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insight(インサイト)ブックレビュー 自己認識を高め、エゴに振り回されない 

insight(インサイト)という本を読みました


自己認識(インサイト)の時代です。


今、所属しているビジネス研究会の課題図書で出されている本を読み終えました。insight(インサイト)ー今の自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力-。学ぶことが多かったので、引用を多く紹介しながら、まとめていきます。

この本のエッセンスは、ビジネスの文脈で、「どうエゴを手放して、自分や周りに気づき、組織のために自己認識を高めるか?」ということだと理解しました。

マインドフルネスの文脈でも、エゴを手放すっていうのが最終的に大事なテーマだし、依存症からの回復における12ステップという原理でも、エゴ中心的に生きたためにアディクションになったのだからエゴを手放して人のためになるように謙虚に生きていこう(すみません大胆な要約) ってことを言っているのです。

結局どの登山口から「自己認識」「自己受容」「謙虚」といった山にのぼるかですが、このinsightでは、ビジネスの文脈からの山の登り方を教えてくれているガイドで、刺激的な学びがたくさんありました。

自己認識のない上司の例

スティーブという社長さんが出てきます。部下に威圧的で怒鳴りまくるのにまったく自分が周囲に悪影響を及ぼすことに気づいていません。

かつて成功し、素質は十分で、頭が良いことは間違いないのに、自分がどう見られているかについてのインサイトが完全に欠けている人。

ターシャ・ユーリック,中竹竜二. insight(インサイト)いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力 (Japanese Edition) (p.78). Kindle 版. 

行動経済学者でノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマンによると、「自分の無知を棚に上げることにかけて私たちは、ほとんど無限の能力」を持っている

同上

研究では、人間が自分のことを客観的な事実以上に賢く、面白く、細く、見た目がよく、社交性があり、運動神経があり、優れた学生で、優れたドライバーだと見なす傾向にあることが示されている

同上

ということで、自己認識が正確でないことが積み重なると、この本のなかで「スティーブ病」とよばれる状態、横柄で自分が正しいと思い込んでいるやっかいな上司になってしまうということなのです。

自分が実は有能なリーダーではないのかもしれないという自己認識を受け入れたくないために、否認して、エゴを肥大させていく過程というのは、アルコホーリクが本当はみじめで、寂しい自分を認めたくないため、あるいは怒りを抑えるためにアルコールを利用して現実を見ないようにする(要するに自己認識を曇らせる)ことと同じじゃないか!と思いました。

否認は、自分に対し、周囲に対しても、さまざまな問題をもたらす可能性がありますから、取り組んでいきたいですね。

他人にフィードバックを求める

フィードバックはギフトだ

insight

基本的に、あなたのことはあなたより他人の方が客観的に見ている。

insight

望ましくないフィードバックからも謙虚にそこから学ぶ姿勢が大事ということです。人は、望ましくないフィードバックは避けようとする傾向があるため、あえて、自己認識向上のためにこういったフィードバックを受けることが大切です。

一生懸命行った仕事で、苦しいフィードバックを受けるのは時にしんどいこともありますが、そういったフィードバックにこそ学ぶべきことがあるということなのでしょう。

アメリカ第三二代大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルトがかつて述べたように、「勇気とは恐れがないのではなく、恐れがあろうが、他にもっと大切なものがあると判断することだ」。

insight

組織の心理的安全性が高いこと

エドモンドソンは、安心して互いに助けを求め、ミスを認め合い、厳しい話題を持ち出せる共通意識を表現するにあたり、心理的安全性という言葉を作り出した。中略「何でも許すということでも、ひたすらポジティブなふりをすることでもなく、声を上げた者に対して恥をかかせたり、排除したり、罰したりしないという信頼感のことです」

insight

この心理的安全性のあるチーム、組織がもっとも優れたパフォーマンスを示すといいます。エドモンソンの本は去年読んだので、またそちらのブックレビューもアップしたいと思っています。

心理的安全性を感じているチームの方が優れたパフォーマンスを発揮する理由は、まさにチームとしての自己認識レベルが高いからだった。

insight

ということで、自己認識と、心理的安全性の関係が明らかされています。自己認識の高さが心理的安全性にも貢献しているのです。

また、リーダーやメンバーが弱さを見せることも、時には大切なのです。

実際、グーグルによるリサーチでは、心理的安全性を生むのに最も大きく貢献する要素は、弱さを見せること、つまり自分の欠点を進んで周りに認めることだと判明した。しかも、それはトップから始めなければならない。

insight


しかも、リーダーから、積極的に自分の人間らしさや弱さを示す必要があるということです。これらの知見は、ヴァルネラビリティーの研究者、ブレネ・ブラウンも指摘していることですね。最近読んだ本が全部繋がった感じがします。

組織の自己認識とは、すべての利害関係者(従業員、組合員、消費者、株主、卸売業者、コミュニティ、議員など)から積極的にフィードバックを求めて市場の現実と向き合い、ニーズの変化に自社がいかに適応しているかを利害関係者たちに知らせ続けることだ

insight


自己認識の最大のジレンマは、自己認識が最も必要な人こそ、最もその必要性を理解していない

と、いうことです(汗)

そのため、本書では、そういう人を変化させるための3つの方法も紹介していました。いろいろな他のビジネス書でも、こういった自己認識のない、自己愛の強いリーダーが致命的なダメージを組織に負わせる傾向にあるが、その人にどう自己認識をもってもらうのか?ということが大きなテーマのように感じられます。

最も成功をおさめている人びとは、自己認識を手にしようと取り組んでいるだけではなく、手にした認識に基づいて行動し、見事に活用している

insight

本書を読んで

エゴを手放すことは、とても難しい。本書にも示されている通り、さまざまなやり方でインサイトを培いつづけること、フィードバックを他人からも得つづけることが(時に耳がいたいことも)が大切と感じました。

自分の場合はどうなんだろう?と気になったので、思い切って、一番身近な他人である夫に、私の短所を聞いてみた。

「感情的なところかな?」

ああ、よかった、それなら知ってたよかった。取り組んでます(爆)

感情も、思考も一過性のもの。感情は感情でしかない・・に取り組みたいですね。今年は(汗)

(さっそく頓挫しているが)そもそもnoteを毎日続けるって思ったのもエゴなのか?それとも利他的なものなのか?とか、色々微妙で検討し続ける必要があるわけで。検討し続けることに意味があるというか、それが自己認識の訓練になるのかとも思います。

本書では、「人の目線でどうか」「人の役にたつか」「リーダーとしてエゴを捨てて、組織のために」みたいなところも、自分自身を理解することにプラスして大事ということなのです。自己認識を高めるワークものっていたので、また取り組んでシェアしたいと思います。

12ステップでは、最終的に目指すは、「自己受容」「社会に貢献する人になる」「謙虚を身に纏え」という教えがある。そのために、日々の棚卸をする。恐れていないか、自己中心的でないか等を日々みていきます。

12ステップを頑張りすぎてもやや抑うつになると私個人は思っています。そのため、「人のために生きる」でも、「自分のエゴのため」の「人のためより」な間に、解決策はありそうな気がします。「見極める賢さ」「中道」といったところが大切なのかなと考えました。

自己認識とは、要するに、自分自身のことを明確に理解する力──自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力だ

ターシャ・ユーリック,中竹竜二. insight(インサイト)

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