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数々の賞を取った実力派のガラス工芸家エミール・ガレ

はじめに

今回ご紹介するのは、フランスのガラス工芸家エミール・ガレ。(1846年~1904年)

トンボのランプ

こちらの作品をご覧いただきましょう。

※https://www.art-kaitori.net/artist/000591.htmlから画像を引用

装飾性が高いランプですが、派手すぎないバランスを保っている作品ですね。モチーフにしているトンボへの観察眼の鋭さが感じられます。オレンジ色のほのかな光に照らされた植物の模様が優美です。台を支えるトンボの羽は繊細で今にも羽ばたきそうです。ですが実は、フランス人にとってはトンボは嫌われ者。題材としてガレが扱ったのには先日も紹介したジャポニズムの影響があるのです。ジャポニズムについては以下の記事で触れています。

フランスでは、トンボは獲物をわしづかみにして食べる肉食性があることから、昔から「不吉」「悪魔の虫」「地獄からの使い」として避けられてきました。一方、日本では古くから秋の季語でもあり、葛飾北斎が下の「北斎漫画」初編(1814年)で描いているように芸術のモチーフとして受け入れられてきました。だから日本美術に高い関心を持っていたガレは自分の作品にトンボを取り入れたのです。トンボだけでなく鯉や蛙も北斎の影響で題材にしています。

※https://blog.goo.ne.jp/caneteregardepas/e/6e9956fde26f1941c1e01b31693d8ac6から画像を引用

ひとよ茸のランプ

つづいてこちらの作品。


※https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/160116-0410_galle_column.htmlから画像を引用

ユーモラスな造形の、きのこの形をしたランプです。オレンジ~黄の色合いも見事ですね。ひとよ茸は一夜で成長し、夜明けには溶けてしまうという儚いキノコだそうです。成長過程の異なる3本のキノコは、人生の幼年期、青年期、壮年期を喩えていると言われているそうです。

おわりに

いかがでしたか?ひとよ茸ランプは北澤美術館(長野県諏訪市)、サントリー美術館(東京)、ナンシー派美術館(フランス)にそれぞれ1つずつ所蔵されているそうですので、実物を生で見たい方は行ってみてくださいね。それでは、今回もみなさんに瞳の至福が訪れますように!

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