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ラグビーに関わる職業
皆さんはラグビーというスポーツをご存知ですか?そしてラグビーは好きですか?
私は大好きです!!
現在、イギリスにあるウースターウォリアーズというチームでプレーをしているラグビー選手です。こちらでは職業はプロラグビー選手ということになっています。
女子ラグビーはどんどんと進化を遂げていますが、現在所属しているチームからいただけるお給料だけで生活をしていくのは未だ厳しく、スポンサーの方々から活動にご支援いただき生活しております。(リーグ全体として将来的にプロ化を目指しているそうです)
私は25歳でまだまだ引退などは先のことだと思っているのですが、ラグビー一筋で生きてきた為、引退後はどんな生活を送るのだろう?と想像する時があります。
どんな形かは明確ではありませんが、ラグビーに携わっていることは確信できます。笑
イギリスにきて、大きなクラブの一員になることができたが故に、ラグビーに関わる仕事の多さを知ることができました。
私が知っている範囲でラグビーに携わる職業をご紹介します。パッと思いつくものだけをあげているので完璧ではありません。
他にもラグビーに関わる仕事があるよ!という方は是非コメント欄で教えてください(^^)
1.選手
ラグビーをすることでお金を貰って生活している人もいます。プロラグビー選手です。
これはもちろん選手として活躍している間だけ認められる職業です。
契約内容にもよりますが、パフォーマンスや結果が金額に反映するパターンが多いので、選手のモチベーションにもなりますよね。
その反面、怪我などで長期離脱してしまう場合は精神的な負担が大きいと思います。
しかし、私はプロラグビー選手に憧れています。ラグビーをハイレベルでプレーできる年齢はそう高くありません。その短い期間に覚悟を決めてラグビーを打ち込むことにとても魅力を感じますし、リーグワンの選手にも社員選手とプロ選手がいますが、社員選手からプロ選手へ移行された方は格段に応援したくなります。特にリーグワンを支えている企業は大規模であることが多く、そこでの安定した生活よりもリスクをとって目標にチャレンジする姿には感銘を受けます。
2.ラグビーコーチ
選手を引退した後にラグビーに携わる職業として、1番に思いつくのがコーチです。
リーグワンのチームでも、引退した選手がそのままそのチームのアシスタントコーチに就任するケースはよく見られます。
コーチも沢山の種類があります。アタックを専門にする人。ディフェンスを専門とする人。フォワード、バックス、スクラム、ラインアウトなどなど。
最近ではスキルコーチも多く、私はキックコーチにお世話になっています。ご興味のある方はこちらからご覧ください!
選手あがりでコーチというパターンはよくある例なので、コーチって難易度がそこまで高くないと思われがちですが、私はそうは思いません。個人的に人に何かを教えることが苦手なのかもしれませんが、コーチは常に安全面を考慮して、選手の理解度を把握しながら練習の強度をコントロールする必要があります。
昨年の夏にA級コーチ専門分野の講習会に参加したのですが、コーチを学べば学ぶほど奥が深く、今まで私に教えてきてくれたコーチはこんなにも多くのことを考えて準備をしてきてくれたのかと思うと頭が上がりません。
あとはコーチの中でも上の立場になると、試合に向けて選手の起用を決めなければなりません。人数が多いチームになるほど、試合に出場できない選手が出ます。その選手達にその旨を伝えることは難しい瞬間だと想像します。
3.S&Cコーチ
ストレングス&コンディショニングコーチです。要はパフォーマンスの向上と傷害予防を目的としてストレングストレーニングを中心とした安全で効果的なプログラムを作成して指導する人のことです。
チームでこの立場にいる人は大体マッチョです。特にフィジカル要素が勝敗に大きく関わったり、怪我の多く発生するラグビーではS&Cコーチは必須です!
