音楽の話
こんばんは。
「好きなアーティストは?」って質問をされたら「スピッツです」と答えると決めている。ライブには欠かさず行きますよってそれっぽい返しができるからだ。
本当は、最近ジャズやクラシックを聴きあさってる。友人宅にお邪魔したとき、彼がiPhoneから福井良(ジャズピア二スト)を掛けていたので反応すると「何も考えなくても聴けて楽だよね」と言われたのがしっくりきたのだけど思い返せば歌詞をちゃんと聴いてる音楽が自分の中にあまりないなと気付いた。
スピッツの音楽も流れるように溶け込む歌詞が特徴だと思っている。テーマはあるんだけどストレートに何かを提示してくるわけでもないし、ストーリーが確立しているわけでもないというか。余白があって押し付けがましくないのがラフに聴けて心地良かったりする。ただ、メロディだったりある一節だったり心にグッとくる要素はたくさん盛り込まれていて、季節が変わるごとに聴きたくなるしどんな心境の時に聴いてもシンクロしてくれる。等身大の音楽だ。
そういえばこの間テレビで甲本ヒロトが「最近の人は歌詞を聞きすぎている」って言っていた。確かに「歌詞が良いよね」ってなんとなく言わなきゃいけない曲が身近に増えた気がする。
学生時代に失恋したときなんかは阿部真央をよく聴いていたし歌詞の意味をそのまま自分に投影して励ましにしていたりしたことはあったけど。今となって唯一、歌詞がちゃんと頭に入ってくるのはハンバートハンバートだけなんじゃないかなと思った。良成さんの書く詞には生活の中のさらに命に近いところで訴えてくるようなものがある上で媚びたものが一切ない潔さがある。無駄な説明書きがなくても、情景が思い浮かんでくる。さらにそれがしんどくない。綺麗事で済ますことのできない辛い部分やつい目を背けたくなる部分をテーマにした曲が多いのに、皮肉にも明るく歌われる様と遊穂さんとの掛け合いが美しい反面際立ち、切なさを越して響くんだろう。
そんなお二人の今年の新譜〈愛のひみつ〉のジャケットがものすごく攻めていて痺れた。音源は良成さんが全ての楽器を演奏したらしいと聴くとさらに気合が伝わるんだけど、どの曲に飛ばしたとしても完成度がすごいなと思ったのが一番の感想だ。良い曲がありすぎて聞き応え満載。強いて今好きな曲は『もうひとつの道』。年代も相まって歌詞が一際刺さってくる。新譜のアルバムで、過去作を抜く勢いでお気に入りにランクインするのってすごくない?って個人的には感動しました。キャッチーでロックなメロディラインが多くて、ステイホームで籠もりがちな気分を明るくしたいなって今のご時世にぴったりなのも嬉しい。ハンバートに馴染みのない人でも入り込みやすい、肩を揺らしやすい一枚だろうなと思う。
世間のイメージと違って本当は力強くて、反骨芯もたまに垣間見せる鋭い音楽なんだけどライブに行くとゆるすぎてハラハラしちゃうくらいただの日常会話(褒めてる)しか出てこないMCなので、そんな夫婦のギャップが大好きだったりする。
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