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子どもの睡眠と社会的スキルの関係


子どもの睡眠パターンと社会的スキルの発達 ― 研究が注目する点

睡眠は、私たちの日常生活の中で欠かせない要素ですが、特に子どもたちの健やかな成長においてその重要性は計り知れません。
最近の研究では、子どもの睡眠パターンが彼らの社会的スキルの発達にどのように影響を与えるかに焦点を当てています。
つまり、子どもの睡眠が、彼らの「友達との上手な付き合い方」に意外な影響を与えているんです!保護者や先生方、このお話、ちょっと興味深くないですか?

子どもの社会スキルとは??
基本的に年齢とともに子どもの社会的スキルは発達していきます。研究でも使用された項目について紹介します。
1.協力性
2.自己制御(セルフコントロール)
3.主張
以上の3要素が社会的スキルとして紹介されています。

上記のグラフは、2歳から4歳までの子どもたちの社会的スキルの発達を示しています。
年齢別に「協力性」、「自己制御」、「主張」という三つのスキルのスコアを比較しています。
協力性(Cooperation): 2歳から4歳にかけて、協力性のスコアが着実に上昇していることが示されています。
自己制御(Self-Control): 同様に、自己制御のスコアも年齢とともに上昇しています。
主張(Assertiveness): 主張のスキルも年齢が上がるにつれて向上していることが見て取れます。

睡眠と発達の深い関係

子どもたちの健康な成長において、睡眠は中心的な役割を果たします。特に、自閉症を持つ子どもたちのケースでは、睡眠の質の改善がその後の社会的関連性の向上に繋がることが以前の研究で明らかにされています。これは、睡眠が単なる休息を超え、子どもたちの社会的なスキルセットの発展にも寄与することを示唆しています。

子どもの睡眠パターン

健康な子どもたちの中でも、睡眠の開始と覚醒の時間の日々の変動は、彼らの行動や発達に大きな影響を与えます。しかし、睡眠パターンと社会的スキルとの間の関係はまだ十分には理解されていません。

そこで今回紹介する研究では、特に健康な子どもたちの起床パターンと社会的スキルの発達との関連に焦点を当てて研究されました。
起床時間が、子どもたちの日々の活動や社交性、感情調整能力にどのように影響を与えるのかを探り、社会的スキルの発達にどのように影響を与えるかに光を当てることで、子どもたちの全面的な発達を支援するための重要な知見を提供しています。

それでは、
The trajectory of children ' s social skill from 2 to 4 years and their waking up patterns.(2~4歳児の社会的スキルの軌跡と起床パターン)から紹介します!


研究紹介

研究方法

参加施設と対象者
日本全国の認可された子どもの夜間保育センターおよび日中保育施設が参加。対象は、これらの施設に通う2歳の子どもたち。

データ収集:
保護者は、子どもの睡眠時間に関するアンケートに回答。保育専門家が、施設での各子どもの発達を毎年評価。

社会的スキルの評価:
子どもたちの社会的スキルは、2007年から2009年にかけて、保育専門家によって評価されました。使用されたのは、日本で標準化された社会的スキルスケール(SSS)。

研究プロセス:
家族と子どもに関する変数には、子どもの性別と年齢が含まれていました。
2歳と3歳のときに起床時間を尋ね、専門家が協力、自己制御、主張の3つの要素に基づいて社会的スキルを評価。

起床時間のグループ分け:
研究では、子どもたちを2つのグループに分けました。
第1グループは、起床時間が午前10時より遅い、または2歳の時から3歳になるまでの間に起床時間が30分以上遅くなった子どもたちです。(遅起き群)
第2グループは、起床時間が午前10時より早く、2歳から3歳になるまでの間に起床時間が30分以内で変わらなかった子どもたちです​​。(早起き群)

社会的スキルの評価
日本では、学齢前の子どもたちの社会的スキルの評価方法はまだ十分ではありません。このため、研究者たちは新たに日本版の社会的スキルスケール(SSS)を開発し、子どもたちの社会的スキルをより詳細に測定しました。

統計分析:

睡眠パターンと社会的スキルの発達軌跡、家庭環境との関連を評価。


結果:起床時間が子どもたちの社会的スキルの発達に影響する

このグラフは、起床時間が子どもたちの社会的スキル、特に協力性と自己調整能力にどのように影響するかを表しています。
研究の結果、早起きする子どもたち(早起き群)が、これらのスキルにおいてより高い成果を示していることが示唆されました。 ​​

協力スキル(Cooperation)の発達: 早起きする子どもたち(Early Wakers)と遅く起きる子どもたち(Late Wakers)の協力スキルスコアを比較しています。
早起きする子どもたちが遅く起きる子どもたちよりも高い協力スキルのスコアを示しました。
自己調整スキル(Self Regulation)の発達: 早起きする子どもたちと遅く起きる子どもたちの自己調整スキルスコアを比較しています。 同様に、早起きする子どもたちが自己調整スキルにおいて高いスコアを示しました。
参考文献より著者作図

保護者への示唆:日常に活かせるメッセージ

この研究から得られた洞察は、保護者や教育者にとって非常に重要です。
子どもたちの起床時間を規則正しく保つことで、彼らの社会的スキルの発達を促進することができます。特に、午前10時より早く起きる習慣をつけることが、子どもたちの協力性や自己調整能力の向上につながる可能性があります。特に、規則正しい起床時間が、子どもたちの日々の行動や社会性に良い影響を与えていることが考えられます。

まとめ
この研究は、子どもたちの睡眠と起床パターンが彼らの社会的スキルの発達に深く関与していることを浮き彫りにし、保護者や教育者にとって新たな睡眠習慣管理の視点を提供しました。

保護者のみなさんへ
朝の時間、大切にしましょう!子どもたちが午前10時前に起きるようにして、一日を元気にスタートさせるのがコツです。それだけで、子どもたちの「友達との上手な付き合い方」がグンと成長するかもしれませんよ。
毎日のちょっとした工夫が、子どもたちの大きな成長につながります。

今後も日常に有益な情報を発信していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました😄

参考文献📗
Tanaka, E., Shinohara, R., Watanal, T., Onda, Y., Sugisawa, Y., Hirano, M., Ibng, L., Mochizuki, Y., Morita, K., Kawashima, Y., Amarsanaa, Gan-Yadam, Wu, B., Tbkutake, K., Nannba, M., & Anme, F. (2014). The trajectory of children ' s social skill from 2 to 4 yeapolds and their waking up patterns.

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