ジムでは時期によってメニューを変えてウエイトトレーニングを指導したり、グランドでは試合にピークを持ってこれるようにフィットネスメニューを実施したり、選手にとってはとても重要なことですが、身体的には大きな負荷がかかるので残念ながら嫌われ者になってしまうこともあります。笑
私のチームではS&Cコーチが練習中にGPSデータをタブレットで可視化して管理していて、少しランニング強度が足りない選手などには、練習後にエキストラでフィットネストレーニングを追加したりしています。
S&Cコーチが練習量を管理してくれているので、怪我のリスクなども抑えることができています。
私は身体を鍛えることがすごく好きで、それがラグビーのパフォーマンスに直結することが嬉しいので、この職業に憧れます。しかし、専門知識が必要なので引退後すぐには難しいかもしれません。
4.ドクター
その名の通り、お医者さんです。チームと契約しているドクターはチームドクターと呼ばれ、試合に帯同したり、怪我を負った選手の様子を確認してフィジオにリハビリの進め具合のアドバイスをしたりします。
基本的に病院に勤めていて、選手がドクターに会えるのは週末や週に何回かグランドに訪れるような頻度だと思いますが、チームドクターがいる安心感は計り知れません。
私が今まで出会ってきたドクターからは、チームの状況や選手の心情などにも寄り添ってくれる印象があります。
もちろん医師免許がなければ務めることのできない仕事です。
5.フィジオ
スポーツ現場で選手に関わるトレーナーのことをフィジオと呼んでいます。国によってフィジオになるために必要な免許は異なりますが、日本では様々な免許を持った人が混在している印象を受けます。
怪我を負った選手のリハビリや怪我予防に繋がる動きを指導したり、痛みを持つ選手を治療したり、テーピングを巻いたりと、選手の身体に最も近くで寄り添ってくれる存在です。
このフィジオに関して、日本とイギリスでは大きく違うと感じた点があります。
日本のフィジオは怪我や痛みなどが生じた際に治療を丁寧にしてくれます。
一方でイギリスのフィジオは、痛みを確認したのち少しだけ患部周りを触って、弱った患部を鍛えるメニューを提案してくれます。
日本のフィジオは治療を豊富なバリエーションを駆使して時間をかけて行ってくれることに、イギリスにきて有難みをしみじみと感じています。
印象としては、痛みにアプローチする日本と痛みの根本にアプローチするイギリスといった感じです。もちろん、日本のフィジオも痛みの根本にアプローチしますし、イギリスのフィジオも治療をしてくれますが、国によって重点が異なるのは面白い点ですよね。
また、コロナ禍になってからは感染予防対策やコロナに関するルールなどを把握して、コロナに関する仕事をしている印象があります。
私は練習のある日はラテラルフローテストを実施してフィジオにその写真を送っています。
6.通訳
日本のラグビー界もかなりグローバル化してきました。リーグワンのチームには海外から来日した選手も多く在籍します。
そういった状況の中、ラグビーというコミュニケーションをとることが必須なスポーツで、通訳の存在は欠かせません。
女子日本代表のヘッドコーチはカナダ人です。彼女は語学を学ぶのが好きで日本語もかなり上達していますが、ラグビーの戦術などの詳細を話す際には英語です。
私たちはほとんどが日本人なので通訳ができるスタッフの力を借りて、コーチの意図を汲み取っています。
逆に日本代表のスタッフになるためには”英語"を話せることが必須のような気がします。ラグビー界で英語が話せるということは大きなアドバンテージになります。
7.広報担当
ラグビー界はラグビーだけ良い結果を出していれば良いといった風潮は消えつつあります。もちろんクラブとしてラグビーの結果を出したいというのはもちろんですが、地域貢献や社会貢献などクラブとしていかに価値を見出せるかが注目されています。結果的にそれが愛されるクラブに繋がるからです。
また、ラグビー界を盛り上げるためにはファンの獲得も必須です。
そのためにはどんな取り組みをしているのか、日頃の練習の様子、試合のメンバー、日程などをSNSで発信して興味関心を持ってもらう必要があります。
トップレベルのチームでは、チームに広報担当が存在します。それほど、クラブとしての在り方を見せることが重要視されています。
