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元銀行運用部が「景気後退」と正直でマジメな話をす

景気後退がくると言われています。

「え?そもそも景気よかったの?」

という疑問はどっかの溝に流しつつ、普段は「限界お疲れくたびれ人間」の私が、たまには「金融マーケットに対峙しているプ●キュア」(ちがう)として景気後退についてお話しをしていこうかと思います。

それでは当note、「きらめけ!お金 de 笑顔🫶キュアマーケット誕生!」をよろしくお願いいたします。


■立場が逆転!?なんで景気後退くるって?

景気後退がくるといわれている理由は金利にあります。
今、金利の世界では

ーーーー後輩が上司になった。

こういう悲しい立場の逆転現象が起きているのです。

登場人物は以下のふたり
・2年のもの金利
・10年もの金利

ちなみに、マーケット参加者は、金利さんというラスボスの動向を知るために、日々このふたりをウォッチしています。

で、普段は2年ものの方が金利は低く、10年ものの方が金利は高いのです。

▼▼補足
一応なぜかって説明すると、これは貸し手側の気持ちになるとわかりやすいですよね。

「2年後に返すから100万円貸して」
「10年後に返すから100万円貸して」

こう言われたら、2年なら利息2万円ぐらいはもらうよ
一方で、10年後!? なら利息10万円ぐらいはくれ
※数字は適当ですよ。もっと欲しいですよね

となるわけです。だから、普通は金利というのは期間が短い方が低く、期間が長い方が高いワケですね。
▲▲
補足以上

でもですよ。
後輩である2年ものさん(周りのいうことを素直に聞くいいやつ)が、先輩である10年ものさん(先を見通した行動ができるいいやつ)を追い越して上司になってしまう悲しき逆転現象が起きてしまうことがあるのです。

つまり、2年ものの方が金利が高く、10年ものの方が金利が低くなる現象ですね。

この「後輩が上司になった」現象を、専門用語で逆イールドとかいうんですが、ビジネスかイキリたい場合以外は使わないようにしてください。普段から使うとやべえヤツ扱いされます。

▼▼補足
なんでこの逆転現象、つまり逆イールドが起こるのかというと、2年ものさんの「周りの言うことを素直に聞く」という性格が影響してしまうことが多いのですね〜

皆さんも中学の社会とかで習ったかなと思うのですが、中央銀行の金融政策って、基本的に短期金利をイジるのです。
なので、短期金利の部類である2年ものさんも、中央銀行の言うことをよく聞いてしっかり行動に移します。(緩和政策なら2年ものさんは金利を低下させるし、引き締めなら金利をちゃんと上げる子です)

で、この金融政策のとき、比較的急ピッチに短期金利を上げたりすると、2年ものさんが上司になる逆イールドが発生することが多いのです。
▲▲補足以上

で、ヒストリカルに見ると、この「短い金利が長い金利を上回る逆転現象 = 逆イールド」が起きたほとんどの場合、その後に景気後退が起きてきたわけです

なので、市場では逆イールドというのは景気後退の予兆と一般的に考えられています。

そして、そうです。その逆イールドがいま、起きているということですよね。

後輩を上司にする職場なんてステキだと思いますが、なかなかそうもいかないのですね。

■景気後退すると世の中は?マグニチュードはわからない

マグニチュード7ぐらいの景気後退が来るとなると、企業の倒産が増えて、失業率が上がります。典型的なのはリーマンショックですよね。

順番としては
①ものが売れなくなって企業の業績が悪くなる
②企業の信用力が悪化する
③銀行の融資姿勢が悪くなる
←「銀行は雨の日には貸してくれないんですね…!」という例のアレですね〜

こうして③で貸し渋りが起こっている中、企業業績が悪いとなると、最悪、

④倒産する企業も出てくる
⑤失業率が上がる

という順番ですね。これが、
「企業の業績がやや鈍化するだけで、②までいかなくて済むのか?」「③までか?」「⑤までか?」
など、どこまでのマグニチュードになるかはプロの方々でも正確にはわからないことです。

コロナ補助金の影響が剥落し始めるこれからが一体どうなるか、は注目しなくてはいけないですよね。

余談ですが、コロナの助成金で営業外収益が増えているところも多いのです。
それもあって、2021年の倒産件数が6,030件と過去50年いちばん少なかったのです。

東京商工リサーチより筆者加工


でも今後は補助金にもなかなか期待できず、さらに言うと日本の人の流れはまだ完全に戻っていないので、飲食店はこれからが大変だと話す経営者さんも多いです。

■景気後退すると実生活は?副業副業ってアータね

生活への影響でいうと、雇用が不安定になるということですよね。

これ↓はマグニチュードがすごかった場合の話で、多くの方は楽観視しているからそこまで心配しないで欲しいのですが、(不安を煽りたいわけではない)

