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もう受賞は当然と思っていい。『ドライブ・マイ・カー』アカデミー賞受賞凱旋記者会見をみて思ったこと。

第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』の凱旋記者会見が、2022年4月5日、日本記者クラブで行われました。
出席したのは、プロデューサーの山本晃久氏、濱口竜介監督、主演の西島秀俊さんの3名。
濱口監督は、とても丁寧に率直に記者の質問に答えていて、すごく質問に真摯に向き合う人なんだなという印象を受けました。 
この記者会見を見て、個人的に気になったコトを記しておきます。

受賞は当然だと思う。もはや快挙ではない。

『ドライブ・マイ・カー』は、第94回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞(2019年に外国語映画賞から名称変更)の4部門にノミネートされました。
4部門にノミネートされたこと、特に作品賞と脚色賞にノミネートされたことは、ほんとうに快挙だと思うのですが、今季の賞レースでは、すでに結果を出しており、外国語映画賞での受賞は、ある意味当然で「快挙」と言うには当たらないと思うのです。
(作品賞だったら、本当の快挙でしたね)

『ドライブ・マイ・カー』受賞歴(配給会社による受賞歴まとめ)↓
豪華すぎる受賞結果です!!

しかも、過去、日本映画は意外と外国語映画賞にノミネートされてきているんですよ。『砂の女』『影武者』『泥の河』など、計14本がノミネートされています。

2008年には、『おくりびと』がオスカーを受賞しているので『ドライブ・マイ・カー』は、日本映画としては2度目の受賞となります。

それ故に「日本映画なのにノミネートされたり、受賞したりした。」
という事実を「快挙」ともう呼ばなくてもいいんじゃないと思ってしまいました。
「快挙!」と喜ぶことは、裏を返すと、「日本映画なのにアカデミー賞にノミネートされるなんてすごい!」という自虐的な意味になってしまいます。

だからこそ、アカデミー賞にノミネートされることを「快挙」と呼ぶのはもう終わりにして、そろそろ、「外国語映画賞にノミネートされるのは当然」くらいのスタンスで、わたしたち映画ファンも心構えをしておきたいです。
いつまでも「快挙・快挙」と讃えているだけだと、次がまた13年後になってしまいます。

ハリウッドには「字幕の壁」があると言われてきましたが、その壁は2018年に『ROMA』が外国語映画として作品賞にノミネートされたあたりで崩壊し始め、2019年に『パラサイト半地下の家族』が作品賞を獲得したことで、崩壊したと言っても良いんじゃないでしょうか。

日本映画もまたすぐチャンスがやってきてほしいですよね。
少なくとも濱口監督には、近いうちに2度目のノミネートが訪れることでしょう。

今回の凱旋記者会見で濱口監督は、アカデミー賞前の食事会でクロエ・ジャオからもらった「stay sanity」という助言にも触れていました。
今回の体験を糧にして、次回以降の作品に生かしていってくれるんじゃないかと、映画ファンとしても楽しみです。

そのほか、記者会見では、監督が西島秀俊さんを主演に選んだ理由や、西島さんがアカデミー賞で感じたことなどを聞けて興味深いインタビューでした。

ちなみに、『ドライブ・マイ・カー』チームは、トイレ休憩していて、ウィル・スミスのビンタ騒動を見ていないらしいです(笑)

国際長編映画賞でのオスカー受賞、本当におめでとうございます!

日本記者クラブでの記者会見


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