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<事例2>HRのキーパーソンが語るManaging Complexityの魅力とは。リピート受講の決め手に迫る。

組織と社会の関係はますます複雑になっています。今求められているリーダーシップとは何でしょうか。そして、Managing Complexity(以下MC)のスキルとは何でしょうか。いち早くMCを導入し、現在も受講を続けているLINE社とNEC社のキーパーソンに、プログラムの効果と次世代のリーダー像について話を聞きました。


「意図」を持って世界を見る力を養える

寺田 「LINE社では、2021年からリーダーシップを担当する役員や責任者など、重要な役割を持つ社員にMCを導入しています。このプログラムの魅力は、Learning Outcomeという共通の言語を身につけることができることです。何かを深く理解するためには、意図を持って見る必要がありますが、このプログラムを通じて、具体的な意図を網羅的な共通言語で学ぶことができます。例えば、イーロン・マスク氏のツイッター買収について、Learning Outcomeを用いて会話をする機会がありました。このプログラムを受講したメンバーは、他人の経験を自分の経験と結びつけながら思考を深めることができるようになっています。」

※Learning Outcome(以下LO)とはこのプログラムで習得するリーダーシップに関する18のコンピテンシー。それぞれに明確な定義があり、意識して実践しやすい点が特徴。

岩田 「LOの利点に同意します。私たちのチームでは、人々のパフォーマンスを評価するための言葉が不足していました。以前は『なんかいいよね。頑張ってるよね』というような曖昧な評価でしたが、LOを使うことで、どこが良いのか、どこを改善するべきかを具体的に話すことができるようになりました。

組織に包括的なコンセプトがないと、『見て倣え』になり、特定の強みに偏ったチームになってしまいます。それを考えると、LOは私たちにとって多様性を認め合えるツールになりました。一方、LINEさんは個々の力を上手く活用している印象がありますが、それについてはどうでしょうか。」


NEC DGDFビジネスユニット 主席ビジネスプロデューサー 岩田氏

寺田 「色々な『個』があるという考えは浸透していますが、ともするとそれ自体がバイアスになる場合もあります。大事なのは色々な視点があると知り、それを自分の引き出しに持つこと、例えば『個』だと思っていたものを共通化できることに気づけると、物事を客観的に整理して動かせる。そういう側面でもLOを活用できていると感じています。」

「問う力」を徹底的に装着するための「学習の科学」

寺田「Managing Complexity (MC)のプログラムの最大のポイントは、問いの網羅性や深さが変わることです。多くの気づきを得ることで、起きている事象へのアプローチや考え方が広がります。参加者同士がディスカッションを重ねながら理解を深め、実践力を高める仕組みが、自社のニーズに非常にマッチしました。

私自身、別の役割としてコーチングを行っているのですが、良質な問いを投げかけて頭の中を活性化させる点で、MCのセッションとコーチングには多くの共通点を感じています。」​

岩田「問う力を磨く点でコーチングに似ていますね。このプログラムは知識の習得に重点を置くのではなく、バイアスを排除して知識を吸収し、実際に使いこなすことにフォーカスしています。知識を単に思い出すだけでなく、思い出して活用することが重要だというメッセージが、プログラムの基盤となっているサイエンスオブラーニングから伝わってきます。

そのため、10週間のプログラム終了後も学びの場を継続する仕組みが大切だと思います。受けて終わりではもったいなく、継続的に学び合うことで、得た知識をさらに深め、実践力を高めることができます。」

継続的な学び合いの場づくり ~LINE社の先行事例~

LINE株式会社 Talent Successチーム マネージャー/ 新卒採用チームマネージャー 寺田氏

寺田「LINE社では、週に1度、現役の参加者同士が30分ほど事前課題について会話をしています。時には卒業生も参加し、交流が図られます。また、卒業生アルムナイも存在し、毎月その月に発揮したLearning Outcome(LO)を互いに発表し合っています。発揮できなかったLOについても話し合うことで、再認識と意識の向上を図っています。

このように、学び合いの場での言語化と認知を大切にする仕組みを導入し、プログラムを卒業しても自発的な学びが継続するよう工夫しています。MCのアサイン時から、内発的動機を高めるコミュニケーションを心がけていることもポイントです。」

岩田「我々にとっては社内でのアルムナイ活性化にはまだ工夫の余地があるので、アサイン時の工夫という話はとても参考になります。」

次代のリーダー像に求められる姿勢

寺田「組織にMCを導入する際に、もう一つ意識した点は、あえて高いレイヤーの役員から導入することです。組織に流れる問いや文化に影響を及ぼしているのはリーダー層なので、彼らが変われば大きなうねりが期待できます。」

岩田「組織に影響力のあるリーダーから順に理解した方がいいというのは同じ感覚です。経験豊富なリーダーがその経験を普遍的な言葉にできることで再現性を高められるし、実行力やアドバイスのレベルも向上します。MCは感情も含めたその人の経験値を自分で整理するパーソナルナレッジツールになりうると思います。」

寺田「型をインストールするだけ、与えられたものを吸収するだけになってしまうと、このプログラムの良さを生かしきれない。それだともったいないですね。」

岩田「リーダーシップにおいて、教える側から学ぶ側への転換が必要です。昔のように『知っている=偉い』という時代は終わったと思っています。今後のリーダーは、自ら学び、チーム全体が学び合う環境を促進できることが求められる。リーダーは問いを立て、さまざまな選択肢を提示し、チームの意見を取り入れつつ、感情も含めて目標に向かって導くことが重要です。」​

導入によって期待できるシナジーの最大化

寺田「MCの卒業生が口を揃えて言うのは共通言語を持ててよかったということ。そういった意味ではグループ間やグローバルでシナジーを追求するときに、互いを理解するための共通言語構築に向けて導入すると親和性が高いと感じています。言葉の意味が文化によって微妙に違うと認識の齟齬につながるリスクがあり、LOで明確な定義を深く学ぶことで会話のグリップ力が高まると思います。」

岩田「異なる文化やバックグラウンドを持つ人々と共通の言語を築くことは非常に重要ですね。同じ文化内で過ごすと、似たような視点になりがちです。組織が変化や複雑性に適応するためには、新しい視点が不可欠です。MCを受講することで、外部の意見を求める必要なく、自ら新しい視点を持ち込むことができる点は、他にはない価値だと思います。」

寺田「このプログラムがもっと広がっていくことが大事だと思います。一度この学びを通過するというのは、複雑性に対峙しているどの組織においても必要だと感じています。」

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