度のスコアをとり続けたところ、少しずつ向上が見られて40日近くかけて大きく伸びたそうです。282フィートダッシュ(約86メートル)では16.2秒から15.5秒。フリースローも10本中7.9本から8.8本に成功率が伸びたという研究結果があります。「CheriMah_EN_The Effects of Sleep Extension on the Athletic Performance of Collegiate Basketball Players」(2011)

睡眠時間を十分に取っているかどうかだけで結果が変わってくるというのは驚きですね。この研究から、アスリートのパフォーマンスにとって睡眠がとても重要であることがわかります。


選手村のベッド

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<画像引用元:東京2020大会選手村への提供寝具>

まず、オリンピックの睡眠関連ニュースとして気になったのは選手村のベッドについてではないでしょうか?

段ボール製ということで、選手の悪ふざけの動画が物議をかもしたこともありましたが、その製造開発から選手ごとに合わせたマットレスを提供するために、エアウィーヴの記事を読むと、そこには非常に考え抜かれたポイントがいくつもあることがわかりました。

抜粋すると下記のようなポイントがあるということです。

データ活用:相手の正面と側面を撮影した後でクラウド上に上げると、その体型に合った各部位の体重分布を自動算出する仕組みを構築。
カスタマイズ性:3つの分割可能なマットレスを自分で組み替えてカスタマイズすることができる
サステナビリティ:ダンボールのベッドフレームは新聞紙などの古紙に、エアファイバー製のマットレスも溶かしてペレット状にした上で、ビニール袋に再加工することができます。

参考記事:東京五輪選手村のベッドは「段ボール製」!? 実は睡眠の“選手ファースト”が考え抜かれていた | FNNプライムオンライン


オリンピックアスリートの睡眠関連コメント

競泳の瀬戸大也選手からは、大会が始まる前から睡眠状態をもとに自身のコンディションを確認しているコメントも見られました。

生活リズムも朝型に慣れつつある。これまでの高地合宿は「寝付きが悪かった」と明かしたが、今は充実した時間を過ごせているのか「睡眠の質を測る『オーラリング』を指に着けて寝ているが、前回、前々回の高地合宿のデータよりも非常にいい」と、〝睡眠改善〟を実感している。
【競泳】瀬戸大也「睡眠の質が非常にいい」 合宿充実で本番へラストスパート

そして始まってみると、睡眠時間を口にする選手も多数おられました。


ハードな試合日程の中で、睡眠が自身のパフォーマンスにどれほど影響するかがわかっているからこそ、下記のように睡眠についてのコメントが出てくるのだと思います。

朝は4時半に起床しなくてはいけなかったが、夜は「ワクワクしすぎて」と寝られたのは深夜1時。高揚感の中で、頭は冷静に働かせ、72年ミュンヘン五輪で19位だった富沢英彦以来となる決勝進出を決めた。「ワクワクしすぎ」3時間睡眠 戸辺直人が決勝「予選は通過点」走り高跳び
この日は午前7時55分スタート。「食欲もある。布団に入ったら、30秒で眠れます。ただ、睡眠時間が短いとこたえますね」。この日の前半が特にきつかった。「倒れてもおかしくないんじゃないかな、と思った。足が上がらず(何もない)フェアウエーで転びそうになりました」と自虐的に笑った。稲見萌寧 通算6アンダー「睡眠時間が短いとこたえますね」五輪へつなげる
2週間ほど前から午前2時に起きて午前7時の号砲に備えていた。同6時への変更を知らされたのは前夜の床に就いた後。午後7時前に「布団に入っていた」というが、同7時すぎに関係者がドアをノックした。 「明日6時スタートになったって聞いたって。それでちょっと目が覚めちゃいました。目はつぶっていたけど、浅寝って感じでした」。鹿児島・出水中央高時代は睡眠時間を確保するために風呂に漬かりながら食事を取ったこともあるなど睡眠を大切にするタイプ。それでもアクシデントを「みんな条件は同じ」と思える心の強さがあった。「9番より8番がいいと思って走った」女子マラソン一山、笑顔の入賞
試合直後のインタビューで、伊藤はこの日の好調ぶりの要因に「昨日よりは睡眠がとれたこと」を挙げ、「しっかり足を動かすことができましたし、サーブやレシーブも、頭もちゃんと回っていて、足も特に動いていて、凄く自分らしい卓球ができました」とコメント。伊藤美誠の“絶好調”の要因は「十分な睡眠」。“同い年のライバル”中国の孫穎莎との準決勝は「楽しんで勝ちに行く」【東京五輪】

それにしても、改めてハードスケジュールななか睡眠時間を削ったり、ギリギリの中で試合を勧められていたことがうかがえます。夜中2時に起きて調整するなど、過酷だなと感じざるをえません。


アスリートを取り巻く睡眠に対する問題点など

オリンピック開幕前にはアスリートの睡眠について心配をする記事もみられました。

いよいよ五輪開幕。でも、多くのアスリートに睡眠の問題が | ヨミドクター(読売新聞)

記事を簡単に抜粋すると、睡眠に問題を抱える要因として、精神的なものからくるもの、オーバートレーニング症候群とも呼ばれる高負荷な練習や疲労が回復しないまま続ける練習によって慢性疲労が積み重なり、睡眠以外にも不調をきたすこと、変則的な試合パターン(デーゲーム・ナイトゲーム)などで就寝時刻が遅くなるといったことが指摘されていました。

アスリートが抱える睡眠に対する問題を知るのに参考になる記事でしたので、ぜひ、身近にスポーツを頑張っている人がいる方は一読をお勧めします。

併せて、スポーツドクターと共に睡眠をサポートするスリープドクターという提案もされており、今後必要とされていくのではと感じました。

今後は、外傷治療を行うスポーツドクターや心理的サポートを行うメンタルトレーナーのように、睡眠コンサルティングを行うスリープドクターがアスリートのサポートに入るのもよいかもしれません。


最後に

睡眠だけではなく、猛暑なども含めて過酷な条件のなかで、多くの印象的な場面や想いを残して閉幕したオリンピックでしたが、オリンピック閉幕後にに書かれた為末大さんのnoteにもまた、考えさせられるものがありました。

観る人に感動と興奮を与えてくれた選手達は、肉体的にも精神的にも限界まで自身を鍛え上げ、追い込んでこられてきました。その大変さは、ゆうに私の想像を超えているものだと思います。

そして、選手だけではなく大会運営に携わる多くの関係者様もまた、不眠不休といった方もおられたのではないかと思います。そんな方々も、リズムを崩されてしまったり、燃え尽き症候群のような感覚になる方もいるのではと心配致します。

オリンピックという一世一代の大イベントを終えて、選手をはじめ関係者の皆様がこれから元の生活やパフォーマンスに戻れるよう、どうぞご自身を労って頂ければと切に願います。

そして、これから始まるパラリンピックもとても楽しみに、そして選手の皆さんの検討を祈って応援していきたいと思います。

応援する皆さんも良く眠って力いっぱい応援していきましょうね。


睡眠が変われば人生が変わる
睡眠研究家みんたつ

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