私が所属するWorceter Warriorsにも広報担当がいます。試合前後にコーチや選手にインタビューをしたり、クリスマスなどのイベント前にはそれに関するビデオを作成したり、ハードワークをしてクラブを宣伝し、ファンの方を喜ばせたり、新規ファンを獲得しています。
こちらはPEARLSのTwitterです!よければチェックしてみてください。
広報担当もチームの中で大きな役割を担っています。一目を引くデザインだったり、興味を引くイベントなどを考案するため、クリエイティブな人が適任ですね!私にはできません…。笑
8.マネージャー
マネージャーと聞くと、部活動のイメージから水を汲んでいるような風景が想像されますが、いいえ、異なります。クラブを総括してマネジメントするクラブの心臓のような存在です。
新規選手・スタッフの獲得、スポンサーの獲得、大会・試合の運営、イベントの調整・運営などなど、私たち選手の見えないところで大きく動いてくれています。マネージャーはできる人が多いです。
例えば、私がWarriorsに移籍する時が決まった際に、マネージャーがやることリストを送付してくれました。VISAの発行に必要な書類や手順などが書かれていたので、その通りにGoogle翻訳を駆使しながら進めていくと、いつの間にか私はイギリスにいました。
9.アナリスト
ラグビーは対人スポーツなので対戦相手の分析が勝利へのカギを握ります。対戦相手だけでなく、自身の動きなどを分析することで強みや弱みを見出すことでチームとして効率よく練習できます。
それを可能にしてくれるのがアナリストです。
練習・試合の撮影はもちろん、ドローンを駆使してグランドの真上から撮影してくれることもあります。ラグビーはコンタクトスポーツ且つ陣取りゲームでもあるので、真上からの映像はとても貴重です。
試合後にはHudlやスポーツコードなどの分析用のアプリに映像を落として、分析しやすいような環境を整えてくれます。また、試合のスタッツなども出してくれて、試合の結果に何が結びついているのかを解析しやすくなります。試合のスタッツに関しては、チームとしてのスタッツの個人のスタッツ両方とも出してくれます。
チームのスタッツとしては、セットプレーの獲得率やタックル成功率、エリアやポゼッション(ボール保持率)などです。
個人のスタッツとして、タックル精度・成功率、パスの精度・成功率、ボールキャリーの質、ゴールキックの成功率などです。
これらの例は本当に大まかなものなので、本来のスタッツはもっと多くの情報があります。
ラグビーの本質に触れることのできる職業で、数字や機械に強い方が多い印象です。
10.栄養士
Warriorsには専属の栄養士がいて、予約をすればいつでも栄養指導を受けることができます。トップレベルのチームであればチーム栄養士は在籍しています。
ラグビー選手において身体づくりは基本中の基本であり、パフォーマンスに直結するからです。
筋肉量を増やしてコンタクト時に負けないようにする選手、体重を少し減らして動けるようにしたり、キレを増やしたい選手、怪我を負ってしまい運動量に伴った食事をする必要がある選手などなどニーズは様々ですが、栄養士はそれらを手助けしてくれます。
私もチームの栄養士とミーティングをしたことがありますが、何時にどのようなものをどれくらい食べるべきなのかを明確にしてくれたミールプランを考案してくれました。また、チーム全体に様々なプレゼンをしてくれていて全て資料として残されているのでいつでも必要な情報を得ることができます。
例えば、試合前日の食事、ナイターゲームの際のミールプラン、カフェインの効果的な摂り方、それぞれのスーパーマーケットにあるもので作れるレシピを増量・維持・減量の3枠に分けて用意してくれています。
私は日本にいた頃から、独学で栄養については多く知識を蓄えてきたつもりでしたが、新たな学びを沢山吸収できています。
栄養士はサプリメントを推奨する印象がなかったのですが、筋肉量が欲しい私にはクレアチンを勧めてくれたりなどしました。また選手として大事なのはドーピングのリスクを削減することなので、インフォームドチョイスの商品が置いてあるサイトを教えてくれました。
このサイトです。少しお値段はお高めですが高品質で安心して使えています。プロテインがとっても美味しくて飲みやすいです。私は寝る前の夜食としてギリシャヨーグルトにナッツ類とベリー類をこのプロテインを1スクープ入れて食べています。最高に美味しいし栄養価もとても高いのでオススメです。ちなみにこのヨーグルトもチームの栄養士に教えてもらいました!
