はじめましての話

#はじめまして

はじめまして、大森と言います。
新しいノートパソコンを買ったので日記のように始めてみます。

あと数か月すると、生活の拠点が変わるのですが、
自分で決めたことではあるけれどこんなに気持ちが落ち着かないものかと。
思った以上に緊張しているようで、感情を整理するために文章を書きます。
ウキウキはしますがそれよりもキリキリです。気ウキウキ胃キリキリ。

***

さて、今日は何について書こうか。
一度、これからこの場所をどのように使っていこうか考えてみよう。
僕らしい文章?面白い文章?素人にはあまりにも負担だ。

コラムやエッセイに憧れるきっかけがあるにはある。中学の時同級生にユニークな子が居て、その子がルーズリーフに書く文章を読むのが好きだった。軽い「風刺」が何だかかっこよく見えて、その時感じた悔しい気持ちを何年も持ったままでいる。「あの日のルーズリーフ」で一曲書けそうなほどだ。大人にはなったけど僕にはまだそこまでの才能はないかな。ないな。

そうだ、これから知らないこととの出会いがたくさんありそうだから、「初めて知ったこと」「新しく出会ったこと」これらのことについて書くのはどうだろうか。新生活スタートまでの何か月かは文章を書く練習をしよう。

決まったからには、テーマを決めて話をしてみよう。今日は「はじめまして」の話。

■ 文子は春が苦手だ。心がなんだかとげとげしくなる気がするからだ。文子は感情的な性格なわけではない。仕事場でもむしろ物静かで大人しく、感情の少ない機械のように思われている。根本におとなしさがあると、面と向かって文句を言うことも誰かに愚痴をこぼすこともできず、自分の心だけが考えなくてもいい余計なことでどんどん膨らんでいくような感じになる。文子は植物と読書と食べ物が好きなごく普通の会社員で、少し人間が嫌いなところがあるかもしれない。春先に新しい人間が出たり入ったりするというのはよくあることで、とにかくその得体のしれない人間たちがパーソナルスペースに入って来やしないだろうかとびくびくする季節なのだ。
 今年はどうだったかというと、もれなく嫌いな人間が増えた春だった。はじめましての人間にあんなに自慢をする人間がいるのだろうか。ああ、いやだ。誰でも彼でも一度嫌な部分が見えると文子は攻撃的な意地の悪い塊になる。言動一つとってもここもどんくさい、あそこも気に入らない、果てには日本語もうまく使えない。そんなことで頭がいっぱいになってしまう。
 ある日どうにも我慢がならず気分転換にと、早めの休憩をとってカフェに降りていくことにした。通りに向いた隅の席に座ると、ガラスに映った半分透明な自分の口元が見えた。なぜかそこにある文子の口は動き続けていた。声は聞こえないが、口のはしをゆがませ笑いながら、話続けていた。普通であったら、驚いて悲鳴を上げているようなことである。だが、文子は何だか安心したのだ。何も言えない自分は本来こうあるべきだと前から心のどこかで強く思っていたのだ。この目の前にいる口に、声を譲ってあげたいと思った。
 それからというもの、その誰のものだかわからない口を鏡や電車の窓の中などにたびたび見るようになった。周りは文子の笑顔が増えたことを不思議に思っているようだ。彼女が感じる生活は相変わらずである。

***
800字くらいでしたね。#小説 #ショートショート #短編小説
いかがなもんでしょうか。時間があるときにはいい趣味ですね。
少し勉強をしたら、僕も寝なければなりません。それではおやすみなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?