減量08.数字に囚われすぎない
減量をする際には自身の体重や、普段食べているもののエネルギー(kcal)のように、人が囚われやすい数字がいくつかあります。
「体重」は随分昔から体重計で気軽に測定できるため、多くの人が意識したことがあると思います。ここ最近では、SNSなどでアイドルやモデルの身長・体重が気安く目に映るようになり、「シンデレラ体重」のように無理のある設定をも意識する人が増えているようにも思えます。
「エネルギー」は「カロリー」という言葉で多くの人に認知されるようになり、食材のエネルギーをネットで検索したり、食品の成分表示を利用してエネルギーのコントロールを実施するようになる人も、ここ最近では増えてきたと思います。
これらの数字は上手く使えば体重コントロールに役立ちますが、使い方を誤ると悪い方向に働く危険性も孕んでいます。
1.体重への意識
体重に関しては多くのメディアでも言われていることですし、過去の記事でも触れたので重複することになりますが……。
偏見かもしれませんが、体重を減らしたいと考えている人の多くは「外見」が「細く見える」ようにしたいのだと思います。それが私の偏見だけでなく事実なのであれば、体重という「数値」に拘る必要はないのではないでしょうか。
また、目標とする体重が健康に害のないような設定であればまだいいのですが、「シンデレラ体重」のように無理のある目標だけは設定しないように気を付けましょう。
自身の設定する目標に対して、何を指標とするべきなのかをしっかりと見極めることが必要でしょう。
2.エネルギー(kcal)への意識
エネルギー(kcal)の過不足によって体重が変化するのは間違いがないと考えられます。しかし、エネルギーという数値に囚われすぎるのは、時としては体重コントロール失敗の原因になりかねません。
エネルギーの問題点として「必ずしも正確な値を把握できない」というものが挙げられます。
まず、摂取エネルギーに関しては、同じ食材や食品でも全く同じものがないというのが理由になります。
想像しやすいものとしては食材の個体差というものがあります。スーパーなどで野菜や魚を見てみると、同じ大きさのものは一つとして存在しません。
外見だけではなく、当然含有している栄養素量も異なるため、エネルギーもそれぞれ異なります。「〇〇は△△kcal」というように考えてダイエットを行っていたとしても、偶然選んでいたものが平均よりもエネルギーを含有していた場合は、計画通りにダイエットが進むとは考えられないでしょう。
また、食材には「旬」というものがあります。例えば魚類では「脂がのっている」と旬の食材を評価することがあります。これは、事実として旬ではないときと比べて、味も栄養素の含有量も違います。当然、「脂がのっている」ことによって脂質の含有量が増えると、エネルギーの量も増えることになります。
摂取エネルギーだけでなく、消費エネルギーに対しても拘ることが悪い結果につながることもあります。
エネルギー収支を負にするために摂取エネルギーを抑え、運動を実施してエネルギーを消費することは間違いではありません。しかし、度が過ぎると消費エネルギーの大半を占める基礎代謝量が低下してしまう場合があります。
その結果、普段よりも摂取エネルギーを抑え、運動での消費エネルギーを増やしても、基礎代謝量が低下してしまった分でエネルギー収支が負に至らない場合もあります。
上記のような理由から、エネルギー量を指標にするのはいいことですが、過度に拘るのもよくないと言えます。
3.数字を悪者にするのは間違い
数字への過度な拘りはよくありませんが、かと言って拘らないことが正解とも限りません。
見た目を引き締めることが目標だとして、体重に拘るのは間違いかもしれませんが、ウエストや大腿囲などに拘って推移を追うことは重要でしょう。
こう言ってしまえば元も子もなくなるのですが、数字に拘ることによって生活をコントロールしやすい人がいれば、その逆の人もいます。
自身の性格と相談しながら、継続しやすい方法で体重をコントロールするようにしてみましょう。
4.注意点
一つ言いたいのは、体重を減らすためにはエネルギー収支を減らすことは必要不可欠だというのが管理栄養士の私としての結論です。
稀に、「エネルギーに拘らず〇〇しましょう」というようなダイエットのネット記事などを見かけますが、そのほとんど(揚げ物を避ける等)が結果的にエネルギーを減らしているものがほとんどです。
そう言った言い回しによって、「摂取エネルギーを減らす」ということを無理に意識しないようになり、強迫観念に囚われずに実施・継続がしやすくなるのかもしれません。しかし、そうでない人は羽目を外しすぎるかもしれません。
情報の取捨選択は必要ですが、都合の良いようにだけ解釈し続けることには注意しましょう。
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