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非力怪力美人男関連の話

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怪力非力美人男キャラまとめ

怪力非力美人男キャラまとめ

加瀬 イヴァン/怪力美人男

「彼、愉快でしょう? まぁたまにイラつくことはありますけどね」
Age:25
Height:180cm
Blood type:B
Birth day:8.10
とあるヤクザ組織の構成員。愛称イヴァ、ヴァーニャ。
日本とロシアのハーフだが、本人は顔的にどこかの国とのハーフなのだろうと思っているだけでどこの国かは把握していない。日本生まれ日本育ち。
儚げで美しい見た目にそ

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July.2 怪力美人男

July.2 怪力美人男

「お前、傘はどうした」
「あぁ忘れました」
 シノギを終えて外に出たらざあざあと雨が降っていた。朝は降っていなかったが、この時期ならいつ降ってもおかしくないというのは分かりきったことでもある。
「天気予報見てねぇのか?」
 ビニール傘を差しながら煌河がこちらに問いかけてくる。天気予報は見てはいるが、ちゃんと質問に答えてあげる義理はない。
「貴方はその見た目でちゃんと天気予報をチェックするんですねぇ

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July.3 そこそこ筋肉のある男

July.3 そこそこ筋肉のある男

 イヴァンと共に、借りた金を返さねぇ奴らとお話し合いをし、俺は屋敷に顔を出してから帰ると伝えあいつと別行動をとることになった。
 顔を出したところで特に何かあるわけでもなく、適当にいる奴と駄弁り、いい時間になったので最後に黒滝さんに挨拶をして家に帰った。
 ただいまと言おうが返事は一度も返って来ないので無言で玄関を開け、リビングに向かう。明かりがついているし、テレビの音も聞こえるのであいつはきっと

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July.4 非力美人男

July.4 非力美人男

 はてさて、やってしまいましたね。なるべく平静を装っても、小麦粉をキッチンの床にこぼしてしまった事実は変わらない。少しだけだったらまだいい。一袋。一袋丸々こぼしてしまった。
「どうしましょう。……勝手に袋に戻ったりしません?」
 現実逃避で床にこぼした小麦粉に話しかけてみた。……まぁ、どうにもなりませんよね。
 暇つぶしにケーキでも作ってみようと思ったのが運の尽きだった。あんなこと思わなければ手元

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July.5 強い男

July.5 強い男

「もっと早く買いに行けば良かったのでは? もう夜じゃありませんか」
 隣を歩くガクが、ぶつくさと文句を言う。
 こいつが昨日ぶちまけた小麦粉を買うためスーパーまで買いに行き、今はその帰り道。小麦粉以外もいろいろと買っていたらそこそこ遅くなり、夕方に出かけたはずがもうすっかり暗くなってしまった。
「お前が朝なかなか起きなかったせいだろ」
「昼頃にはちゃんと起きてましたよ。そのとき買いに行けばよかった

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July.6 怪力美人男

July.6 怪力美人男

「おぉ、久しぶりじゃねぇか」
 シノギ帰りに煌河と屋敷に立ち寄り、部屋で他の構成員と話していたら黒滝さんが話しかけてきた。煌河含め立ち上がって挨拶しようとする人たちを「あー座ったままでいい」と制し、イヴァンの隣に座る。
「お久しぶりですね。僕に何かご用ですか?」
「いや、特に用はねぇけど珍しい顔がいたもんだからな」
「そうですね。僕は招集がない限り、顔を出しませんからね。あれと違って、ね」
 先ほ

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July.7 そこそこ筋肉のある男

July.7 そこそこ筋肉のある男

 うちの組はなぜかそこそこイベント事を大事にするのだ。ヤクザなのに。
「全く、わざわざ招集かけた理由がこれですか」
 来て早々、渡された短冊をヒラヒラさせながら不服そうにイヴァンが隣に座った。
「まぁいいだろ。お前こういうときぐらいしか来ねぇし」
「昨日も来ましたよ。まぁ、どっかの誰かさんのせいで目的は果たせませんでしたけど」
「だからさぁ、その目的何なんだよ」
「別に貴方のせいだなんて言ってませ

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July.8 非力美人男

July.8 非力美人男

 久しぶりに彼らの組の内情でも探りましょうかねと思い、外に出たのが間違いだった。暑い。茹で上がって死ぬのではないかと思うほど暑い。扇子で扇いでみても、熱風が来るだけで涼しくもなんともない。むしろ余計暑い。スマホで気温を確認すれば37℃と表示された。体温より暑いじゃないですか……。
 何の収穫もなしに帰るのは癪だと思いながら歩いていた。が、もういい。これ以上意地を張っても、待つのは死だ。帰ろうと思い

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July.9 強い男

July.9 強い男

 昨日後回しにした分もあり、今日はだいぶ帰りが遅くなってしまった。もう日付が変わっている。さすがに寝ただろと思いつつ、玄関のドアを開ければまだリビングの電気がついていた。
 消し忘れか? さすがに起きてるわけねぇもんな。などと考えながらリビングに向えば、
「遅かったですね。待ちくたびれましたよ」
 いた。ガクが本を読みながらソファに座っていた。
「おぉ……ただいま」
 いると思っていなかったので若

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もこもこパジャマの件 非力美人男

もこもこパジャマの件 非力美人男

 リビングでテレビを見ていれば、玄関のドアが開く音が聞こえた。ようやく黒滝が帰ってきたのだろう。……いつもと違い不規則な足音が聞こえてきた。嫌な予感がする。が、自室に戻るにはリビングに向かっているであろう黒滝とすれ違う必要があるため逃げることはできない。諦めてソファに座ったまま待っていれば、
「よ~帰ってきたぞ~」
 案の定、酔っ払いが入ってきた。黒滝はそのままフラフラと歩きながら、ガクの隣にどか

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もこもこパジャマの件2 強い男

もこもこパジャマの件2 強い男

 ズキズキと痛む頭を押さえながら、黒滝はベッドから起き上がりスマホのアラームを止める。完全に二日酔いだ。高校時代の先輩の誘いに乗った次の日は大抵こうなる。
 昨日のことを思い出そうとしても何も思い出せない。とりあえあずベッドで寝てたみたいだし良しとするか。この前はリビングの床で、ガクに踏まれて起きたし。
 とりあえずあいつ起こしに行くか。と思い、自室を出てガクの部屋に向かう。
 案の定、ガクは寝て

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もこもこのパジャマの件3 強い男

もこもこのパジャマの件3 強い男

「プレゼントです」
 帰ってきてリビングのソファでくつろいでいた黒滝に、ガクが紙袋を手渡してきた。とてもいい笑顔をしている。
 ……この顔は確実にロクでもないものだよなと思うが、仕方ない。腹を括って紙袋を受け取る。中から取り出せば、朝ガクが着ていたものと色違いのパジャマが出てきた。
「……いいこと、か」
 朝に「いいことを思いつきました」とガクが言っていたことを思い出す。やはりこいつに祈るだけ無駄

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