平野峰生

平野峰生 鉛筆肖像画家  1962年生 愛知県在住

平野峰生

平野峰生 鉛筆肖像画家  1962年生 愛知県在住

マガジン

  • 【和顔鑽仰】介護施設で出会った笑顔の肖像画

  • 【燈の記】 肖像画の物語

    生業として描く鉛筆肖像画。 肖像画が存在する理由は、その数だけあった。 すべての肖像画には、物語が存在する。

  • 【観自在記】人物肖像画 亡き人への想いを紡ぐ物語

  • 個展情報

  • 産土の心 飛騨種蔵

    鉛筆風景画

記事一覧

2 years old 【燈の記#4】

誕生の肖像画は、お祖母様からいただいた写真。 1歳の肖像画は。お母様からいただいたお写真より描いた。 そして、2歳。はじめて、彼女に会ってこの肖像画を描いた。 は…

平野峰生
3年前
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1 year old 【燈の記#3】

可愛い… 自分の描いた画なのだが、見る度にこの言葉がこぼれてくる。 彼女の姿に出会う度、子供とは無条件に、心からただただ愛される存在なのだと感じずにはいられない…

平野峰生
3年前
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Come into the world 【燈の記#2】

生まれたての乳飲み子の無垢な瞳… 描き始めには、子どもの生き生きとした生命力を表現しようと 躍動的なタッチの残るデッサン画でと考えていたが、 この瞳に見つられなが…

平野峰生
3年前
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命は愛する人のためのもの 【燈の記 #1】

笑顔の肖像画を「和顔鑽仰」と題して描き続け、初めての個展を開催した。その個展会場で、 「年上の私が先に逝った後でも、家内が寂しくなく、私と一緒に楽しく暮らせるよ…

平野峰生
3年前
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すべての肖像画には物語がある。 【燈の記 #0コンセプト】

わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかに…

平野峰生
3年前
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2 years old 【燈の記#4】

2 years old 【燈の記#4】

誕生の肖像画は、お祖母様からいただいた写真。
1歳の肖像画は。お母様からいただいたお写真より描いた。
そして、2歳。はじめて、彼女に会ってこの肖像画を描いた。

はじめは人見知りをして、見ず知らずの私を不審そうに見つめていた。
いや目をそらしていた。
彼女も緊張していたが、私も緊張していた。
嬉しいことに、ご両親の私への対応を眺めているうちに、
安心してくれたのだろう、徐々に慣れ、たくさんのおもち

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1 year old 【燈の記#3】

1 year old 【燈の記#3】

可愛い…
自分の描いた画なのだが、見る度にこの言葉がこぼれてくる。

彼女の姿に出会う度、子供とは無条件に、心からただただ愛される存在なのだと感じずにはいられない。

はじめて“スプーン”で食べるご飯が楽しくて…、美味しくて…
はじめて笑った。
はじめて立った。
はじめて歩いた。

彼女の「はじめて」の喜びに出会い、
自分自身の「はじめて」の喜びを思い出し、
その大切さ、その幸せを忘れずにいたいと

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Come into the world 【燈の記#2】

Come into the world 【燈の記#2】

生まれたての乳飲み子の無垢な瞳…

描き始めには、子どもの生き生きとした生命力を表現しようと
躍動的なタッチの残るデッサン画でと考えていたが、
この瞳に見つられながら描くうちに、
より細密に細密にと鉛筆を走らせていた。
彼女の純粋でまっすぐな眼差しは、
「すべてを知っている者」かのように私の心を射抜いた。

私は彼女を知っている…
彼女は私の全てを知っている…

生後まもない子供の瞳は、
神や輪廻

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命は愛する人のためのもの 【燈の記 #1】

命は愛する人のためのもの 【燈の記 #1】

笑顔の肖像画を「和顔鑽仰」と題して描き続け、初めての個展を開催した。その個展会場で、
「年上の私が先に逝った後でも、家内が寂しくなく、私と一緒に楽しく暮らせるような肖像画を描いて欲しい」と彼は言った。

描く姿は、趣味と言える日本酒を晩酌している姿。
仕事柄、転勤が多く、各地の日本酒を楽しんでいるうちに趣味となった。
退職後は、妻が用意する肴を味わいながら嗜んでいる。
妻にとっても、その姿の私が、

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すべての肖像画には物語がある。 【燈の記 #0コンセプト】

すべての肖像画には物語がある。 【燈の記 #0コンセプト】

わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の
ひとつの青い照明です

―宮沢賢治 心象スケツチ「春と修羅」より引用

眼が見つめる「目に見えない物語」
私が描く肖像画を見て「ひかりですね」と話しかけてくれた人がいた。
そう言われて、頭をよぎ

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