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ポッドキャストって何? デジタルエンゲージにも有用って本当?:ポッドキャスト入門

近年、配信プラットフォームやユーザーの増加により、注目されているポッドキャスト。インターネット上で配信される音声コンテンツで、デジタルエンゲージの手法の一つとしても捉えられています。

今回から始まる連載企画「ポッドキャスト入門」。初回はポッドキャストとは何か、なぜ多くの企業が参入してデジタルエンゲージに活用しているのかをご紹介します。


ポッドキャストとは

ポッドキャストはスマートフォンやパソコンで楽しめるインターネットラジオのようなサービスで、最大の特徴は誰でも簡単に音声番組の作成・配信ができることです。もともとは2005年にアップル社が発売した携帯型デジタル音楽プレイヤー「iPod」と、放送するという意味を持つ「Broadcast」をかけ合わせた造語として生まれました。

現在は、

  1. インターネット上のポッドキャストアプリ・サービスで聴くことのできる音声コンテンツ

  2. 世界的に最も拡散性の高い配信規格(RSSを通してマルチプラットフォームに拡散できる)

という2つの意味を持った言葉として使われています。

(1)インターネット上のポッドキャストアプリ・サービスで聴くことのできる音声コンテンツ

・Apple Podcast
・Google Podcast
・Spotify

上記などのプラットフォームを利用して、パソコンやスマートフォンで簡単に無料で聴けます。配信されているのはニュースやコメディ、ドラマ、語学学習など。幅広いコンテンツをラジオのように楽しめるのです。

(2)世界的に最も拡散性の高い配信規格(RSSを通してマルチプラットフォームに拡散できる)

ポッドキャストは、配信者が音声データをインターネットにアップロードするだけで、さまざまなプラットフォームへ配信されます。番組の立ち上げやエピソードの配信を簡単にできるため、誰でも自由にポッドキャストを運営できます。

国内の利用者数・利用時間が増加

「ポッドキャスト国内利用実態調査2022(オトナル・朝日新聞社調べ)」によると、現在の国内のポッドキャストユーザーは、1680万人。2020年に14.2%だった国内利用率は、2022年に15.7%に増加しています。

特にユーザーが増加したのは2020年。1年以内にポッドキャストを聴き始めたユーザーが全体の47.1%を占めており、コロナ禍を機に利用し始めた人が多くいるようです。

2022年に実施された「耳のスキマ時間に関する調査(株式会社オトバンク調べ)」によると、「コロナ禍の前後で、音楽以外の音声コンテンツを聴く時間が増えた」と回答した人が「かなり増えた」(10%)、「やや増えた」(24%)と、全体の34%にのぼり、ポッドキャストのような耳で聴くコンテンツを楽しむユーザーが増えていることが分かります。

また「ポッドキャスト国内利用実態調査2020(オトナル・朝日新聞社調べ)」によると、ポッドキャストを聴き始めたきっかけは「SpotifyやAmazon Musicで聴けるようになったから」という回答が全回答のうち2番目に多い22.5%。世界的知名度を誇る大手プラットフォームがポッドキャストを配信し始めたことも、利用者数や利用時間を増加させる追い風になりました。

さらに、高性能なワイヤレスイヤフォン、ヘッドフォンが普及し、耳に装着する時間が増えたことも、音声コンテンツの利用機会を増加させるきっかけになっていると推測されます。

新型コロナウイルス感染症の流行によって、リモートワーク・在宅ワークをしながらの「ながら聴き」需要が増えたことで、各メーカーによる製品の音質やノイズキャンセリング機能の向上が加速。良い音で気持ちよく聴けること、一日中ずっとイヤフォンをつけたままでもストレスがかからないことが、ポッドキャストの利用者数や利用時間の増加につながっていると考えられます。

なぜポッドキャストでデジタルエンゲージ?

利用者数が増加しているメディアということ以外にも、ポッドキャストがデジタルエンゲージとして優れているポイントがあります。

検索や購買を促す影響力が強い
「ポッドキャスト国内利用実態調査2020(オトナル・朝日新聞社調べ)」によると、ポッドキャストを聴いた後、情報の検索経験がある人は66.7%、商品やサービスの購入経験がある人は35.8%だそうです。このことから、ポッドキャストが利用者の検索や購買を促す効果を期待できる媒体であることが分かります。

ブランド認知効果が高い
SpotifyとNeuro-Insightが実施した調査では、ポッドキャストで情報発信した場合、他の全てのメディアと比較してブランド認知効果が19%高くなったことが判明。またSpotifyとNielsenが実施した「広告接触者への脳波計測ブランド認知度調査」では、「動画のみ」接触した場合より「音声のみ」に接触した場合の方がブランド伝達の優位性が高くなりました。

音声コンテンツだからこそ発信者の感情や想いが伝わりやすい
音声はテキストとは異なり感情が声にのるため、話し手の言葉が伝わりやすいのが特徴です。そのためサービスや商品への信頼を感じてもらいやすいことも、デジタルエンゲージの手法として優れている理由のひとつといえるでしょう。

そんな中で、デジタルエンゲージの取り組みとして、ポッドキャストの配信を行う企業が増えてきています。大手企業も多く参入しており、工夫を凝らしたコンテンツを発信しているのです。

以下にポッドキャストを配信している企業の事例をご紹介します。

サッポロビール「声の大人エレベーター 黒ラヂオ」
「サッポロ生ビール黒ラベル」のTVCM「大人エレベーター」シリーズの新企画としてスタートした、音声版大人エレベーター「声の大人エレベーター 黒ラヂオ」。「大人エレベーター」の世界観をそのままに、2人のゲストによる対談を配信しています。

講談社「聴く講談社現代新書」
現代思想や経済、金融、哲学、社会学、サブカルチャーなどをテーマに、毎月3~4冊の新刊を発行している新書シリーズ「講談社現代新書」。その新刊や名作から毎週1冊ずつ、概要と作品の冒頭を朗読で楽しめます。

北欧、暮らしの道具店「日曜ラジオ チャポンと行こう!」
クラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」が運営しているポッドキャスト番組。同店スタッフがインテリアや買い物、子育て、コミュニケーションなど暮らし方や働き方にまつわるトークを配信。これまでに累計約1400万回再生されています。

アドビ「Adobe Experience Cloud ポッドキャスト」
アドビの持つ卓越した顧客体験創出のテクノロジーと専門知識を活かし、最新のデジタルマーケティングやCXM(顧客体験管理)の理解を深めることのできる体感学習型ポッドキャスト。変化を続ける顧客のニーズを予測し、企業がデジタル変革を推進することで優れた顧客体験を提供するためのヒントをお届けしています。

ポッドキャストの魅力や始め方を次回から紹介していきます!

今回はポッドキャストの概要やデジタルエンゲージの手法として優れている理由などをご紹介しました。

次回からは、具体的にどのようにデジタルエンゲージとしてポッドキャストを活用すると良いのか、ポッドキャストの始め方や配信する際に意識することについて説明したいと思います。


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