パンダと、労働人口減少と、変わりたくない人たちと
約1年半ぶりのnoteになってしまいました。
今年は、さぼらずに更新していきたいと思ってます。
アドベンチャーワールドのパンダ3頭が中国へ
先月、アドベンチャーワールドのパンダ、「永明(えいめい)」「桜浜(おうひん)」「桃浜(とうひん)」の3頭のパンダが、中国に返還されてしまいました。。。(上野動物園の「シャンシャン」も。。。)
無類のパンダ好きで、アドベンチャーワールド好きの僕としては、この中国返還のニュースが流れてきて、いてもたってもいられず。気が付いたら飛行機の予約をして、2月1日夜発~2日の強行軍で、アドベンチャーワールドに向かっていました(笑)。
永明はなんと30歳!日本で生まれた子供はなんと16頭!
おじいちゃんパンダですが、なんとも愛らしくてかわいいのです。
もうたぶん会えないパンダたちに、お別れを告げました。。。( ;∀;)
南紀白浜空港のJALの増便
僕の南紀白浜行きは、返還されてしまうパンダを一目見ようと目論んだものだったのですが、飛行機予約のためにJALのサイトで検索したら、ふと違いに気づきました。
南紀白浜空港行きのJAL便が、1日3便から4便に増発している。
じつは、コロナ禍でも南紀白浜空港の利用者数は過去最高を更新。
そんなこともあり、閑散期の2月に、実験的にJALの増便が決まったとのこと。今回予約した便は、なんと羽田発南紀白浜行きの増発最初の便だったのです。
この直行便、搭乗時間も70分と、メチャメチャ近いんです。多くの国内便に乗ってきたけれど、その中でもお気に入りの航路です。
そして、なによりびっくりしたのが、到着時の南紀白浜空港での歓迎でした。搭乗口を出ると、見たこともない歓迎ムードで関係者がお出迎え。地元テレビも来ていてごった返していました。
この記事は翌日の朝の南紀白浜発羽田空港行きの様子ですが、僕が乗った羽田発の便も同じようにめちゃめちゃ歓迎されました(次の日の地元テレビでも放映されていた)。
いやー、さぞこの増便で、地元は盛り上がっているんだろうな。
地方創生に向けて地方企業の支援を積極的に行っている僕にとっては、嬉しい限りでした。
なんと、地元民は、白けていた
空港での大歓迎を受けて、地元旅館(源泉かけ流し温泉つき。南紀白浜は温泉旅館が多くあります)に向かおうとタクシーに乗りました。
「いやーすごい歓迎ぶりですね。びっくりしました。さぞ、地元の皆さんも盛り上がっているんでしょうね?」。昨年年金をもらい始めたというタクシー運転手さんに話しかけます。
「なんと。。。そうなんですね。。。でもこれだけ盛り上がっていれば、他県からでも運転手さん呼び寄せないとですね。これだけお客さん来るんだからやりたい人はいるのでは?」
なんと。。。観光客が増えても、タクシー運転手が足りず、給料が低くてなりてもいないという。これでは、受け皿ができていない。。。
そして旅館に到着。
気になったので空港での歓迎状況をお伝えし、チェックインに対応してくれたおそらく支配人の方に「地元は盛り上がっていますか?」とタクシー運転手にしたのと同じ質問をしてみました。
宿泊したのは現地では有名な旅館。
その(おそらく)支配人ですら、こんな話をするのには驚きました。
僕の登場したJAL便は18:45に南紀白浜空港着。そこからタクシーで旅館へ向かい、チェックイン時刻は19:00を過ぎていました。チェックインを済ませ、仲居さんに部屋へご案内してもらったら19:30。部屋食のプランだったので、そのまま夕食の準備に入ると伝えられ、その仲居さんからこんな言葉が。
「21:00で仲居は全員帰るので、お食事は21:00前に夕食のお片付けに参りますね。
仲居さんの名誉のために言うと、対応はとても良かったのです。この仲居さんはこの旅館のシステムの説明をしています。確かに、ホームページにもゆ「夕食は19:30開始がラストです」と書いてある。これは仲居さんたちが21:00に帰るからでしょう。
「仲居さんも人手不足なんですか?」
そういえば、ここは大きな旅館ではあるけれど、旅館にいるスタッフの数が少なく、中は閑散としているようにも見えます。
ここでも、人手不足です。
観光客が増えることは、地元が潤う素晴らしいことなはずなのに、僕が耳にした地元民の声はみな一様に白けている。これは、衝撃でした。
