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学生のスマホ禁止はやめませんか?~これからの未来に向けて~

マイクロ人事部長の髙橋実です。

さて、神奈川県教育委員会が、神奈川県立高校全校で「スマホが活用できる環境整備」を始めるとの報道がありました。

このテーマ、様々な関係の方から、色々なご意見があると思いますが。
僕は、間違いなく推進派です。
やっと、ここまで来たかって思います。

もうすでに世の中ではスマホのみならずITデバイスは山ほどある。
大人はそれを積極的に活用して、生活になくてはならないもののレベルになっているにも関わらず、学校内で禁止って、ずっとおかしいと思ってました。

若い世代は、膨大な情報を処理しなければいけない

企業の実務者側として問題だと思っているのは、「学生から社会への育成プロセスがとても弱いこと」。新卒で会社に入ってくる時「なんでこんなにできないんだ」と思うようなことを、企業人事であれば誰しもが感じていると思います。

「そんなの今も昔もそうじゃない」
そう仰る方もいると思いますが、僕なんかが学生の時とは明らかにことなるのは「受け取らなければいけない情報量が圧倒的に違う」
インターネットがない時代からすれば、格段の違いです。

僕の若い頃は、今思えば幸せな時代。
今ほど情報量がないので、限られた選択肢の中で決断できた
でも、今の若い人たちは、僕らの時代とは比べ物にならないくらいの膨大な情報の渦にいる。そして、その膨大な情報を「活用しなければならない」時代に生きているのです。なんと、可哀そうだと思いませんか?

確かに、「スマホなんてやったら、ゲーム漬けになったり、怪しいサイトを見てはまったり、リスクが多すぎるから、若い世代は守らなければならない」。そういう声もあるでしょう。

でも、いずれ彼らが社会に出て行ったら、いやおうなしにぶち当たる問題。その問題から目を背けて、蓋をしてしまうのでなく、しっかりと対峙してあげることが、本来の教育なのではないかと僕は思います。

昔の性教育の是非の議論に似ている

僕は、大学時代に、じつは教職課程をとっていました。
ちょっとだけ本気で、教育者になろうと思っていたのです。
でも、教育実習を前に、辞めてしまいました

その理由は、教職課程のある授業で、「性教育の是非」について議論するテーマがあって(当時のこの先生はとても面白い視点を持つ先生だった。でも、この「性教育」をテーマにすること自体、タブー視されていた時代でした)、その教職課程をとっていた同級生の大半が「性教育を積極的に行うなどとはおかしい」という論調でした。若い世代のセックスを助長することになると。
※その急先鋒が童●だった、、、(以下自粛)

賛成派は、僕ともう一人だけ。圧倒的なマイノリティ
「リスクをしっかりと教えてあげるのが教育だ」との主張は、明らかに彼らとは平行線が続きました。
僕は「将来こんな"臭いものに蓋をする"考えの人たちと仕事をするのか」と落胆して、教員ではなく社会に出ることを選びました。

この「スマホ議論」は、当時の性教育の是非議論に、似ています。

教育現場は、若い世代の未来のためにあるはず

昨年から法政大学の「キャリアデザイン入門」で教鞭をとらせていただいて、「教える」ということが、とても大変なことを実感しています
(春学期の14週連続講義をやらせていただいたのですが、本業をやりながらの教鞭は、本当に死ぬかと思いました)
だから、教育に携わる方に対しては、心底リスペクトしています。
(どうしてもこのような議論をすると、教育に携わっている方からすると「批判勢力」に見えるらしく。。。)

僕は、教育というのは「子供を正しく導いてあげること」だと思っています。子供たちが社会に出る時には今とは劇的に環境が変わることは明白だし、だとすると、これから社会で起こりえることは、もっとどんどん教育現場に取り入れていかねばならない。そうしなければ、将来ますます不幸になる若者を生み出してしまうのではないかと思うのです。

先生は、大変だと思います
自分ですら追いついていかない知識や経験を、若い世代に教えていかねばならない。先生も、自分が知らないことを学んで教えていかねばならないですからね。

今回、僕がなぜ法政大学で教鞭をとることになったのか。
責任者の方からお伺いしたのは「今の教育現場は、どうしても社会と隔絶していく。だから、企業の実務家の人に、リアルな社会を教えてほしい」と。
(まあそれが僕が適任なのかどうかはさておき、人事部長で14週も連続で教えるのができるのは僕くらいしかいないですからね)

僕の授業では、スマホでスライド撮影はOKだし(大人だってセミナーではみんなパシャパシャやってますよね)、彼らは大学生、社会へのモラトリアム期間なので、「この授業は原則社会でのルールを適用します。だから、寝てても怒らないけれど、会社に入って仕事中に寝てたら間違いなくクビになります」と伝えています。

リアルに会うことが生産性がない理由

ちょっと話はそれますが、僕は「組織でのコミュニケーション」というテーマを、キャリア教育の中で入れています。結構珍しいと思うのですが、これは、組織の中でのキャリア形成で、とても重要なポイントになると考えているからです。

職場ストレス

しかしながら、これからの組織でのコミュニケーションは、リモートワークが進んだり、働き方が多様になることで、これまでのような「いつも隣の席に座っている」人だけではなくなります

僕がやっている「マイクロ人事部長」(原則週1日しか「出勤」しない働き方です)では、物理的に「時間と場所の共有」が少なくなります。リアルで会うことが生産性が低い理由は「時間と場所を共有しなければいけない」ということだからです。働き方が多様になれば、これでは仕事が進まなくなる。電話もそうです。場所はどこでも大丈夫ですが「時間」を共有しなければならない

「文字コミュニケーション」の重要性が増すのは、「時間と場所を共有しなくても、コミュニケーションが取れる手段」だからです。これにより、多様化した働き方でも、リアル以上に生産性を上げることは可能になります。
(ここはまた改めて詳しく書きたいと思います)

「文字コミュニケーション」の重要性が増す

話を戻しましょう。前述の神奈川教育委員会のような取組は、言ってみれば「ITデバイスを活用した文字コミュニケーションを増やすこと」がポイントであるといえると思います。

この、文字コミュニケーションにおいて必要な力は、

●文章で伝える力…文章だけでやりとりを最小限にして伝える力
●文章で理解する力…相手が何を言いたいのかやりとりを最小限にして理解する力

この2つです。

でも、これが、難しい。

コミュニケーション

そうなんです。このITなどを活用したコミュニケーションがなかなかうまく進まない理由の一つは「上司も慣れていない」からです。神奈川教育委員会のような取組は「教える」「教えられる」というよりも、「教える側も一緒に学んでいく」姿勢があればいいのではないかと思います。

これからの日本は、世界でも未曽有の労働人口減の時代に入ります。
これまでのような労働集約型のビジネスモデルは、もはや日本の強さは維持できない。だからこそ、「生産性向上を実現するための知恵」が必要になるのです。そのためには、教育現場も、これまで以上のチャレンジが必要だし、既成概念にとらわれない新たな取り組みが必要だと思います。

知恵が、日本を救う。
若い世代でも日本の素晴らしさが継続できるための取組を、もっともっと進めていかねばならないと思います。

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