平野峰生
生業として描く鉛筆肖像画。 肖像画が存在する理由は、その数だけあった。 すべての肖像画には、物語が存在する。
鉛筆風景画
誕生の肖像画は、お祖母様からいただいた写真。 1歳の肖像画は。お母様からいただいたお写真より描いた。 そして、2歳。はじめて、彼女に会ってこの肖像画を描いた。 は…
可愛い… 自分の描いた画なのだが、見る度にこの言葉がこぼれてくる。 彼女の姿に出会う度、子供とは無条件に、心からただただ愛される存在なのだと感じずにはいられない…
生まれたての乳飲み子の無垢な瞳… 描き始めには、子どもの生き生きとした生命力を表現しようと 躍動的なタッチの残るデッサン画でと考えていたが、 この瞳に見つられなが…
笑顔の肖像画を「和顔鑽仰」と題して描き続け、初めての個展を開催した。その個展会場で、 「年上の私が先に逝った後でも、家内が寂しくなく、私と一緒に楽しく暮らせるよ…
わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかに…
2021年4月8日 10:16
誕生の肖像画は、お祖母様からいただいた写真。1歳の肖像画は。お母様からいただいたお写真より描いた。そして、2歳。はじめて、彼女に会ってこの肖像画を描いた。はじめは人見知りをして、見ず知らずの私を不審そうに見つめていた。いや目をそらしていた。彼女も緊張していたが、私も緊張していた。嬉しいことに、ご両親の私への対応を眺めているうちに、安心してくれたのだろう、徐々に慣れ、たくさんのおもち
2021年4月8日 06:35
可愛い…自分の描いた画なのだが、見る度にこの言葉がこぼれてくる。彼女の姿に出会う度、子供とは無条件に、心からただただ愛される存在なのだと感じずにはいられない。はじめて“スプーン”で食べるご飯が楽しくて…、美味しくて…はじめて笑った。はじめて立った。はじめて歩いた。彼女の「はじめて」の喜びに出会い、自分自身の「はじめて」の喜びを思い出し、その大切さ、その幸せを忘れずにいたいと
2021年4月8日 05:55
生まれたての乳飲み子の無垢な瞳…描き始めには、子どもの生き生きとした生命力を表現しようと躍動的なタッチの残るデッサン画でと考えていたが、この瞳に見つられながら描くうちに、より細密に細密にと鉛筆を走らせていた。彼女の純粋でまっすぐな眼差しは、「すべてを知っている者」かのように私の心を射抜いた。私は彼女を知っている…彼女は私の全てを知っている…生後まもない子供の瞳は、神や輪廻
2021年4月8日 05:17
笑顔の肖像画を「和顔鑽仰」と題して描き続け、初めての個展を開催した。その個展会場で、「年上の私が先に逝った後でも、家内が寂しくなく、私と一緒に楽しく暮らせるような肖像画を描いて欲しい」と彼は言った。描く姿は、趣味と言える日本酒を晩酌している姿。仕事柄、転勤が多く、各地の日本酒を楽しんでいるうちに趣味となった。退職後は、妻が用意する肴を味わいながら嗜んでいる。妻にとっても、その姿の私が、
2021年4月8日 04:36
わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です(あらゆる透明な幽霊の複合体)風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながらいかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈のひとつの青い照明です―宮沢賢治 心象スケツチ「春と修羅」より引用眼が見つめる「目に見えない物語」私が描く肖像画を見て「ひかりですね」と話しかけてくれた人がいた。そう言われて、頭をよぎ