  • 企業の求人ニーズも減って就職氷河期が来るかもしれない

  • 転職もしにくくなるかもしれない

  • 企業のIT投資とかも減るだろうからクラウドワークスとかココナラとかの案件も減るかもしれない

  • ボーナスも減るかもしれない

  • 派遣切りみたいなことも起きるかもしれない

こんな感じで、就職・転職・副業・ボーナス含めて雇用全体に影響が出るのかもしれませんね。

繰り返しますが、これ↑はマグニチュードがすごかったケースです。多くの市場関係者はここまで悲観していないように思います。

■備えたいんだけど何ができる?A.正直な話……

マグニチュード7レベルが来たら、ほとんど一個人が備えることはできないと思います。上で書きましたが、企業のIT投資だって減るので、クラウドソーシングであるような副業もイマイチになるかもしれないですからね。

ただ、投資の話はいくつかできます。(てかそれが専門だろ。出来なくてどうする。あとプリキュアはどこいった)

(1)教科書通りなら〇〇だけどさ

教科書通りにいくと、景気が悪くなった時は、信用力の高い先進国の国債がベターと言われます。
景気が悪くなると長期金利が下がるので、(金利が下がると価格が上がるのが債券価格のセオリーですから)債券は若干プラスになる可能性があるという理由ですね。

ただですよ!!
日本の国債は今は買い時ではないと言われています。
※※ココから少しの間、ようわからんって方は飛ばしてもモーマンタイでございます※※
理由は日銀総裁の黒田さんが任期満了になって後任の方(雨宮さんかな?)がイールドカーブコントロールを10年ものじゃなくて5年ものにするなどはあり得る話だと思いますが、そうなると、今までイールドカーブコントロールで下げてきた10年ものの金利が上昇し、債券価格は下がる可能性がありますよね。そうすると、今日本国債を買うのはベストじゃないと見る方が一定数いるという話です。※※ココまで※※

じゃあアメリカの国債はどうだと。
これもですね、円高に触れちゃうと、その分目減りするので利回りにすると思うように振るわない可能性があります。

(2)え、じゃあどうすればいいの?株は?

株のお話もしておきましょう。
景気後退局面では、下落に備えるという意味で、電力ガスとかの公益系とか医薬品や食料品みたいなのがセオリーとは言われますよね。

ちなみに、いよいよ景気後退の蓋然性が高まってきた場合、原材料価格が下がると可能性が高く、そうなると、今まで原材料価格の上昇によってキッツ〜状態だった小売系とかが戻るかもしれないですよね。
まぁ、今は異例の事態でエネルギーは上がってますが……。

小売系の中でも特に、海外から仕入れて国内で売りますみたいなところは注目を集めやすそうですね。

こういうところは「円安」と「エネルギー価格の上昇」のダブルアンパンチを食らっていたので、景気後退がきて、この2つが逆回転した場合の戻りが期待されるのでしょう。

とまあ、これがサイクルから考えた教科書通りの話です。

特殊要因①ドラスト

上であげたもの以外に、特殊要因としてリオープンというのがあります。
訪日観光客の上限撤廃とかで、今後訪日外国人が増えるので、菅さんもおっしゃっていましたが、「円安局面で経済にプラスになるような」企業ということですね。
中でも!!!
先ほど言った小売系 + 外国人ということで、ドラッグストアが注目されています。特にコレ!!!!という銘柄はあるのですが、ここで無責任に言うことはできないので、控えておきますね……(本当は言いたい)

ちなみに注意点も話すと、インバウンドといった時に重要なのは中国の方です。中国の方がいらっしゃらないと、リオープン効果は顕在化はしないだろうと思うので、そこは要チェックですね。

特殊要因②BANK

ちょっと本格的にプロっぽい話になってしまいますが、、、、
イールドカーブコントロールを10年じゃなくて5年に変わる想定すると、キャップのあった長期金利が上がり、10年国債での利回りがgoo!からの銀行にとってはいい話になるのでは?とも言われています。

マグニチュードが低いケースだとしたら?

例えば2017年(のQTの時)ですね。
このときは逆に株がめちゃくちゃ上がっています。

企業の業績はそこまで悪化しなそうだし、アメリカの利上げも終わりそうとかだったら、成長企業なんかはむしろプラスなので、マグニチュードの震度によっては成長企業、いわゆるマザーズ系の中小型株にはいいかもしれないと考えることができます。

1つ言われているのは、マグニチュードに関係なく、過去3年ぐらい続いてきた大型優位の傾向も終わるかな!?ということです。外需系の企業が多いからですね。

■最後に残念なお話し

と、ここまでつらつらと投資の話をしてきましたが、あくまでもこれは資産形成とかのサブ的な話で、マグニチュードが大きくなると、本業が痛手を被る可能性も高いです。
リーマンの時のように、トントンと「肩たたき」があって自主退職(日本はいわゆる解雇は簡単にはできないのでね)を促すような世界観になるかもしれないのです。
なので、景気後退に対して一律にコレ!という万能薬は残念ながらないとは思います。

状況を知り、考え、行動するしかないわけですね。byキュアマーケット

途中から景気後退についての暗い話ばかりだったので、プ様がどこかへ行ってしまいました……


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