沖縄「観光」の再考 サーターアンダギーが運ぶ記憶
十数年前の那覇の街。こぢんまりとした店で、おばーが朝早くからせっせとサーターアンダギーを揚げていた。アツアツの油に浮かぶアンダギーを皺くちゃの素手でつついたりすくい上げたりするのが、幼い僕には魔法のように見えた。
サーターアンダギーは"首里の方言"で「サーター(砂糖)」+「アンダ(油)」+「アギー(揚げ)」から来ている。揚げるという調理法が古代エジプトに確認されていることを思えば(あるいは他に起源があるかもしれない)、文物の連綿とした伝播と変化のなかに、沖縄も組み込まれ