ひまわり

私が綺麗な絵を紹介する記事を書くたった1つの理由

はじめに

みなさんが文章を書くときの原動力はなんですか?お金のため、自分の認知度を上げたいから、アウトプットすることで勉強になるからなど色々な理由があると思います。

私の場合は、『美しいと思ったものを世に広めて、「瞳の至福」を多くの人と共有したい。』という想いがモチベーションになっています。

美術というテーマを選んだわけ

ではなぜあえて美術というジャンルを選んだかをご説明します。
私は昔からよくケガをする子供で、小学校の保健室にたびたびお世話になっていました。その保健室にはミレーの「落ち穂拾い」のレプリカが飾っていました。何度も見るうちに、作品から醸し出される哀愁や、王族などではなく農民に目を向けるミレーの姿勢に心を惹かれていきました。そこから絵に興味を持ち、美術館やギャラリーなどに足を運ぶようになりました。ミレーの他には、モネやルノワール、ゴッホなどの印象派が好きになりました。
そして大学生になり、一年生の時に、西洋の芸術についての一般教養の講義を受けることになりました。そこで衝撃的な事実を知ったのです。

ナチス・ドイツによる略奪

それは、ナチス・ドイツによる略奪の歴史。1933年以降の第三帝国時代のナチス・ドイツの職員による、ヨーロッパ諸国での組織化された略奪のことで、美術品や絵画などが盗まれました。

背景として、アドルフ・ヒトラーは、ウィーン美術アカデミーへの入学を拒否され、芸術家としては失敗したにもかかわらず、彼は自分自身を芸術の愛好家と考えていたことがあります。そして著書の「我が闘争」において、キュービズム、未来派、ダダイズムを含むモダンアートを、退廃的なものとして猛烈に攻撃しました。ナチスの間で好まれた芸術の種類は、オールド・マスター、特にゲルマン民族を起源とする古典的な肖像画と風景画でした。これに匹敵しないとされたモダンアートは、第三帝国によって退廃芸術と呼ばれ、ドイツの州立博物館で発見されたものはすべて売却または破壊されたのです。

退廃芸術とは、近代美術や前衛芸術を、道徳的・人種的に堕落したもので、ナチス・ドイツの社会や民族感情を害するものである、として禁止するために打ち出した芸術観です。ブダペスト出身の内科医で作家、評論家でもあったマックス・ノルダウは印象派絵画の絵画表面のありようは視覚皮質の病気の兆候としました。

1937年にはミュンヘンでナチス政権企画のもと『退廃芸術展』というタイトルで展覧会が開催されます。額からはずされてキャンバスがむき出しにされたり、壁から紐でぶら下げられていたりという劣悪な条件下で、押収した近代美術が一斉に展示され、各作品を嘲るテキストラベルが付けられました。その展示会は近代美術への批判を一般大衆に煽るように設計された展示構成になっていました。まさに個人の芸術観を押し付け、作品を公開処刑するような展覧会だったのです。

こうした美術品の迫害の事実に私の心は痛みました。それだけでなく、戦火や盗難で散っていった作品も数多くあるということを知りました。

そうした幻の作品については、以下の記事に詳しく解説されています。

消失した作品があることを知って私が考えたこと

今まで、作品が作られるときの作者の生みの苦しみや、作品を海外から来日させるための学芸員の企画運営の苦労などは分かっていたつもりでした。しかし、歴史の中で迫害や略奪、戦火や盗難をまぬがれてやっと私たちの目の前で見ることができる状態にたどり着いていることまでは思い至りませんでした。当たり前のように考えていた「展示作品がある」ということが、作品がいろんな災難を乗り越え、途方も無く奇跡的な確率で生き残ってきたことだと理解したのです。
しかし、周りを見渡してみると、そうやって大切に受け継がれてきた傑作も、もっと鑑賞する人がいていいはずなのに見られていないという現状があるように思いました。
日本では、美術館は敷居の高いイメージが根強いです。音楽は、音楽番組がたくさんあり、カラオケなどに若い人やファミリー層が気軽に行くのに対して、美術番組はメジャーではなく美術館への年平均来館数はそれほど多くありません。2007年のデータですが、東京で年に1回以上美術館に行く割合は75・7%、年間平均回数は1.9回と、ロンドンの91・0%、3.9回に比べると低い数値だということがわかります。(参考:下開千春 ライフデザインレポート)

このもったいない事実に問題意識を持った私は、美術がもっと身近なものになるように貢献したいと思うようになりました。そこで世の中のまだ知られていないけれど質の高い作品とその作家さんをnoteで発信しようと思ったのです。「ナチス・ドイツの美術品の略奪や戦火などで消失する絵画の存在を知り、芸術作品が鑑賞できることの尊さを痛感。そんなかけがえのない作品を日本でもっと見てもらう機会を作りたかったから」。これこそ私が綺麗な絵を紹介する記事を書く理由です。

「日本でアートを身近に。瞳の至福を多くの人へ。」を理念としてこのブログを運営していきます。

おわりに

いかがでしたか?絵の歴史、日本の美術館の現状など知っていただき、少しでも気づきがあれば幸いです。それでは、今回もみなさんに瞳の至福が訪れますように。




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