ターゲティング:マーケ用語徹底解説
どの業界にもあるように、マーケティング業界にも数多くの専門用語があります。日常生活では耳にする機会がないこともあり、ふんわりとした理解のまま、その用語を使っていることもあるのではないでしょうか。
今回、解説する「ターゲティング」とは、自社の製品やサービスを購入してもらえそうな顧客を絞りこむことです。マーケティング戦略論の中でも特に中心的な概念と言えるでしょう。
顧客を絞り込んで、効率的にアプローチ
ターゲティングとは、簡単に言えば「顧客の絞り込み」です。自社製品の顧客になり得る全ての人に対して広告を出したり営業担当者を派遣したりすることは、予算や人員などのリソースが無尽蔵でない限り、現実的ではありません。
自社製品を買ってくれそうな顧客を何らかの手段で見つけ出し、その層を優先的かつ集中的に“狙って”マーケティングすることで効率を高めるのがターゲティングです。なお、より学術的な意味でのターゲティングとは、マーケティングの大家であるフィリップ コトラーが提唱する「STP分析」の一要素です。
ターゲティングとデジタルの相性の良さも、特筆すべきでしょう。人々はいま、パソコンやスマートフォンを通じてインターネット上でさまざまな行動をとっています。こうした人々に最適なwebコンテンツを表示することで、マーケターはより効率的にwebサイトを活用できるようになります。
デジタル広告ならターゲティングはより柔軟に
顧客に最適なwebコンテンツを表示するには、顧客の属性情報が必要で、この情報こそがターゲティングの土台になります。顧客のグループ分けとしては年齢、性別、居住地、職業などが典型的。例えば化粧品の広告を出すとしたら「30代女性、関東近郊在住の会社員」などと指定できます。
またインターネット広告におけるターゲティングはテレビCMや新聞広告と比べ、技術的な意味での絞り込みが柔軟、かつ容易です。よって小規模なスタートアップ企業や、全国展開とは縁遠いローカル店舗などでも、デジタル広告であれば利用しやすいと言えます。
一方、当然ながらデジタルは、スマートフォンやPCといったデジタルを使わない人たちをターゲティングすることができません。また自分の趣味や嗜好に対してより積極的な行動を取る人たちを対象にしたいというときには、スマートフォンやPCだけでなく、対象の雑誌を購読していたり、お店を実際に訪問している人をターゲティングするのも有効でしょう。
顧客のプライバシーを配慮しながら解像度を上げる「パーソナライゼーション2.0」
こうしたターゲティングの発展形として、アドビが提唱しているのが「パーソナライゼーション2.0」という考え方です。これまでターゲティングは顧客の個人情報や属性情報を収集することが主題となりがちでしたが、最近ではCookie規制を始めとした法整備の影響もあり、過度に個人情報を収集して顧客を特定する手法が時代にそぐわなくなりつつあります。
パーソナライゼーション2.0は、顧客の属性ではなく興味に対してターゲティングする「パーソナライゼーション」をより推し進め、顧客のデータを適切に取得して管理し、プライバシーに配慮しながらも顧客の解像度を上げるための考え方です。パーソナライゼーション2.0について詳しくは「パーソナライゼーション2.0:マーケ用語徹底解説」も合わせてお読みください。