さらに練習のある日には、チームからスナックとシェイク、夜ご飯が提供されるのですが、それもチームの栄養士が考案してくれているメニューなのでとても栄養価が高く、美味しく栄養補給ができています。
栄養士のアドバイスのおかげで渡英直後セブンズシーズン後だったということもあり68㎏だった体重は72㎏まで計4kg増やすことに成功しました。
11.解説者
ラグビーをテレビで観戦する際に盛り上げてくれる解説者。初心者の方にもラグビーの難しいルールを理解してもらえるような切り口の解説や、ラグビーマニアが好むようなデータや専門用語で盛り上げる解説など、放送局によっても様々なスタイルのある解説者という職業です。
この職業の素晴らしさに気付けたのは昨年の4月でした。PEARLSの新体制発表のイベントにラグビー実況で有名な矢野武さんが来てくださいました。ラグビーを見る時にいつも聞いている声で、自分の名前やチームの紹介をしてもらった時はとても感動しました。その日から、いつか矢野さんと一緒にお仕事ができる日が来ることを夢見ています。
今のところ、日本国内で女性ラグビー解説者はあまり見かけないので、そこは狙い目かなと思っています。現にイギリスでは有名な元・現役女子ラグビー選手がプレミア15'sの試合やテストマッチを解説したりしています。
私はラグビーの知識に関してはかなり自信がありますし、大好きなラグビーを見ながらラグビーの魅力を視聴者に伝えるという職業にとても魅力を感じています。
課題としては、私は滑舌が悪いことです。海外の選手の名前は発音が難しい場合もあるので要練習です!笑
12.レフリー
私達の試合はレフリーなくして成立しません。毎回ブレイクダウン周りへ訪れては、流れを読んでボールを避けつつ、タッチジャッチと連携をとり、反則があれば笛を吹く。危険な販促をした選手には黄色もしくは赤いカードを空に掲げる。
試合の前半に試合のスタンダードを示し、後半につれて規律正しいラグビーが繰り広げられるようにゲームマネジメントをする。
選手、コーチ、時には観客から心無い声や態度を受けることもあります。体力はかなり必要になりますし、常に頭を働かせて集中力を要し、万が一の時のために身体作りも進める必要があります。とってもタフな職業です。
正直なところ、レフリーの方が1試合でどれくらいの報酬を貰えるのか、どういう契約形態なのかは分かりません。
また、レフリーだけで生計を立てている方は少なく、教員などと両立させている方が多いと聞きます。
最近では、女性のレフリーが男子のプレミアの試合の笛を吹いたことで話題になりました。日本でも花園の試合で女性レフリーが活躍している姿を見ました。
レフリーへの待遇はあまり良くないとも耳にしたことがあります。準備も多く、責任が大きい職業なので、リスペクトも含めてレフリーへの待遇が改善されるような環境になることを願っています。
最後に
ラグビーに関する職業は選手以外にも沢山存在します。イギリスに来て気付く職業も多くありました。おそらく私がまだ気づいてい職業もあるはずです。そして、ここに書いた職業の中でも他に重要な役割があったりするかもしれません。
逆算してみると、私たちラグビー選手が毎日練習に打ち込んで、ラグビーを楽しむことができるのは、見えないところで多くの尽力があってこそです。皆さん、いつも有難うございます。
さて、将来私がどんな道を歩むのか、私もワクワクしています。様々な選択肢を持っていることができるように、今から準備を進めていきます。選手の内から兼ねることができることもあると思います。
ラグビーはいつまでも私の人生を豊かにしてくれます。私もラグビーに恩返しができるように自分のできることを精一杯やっていこうと思います。ご精読ありがとうございました!
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