存在しているというだけで
母親からの電話は、大体午前中で、偏差値の高くない東北の私立大学にだらしなく通う私は大概出られない。
昼過ぎに起きて、着信を確認して夕方ぐらいにかけ直す。しかし、その頃には夕飯の支度なのか運転中なのかで、母親が出られず連絡がつくのはいつも夜になるという具合だった。
けれどもその日は天気もよく、一人暮らしのアパートの前の川沿いには桜が咲き始めていたので、身分をわきまえず散歩でもしようかと思い炬燵で気持ち良くうとうとしていた。
高校時代から使っていたPHSは、最初に落とした時