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君が行く長いこれからを

いつもの美容師さんと「時が過ぎるのは早いですね~」みたいな話をした。

そしたら、「何も達成できずに今年が終わっちゃう気がして…」と返されたのだけれど、その左手の薬指にはほんの2か月前までにはなかった指輪をつけていた。

その日はいつもよりも元気がなさそうにしていた。
きっと調子が悪かったのだろうけれど、かっこよく髪を切ってくれてありがと〜。

その日は急に気温が下がって、空もどんよりとしていた。
気分が落ちてる時って、何もかもうまくいっていないように思ってしまう。
それでも、自分なりのペースで人それぞれ進んでいて、間違ったり回り道しながらも、自分というものを作り上げていくのだろう。

「もう人生終わったわ」だとか「もう生きるの疲れたな」って、ふと思う時がある。

自分の身に起きた不幸であったり、他人と比較したときの自分の惨めさであったり、そういうのを数えては絶望してしまう。
でも、どんなに辛いことがあったとしても、明日は否応なしにやってくる。
悲しみに暮れていたとしても、今日の自分と明日の自分では見える世界が異なるかもしれない。

人の人生は長い。
特別に病気や事故に遭わない限りは、今日という日々が地続きにみたいになっている。

他の人からしたら、大した人生ではないかもしれない。
みすぼらしいもので、とても他人に誇れたものではない。

いっぱい間違えたし、他人のこともたくさん傷つけた。
そんな自分が嫌になって、消えてしまいたいと思うことはたくさんある。

それでも、舞台から降りることは許されなくて、必死に自分を演じていかなくてはいけない。

でも、それは不幸ということではないように思う。

ただ、うまくいかない時期があるだけ。ただ、幸せじゃない時があるだけ。

私の髪を切ってくれる美容師さんも、その日は落ち込んでいたかもしれないけど、今日は素敵な一日を過ごしているかもしれない。
自分のこの1年を振り返っても、何一つ悦ばしい日がなかったわけではない。
友人と旅行に行けたこと、好きな人と食事をしたこと、仕事でうまくいったこと、ずっとほしかったものを手に入れたこと。
振り返れば、素敵な思い出がたくさんある。

幸福とは一つではないのだ。

大変だと思ったことが実は嬉しいことの始まりだったり、すごくいいと思ったことがとんでもないことの始まりだったりする。
悲しい時は悲しい気持ちを存分に味わい、喜ばしい時は喜ばしい気持ちを存分に味わえばいい。

そんな風に生きていけたらいいと思う。















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