すでに人手不足は深刻
恐らく、今回のJAL増発には多くの人が尽力したに違いありません。
関係者は、人口減少による地方衰退をなんとかしたいと、今回の南紀白浜空港への増発実験は千載一遇のチャンスと捉えていたはずです。
和歌山県の人口は、1985年の100万人越えをピークに、他県と同じように減少を続けています。あと30年後の2055年には、人口は57万人まで減少するという予測が出ています。
そして、ピークで70万人いた一番大事な労働人口は、30年後には20万人台まで減少してしまいました。
和歌山県の人口の4割は和歌山市在住。南紀白浜空港のある白浜市の人口は現在でも2万人しかいません。前述の地元民の話にもあるように、いくら観光客が増えても、働き手がいなければ受け入れることもできなくなってしまいまうのです。
僕は、地方企業の活性化が、これからの人口減少時代の打ち手だと考えています。地方にはまだまだ宝が眠っている。成長の伸びしろがあると考えています。成熟した都会だけでなく、地方を活性化して日本全体で盛り上がれば、停滞している日本経済の活性化につながるのではと尽力してきました。
しかし、働き手がいないのでは致命的です。せっかく宝の山がたくさんあっても、働き手がいなければ経済も潤いません。地方活性化など、夢でしかなくなってしまいます。
●北九州の「資さんうどん」で人事もしていました
人口減少より恐ろしい「変わりたくない人たち」
しかし今回、僕は人口減少より衝撃を受けたことがありました。
前述の、タクシー運転手さんに、「もっと観光客が来れば皆さんも豊かになるのでは?」と質問した時の話です。
いつから日本人は、このように「変わりたくない」となってしまったのでしょうか?
少なくとも僕の親の世代は、がむしゃらに働いていました。父は、70歳まで昼も夜も身を粉にして働いていた。同じように働いていた同居していた叔母は「もっともっと働かなければダメだよ」と会うたびに口癖のように言っていました。
長らく続く日本の成長鈍化、そしてある程度の生活できる豊かさは、いつの間にか日本人を「変わりたくない症候群」に変えてしまったのかもしれません。みんなで頑張ればもっと豊かな生活になれるかもしれないのに、「自分は関係ない」と諦めてしまっているように僕には見えました。
「変わりたくない人たち」は、必ず存在する
人生100年時代の折り返しを迎えた僕は今、これからの日本に必ず来る人口減少という未来に対して、「未来の日本のために何かできないか」と、組織課題があり困っている企業で「マイクロ人事部長」という複数の企業で人事責任者やアドバイザリーを行う仕事をしています。
将来に向けて組織改革をしたいのだが、やり方が分からない
人事メンバーが脆弱で、将来への組織戦略が作ることができない
経営が世代交代を迎えており、事業・組織戦略を再構築したい
僕が入る企業は、歴史が長く創業100年を迎える企業もあります。
そのような企業では必ず「今までのやり方」が存在します。そして、一定の成功体験を積んできた社員の皆さんも多くいます。しかし、働き手がいなくなる将来に向けては、事業や組織戦略を根本的に見直す必要があります。
しかし、そんな企業の中で、外部人材である僕(僕自身は社員と同じ気持ちで仕事をしていますが)が入ると、様々な雑音を耳にすることになります。
「変わる必要なんかない。今まで我々のやり方で成功してきた」
「組織変革なんてしたら、今の自分の立場が危うくなる」
「自分は10年後はいないから、変革なんてやる必要はない」
こうしたノイズに耳を傾け、粘り強く対話を続けることが、僕が入ってまずやらなければならない仕事です。単に企業の仕組みだけ変えるだけなら、誰でもできるし(優秀なコンサル会社さんは得意です)、日々業務を行っていく社員の皆さんが「やってみよう」と腰を上げて、最終的に自走していくこと(僕自身がいらなくなること)ができなければ、「マイクロ人事部長」の意味がないと思っています。
組織変革を3年で達成し、自らの社員みんなで自律的に動けるようになること。これは僕がコミットメントするマイクロ人事部長のゴールです。
でも、残念ながら、どんなに粘り強く対峙しても「変わりたくない人」は一定数います。
