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峯丸ともかの2021年度ベスト映画10本

あけまして、おめでとうございます。2022年1月1日です。
朝6時40分に起きて、初日の出を見ました。
その後、twitterを流し見しながら、みなさんの新年の抱負や、昨年のベスト映画をチェックして、2021年は、「みんなも頑張って燃えていたんだなぁ」と思いながら、現在9時30分になりました。

この年末年始は、映画やドラマの話題作が配信&公開されるので、仕事的には完全にはお休みできないのですが、気持ち的にはのんびりと過ごせています。

今日は午前中、少しだけ仕事をして、午後は映画を見に行こうと思っています。

2021年のベスト映画10本はこちらです↓

クロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』は、ノンフィクション本を原作にしたフィクションなのですが、創造と実録のはざまの世界を、ふわふわと漂っているような不思議な世界観に包まれた映画でした。
これから公開されるジャオ監督の映画は、すべて鑑賞したいくらい好きです。

2021年度に公開された映画を見ていると、欧米では、女性監督がある程度自由に映画製作できる時代に入ってきたのかなと感じました。

女性監督としてクロエ・ジャオ監督はもちろんですが、『トムボーイ』のセリーヌ・シアマ監督にも注目しています。
2020年に公開された『燃ゆる女の肖像』は、鑑賞当時よりも、1年たった現在のほうが、ジワジワと心に浸透しているというか、焚き火の火が、消えずに小さく燃え続けているような心象を残す映画でした。
なぜかふとした時に、『燃ゆる女の肖像』を思い出し、ココロの中にポッと小さく火を灯してくれるという、今まであまり体感したことがない映画だったのです。

そのセリーヌ・シアマ監督の過去に制作した映画が、2021年に日本で公開されました。2011年にフランスで公開された『トムボーイ』です。
この映画は、母親には内緒で、男の子として行動する10歳の少女の物語です。
この映画にも心が揺さぶられました。
シアマ監督の映画は、ほんとうにジワジワと心に火を灯すのが特徴で、『トムボーイ』でも、性別ってなんだろう?という根本的な疑問を、こんなにソフトに投影できるんだという驚きが、鑑賞している最中から体の中を駆け巡っていきます。

しかも、この映画、10歳の少女の理解者が、6歳位の妹という血縁者特有の心のつながりを自然に描いているんです。
単純な言葉にすると、心の琴線に触れるという現象が起きます。
二人の関係性に、自分の家族との体験を重ねてしまい、涙が流れて仕方がなかったです。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、一口では言い表せない映画でした。
エメラルド・フェネル監督は、明らかに新たな時代の女性キャラクターを生み出そうとしていました。

今まで男性監督が作ってきた既存の設定とは別のタイプのヒーローを作ろうとしたんじゃないかとおもうのです。
うーん、でもヒーローと言ってしまうとちょっと違う気もします。
たとえば007のような誰でもがわかるヒーローではなくて、男性のクリエイターたちが作ってこなかった役柄を、あえて作ろうとしたのではないでしょうか。
性的被害を受けた親友の敵討ちのストーリーではあるのですが、フェミニズムだけを追求している映画ではありません。
主人公のキャシーは、若くて美しく、でも生活も精神的にも破綻していて、病的でもあるのですが、親友のために復讐しようとしている。
とうていヒーローとは言えない人間なのですが、彼女なりの正義を貫こうとしていて、そのためには自分の人生を賭けて挑むわけです。

ある意味自暴自棄でもあるから、絶望を抱えた人間の壮大な自己犠牲なのか、復讐なのか判断がむずかしいのです。
でも、現実の世界ってそういうものですよね。なんでもかんでも白黒つけられないし、感情もそうです。
何かをカイケツしたいと思っても、そうそう思いどうりにいかないし、失敗もミスもする。
ジェームズ・ボンドのように、なんでもカイケツできちゃう人間なんて、なかなか存在しないはずです。
だからこそ、ボンドはヒーローなのですが、そうではなくて、悩み、白黒つけられずに過ごしている一般のわたしたちの中のキャラクターを描こうとしたのかもしれません。
彼女の復讐は、社会的にはダメではあるのですが、男性クリエイターが考えてきて、もはや使いふるされてしまった相手を殺しまくる復讐キャラのように、暴力を使うことはない。
キャシーの復讐方法は、少しだけキュートでもあり、ちょっと間が抜けているようにも思える。
なんかずーっとモヤモヤした心を抱えながら鑑賞していくと、最後の最後にバーン!と映し出されるのが絵文字です。
あのラストを見て、テンションが上りました。
「あ、わたしはエンタメ作を見てたのか」と最後に思えたというか、「いろいろモヤモヤさせてきて、最後に絵文字かぁ」と驚き、最高のエンタメ作だなぁと感嘆しました。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』についても、ほかの映画についても、もう少し語りたいのですが、実は今年から音声配信を始めようと思ってます。
アカウントを準備中なので、続きは後日また!


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