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Google Art & Culture - 観てから行くか、行ってから観るか?

GWの初め、Google検索画面の一番下に1行だけ案内があったのに気付いたでしょうか? Google Art & Culture、クリックしてみてびっくり!ご存じの方はご存じだったのでしょうけれど、ここまで充実した内容とは知りませんでした。

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うたい文句は?

Over 2,000 Museums at Your Fingertips
Discover art at the Tate Modern, Musee d'Orsay, National Art Center Tokyo, and more

アートの紹介サイトですから、作品に数行の紹介文がついているだけかと思いきや、詳しい解説が添えられており、代表的な作品になると、時代背景から来歴、科学的な分析まで、膨大な情報を読むことができます。

たとえば「真珠の首飾り」を見てみる

ベルリンの絵画館の所蔵品を例にとると、有名なフェルメールの「真珠の首飾りの女」などは、

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以下のような複数の視点からのストーリーが提供されています。それぞれ文章をスクロールすると、自動的に該当の高精細拡大写真が表示され、流れるように解説が進みます。下手なガイドブックよりも充実した内容です。

絵画の来歴と運命
絵画が現在の外観になるまでの経緯
作品の裏側 - 『真珠の首飾りの女』
『真珠の首飾りの女』

本家絵画館のサイトよりも大幅に充実した解説、しかも日本語で読めるのはとてもありがたいです。

ここまでフィーチャーされていない所蔵品についても、97作品(2020/5現在)について、それぞれ拡大表示可能な写真、数百行の解説、本家サイトへのリンクなどがあって、じっくり鑑賞できます。

ちょっと期待した作品

実はベルリンの絵画館を取り上げたのは理由があって、ちょっと期待した作品があったから。何かお判りでしょうか?こういうオンライン展示にとてもマッチした作品です。それは...

ネーデルラントの諺

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この一枚の絵の中に、110個以上の当時のオランダのことわざが描かれているというもの。現地に行ってから置いてあるガイドシート(ドイツ語と英語)を手に取りつつ見比べるのは、時間との兼ね合いで至難の業でしょう。

少々極端な例ですが、こういう解説とともにじっくり鑑賞したい作品にはGoogle Art & Cultureがとても役立ちそうです。そう思っていそいそとProverbsのページに行ってみたのですが...

残念!それなりにことわざの解説は載っているのですが、実際の部屋にあるような、該当箇所をマーキングした1対1のガイドシートはありませんでした。こういうものも是非載せてほしいところですが、まあそこまで手が回らないのでしょう。ここまであるだけでもよしとしましょう。

※ことわざが気になる方は以下からご覧ください。とても楽しめます。でもこれらの日本語サイトでは全部カバーされていないようです。

英語版ならおそらくフルカバーでしょう。現地のガイドシートよりも多く載っているのが少々謎ですが。

観てから行くか、行ってから観るか?

小学校か中学校の国語の教科書に、旅は綿密に調べて行くよりもその時の出会いを大切にしたい、というような文章が載っていた影響か、私は綿密に細部まで計画して観光に行くのは好きではありません。しかし、こと美術館・博物館あるいはクラシックコンサートなどの芸術系に限っては、事前にオンラインでしっかり作品を研究してから行った方が、確実に充実した時間になるでしょう。

知識を十分につけた上で、最後の仕上げとして現地で実物を観る。これにより限られた時間でも深い鑑賞にすることができます。慌ただしい海外旅行ならなおのこと。事前知識のない美術館巡りは、時間に追われて一通り有名どころを「見た」だけになってしまう可能性大です。

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知識は実物を鑑賞するときの感性の邪魔にはなりません。むしろ単にビジュアルの印象を得るだけでなく、知識を総動員した思考を伴うことで、よりしっかりと自分の中に作品を取り込めるでしょう。

事前の知識は余裕を持つことにつながりますから、現地では作品だけにとどまらず、周りの雰囲気・現地でなくては感じられない空気までより深く吸収してきましょう。せっかく現地に行くのですからね。

まず手始めに

ベルリンと言わずとも、Google Arts & Cultureには国内の美術館も取り上げられています。コロナ災厄で外出が難しいこの状況を逆手にとって、今のうちにオンラインで美術館巡りを楽しんでおきましょう。そうすれば、この状況を脱した後、より充実した実際の鑑賞体験が待っているはずです!

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