僕に罵声を浴びせ、話もしてくれなくなる社員も少ないですがいます。
残念ながら、それも実態だと思っています。
自社の10年後の「人事中期計画」を立てよう
多くの経営者の方たちも「変わりたくない症候群」の人は多いです。
いや、というより「何とかなると思っている」「自分たちには影響がないと思っている」と考えていると表現した方が正しいかもしれません。
何故ならば、多くの経営者の方は、人口減少や労働力不足を「どんな影響があるか具体的に実感していないから」だと僕は考えています。頭では問題意識はあっても「我が社にとって具体的にどう影響するのか」を話せる経営者の方は少ないです。
そんな経営者の方には「今後10年の人事中期計画を立てる」ことをお勧めしています。
この企業は創業が古い老舗の上場中小企業です。
昨年はコロナ特需で最高益をあげています。
でも、こんな組織課題を抱えています。
どの部署も「人手不足」を理由に残業が多くなっている
事業の中期計画は立てているが、3年後までしかない
頑張っているが採用に苦労している
昨今の世の中の賃上げ傾向に不安を抱えている
社内で活躍している人とそうでない人が混在
「中期計画」と聞くと、精緻なものを作らねばならないと構えてしまう人が多いのですが、精緻なものは必要ありません。ましてや、10年後の事業計画も立てていないならば、コミットできる数字は出せないはずです。これはあくまでたたき台。まずは「このくらいの規模になっていたい」という目論見ベースで十分です。この「人事中期計画」は、あくまで10年後の組織の姿の大枠を捉えることが目的です。
重要なポイントは2点あります。
10年後までの「定年離職者数」を考慮する
人件費のインパクトのイメージをつかむ
1の「定年離職者数」を正確に把握していない企業はとても多いです。こうした企業では「若手が育っておらずベテランシニアが要職を兼務している」状況が顕在化しています。目の前の業務を回すことに意識がいき、根本的な問題に手がつけられていないのです。でも、今頑張っているベテランシニアがいなくなった時に、組織がどういう状態になってしまうのか。まずはそのイメージをつかむことが重要です。
この企業では、毎年20名の新卒採用を頑張って行っており、離職率は1%と低いのですが、それでも10年後には50名近くの社員数減少に陥ることが分かると思います。このまま成り行きで社員が50名減少し、今と同じ売上を維持すると想定しても、一人当たりの生産性を大きく上げなければ、売上も利益も落ちることが想像できると思います。
2の「人件費インパクト」を正しくつかんでいない企業も多くあります。
このような企業では、「適正な人件費比率」の試算ができておらず、例年から微増の人件費で予算を組んでいるというやり方をしているところが多いです。昨年対比で毎年の人件費をコントロールしているだけで、そこに将来戦略が欠落してしまっているのです。
こうした「理由なき人件費投資抑制」を多くの企業がしてきたことで、成長が鈍化した日本では賃金上昇率が世界的に見ても極めて低い水準となっていることは理解できると思います。しかし、いよいよ政府も本腰を入れて賃金上昇に踏み切り、大手企業中心に賃金上昇に踏み切っているのはご存じの通りです。
ここから先は、人件費投資余力がある企業と、そうでない企業の差が顕在化していくと僕はみています。これは人件費投資余力がある企業に優秀な人材が流れ、そうでない企業は人材の枯渇局面に入る、ということです。
人材がいなければ、せっかくビジネスチャンスが目の前にあっても、そのチャンスを掴むことすらできません。そして、そのような負のループに陥った企業の社員は、どんどん「変わりたくない人」に変化していき、企業はますます活力を失っていくことになるでしょう。冒頭の「南紀白浜空港と取り巻く人たち」は、まさにその姿を表していると僕は感じています。
負け組にならないためにも、今がスタートする最後のチャンスではないかと思います。是非、今すぐに「10年後の未来」を考え、事業・組織の再構築を検討していくことをお勧めします。
よろしければサポートをお願いします! 日本がいい社会になっていくために、自分のリソースをどんどんかけていきたいと思います!