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【経済本100冊】Vol.16:『ニュースの“なぜ?”は日本史に学べ』(著:伊藤賀一)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成


こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。
こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。


今回ご紹介するのは、伊藤賀一さんの『ニュースの“なぜ?”は日本史に学べ』です。

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基本情報

タイトル: ニュースの“なぜ?”は日本史に学べ
著者名:伊藤賀一
初版発行年月:2018年11月
ページ数(大体):約240pg
難易度所感〈五段階〉:★★★ ほどよい


大和の適当あらすじ

日本史を通じて、日本の政治経済の事象のルーツを探って行こうと言う解説本。


全体の感想

代ゼミ講師による解説本かなと思いきや、プロフィールを見ると、著者はリクルートのオンライン予備校「スタディサプリ」の講師でした。予備校もオンライン化が進んでるんですねぇ。全体的に歯切れのよい論調で、誰でも学校で学んだような基本的な歴史的事実や原則から、ちょっとマニアックな所までカバーしており、その基本情報とマニアック情報のバランスが丁度良くて良かったです。どちらかと言うと経済学の詳しい所まではカバーしておらず、上手く日本の歴史的事件と関連付けながら、全体としての政治経済のトレンドを把握して行くと言う感じです。

テーマが政治・軍事・外交・日本人的気質にまでと多岐に及んでますが、その内経済に関連の深い内容の所をピックアップしてみました。日本国内にフォーカスする余り、世界情勢の分析が無かったので、そこが僕的にちと物足りなかったですが、日本史を通じてしか知り得ない観点が多々あるので、読んで損はありません!


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★対岸の火事が経済を成長させる
★日本史上、トリクルダウンは一度も起きたことが無い
★少子化は適正人口に戻る過程
★少子化の直接的な理由ベスト3
★日本は学歴階級社会になりつつある
★江戸が世界一の都市になれた理由ベスト5
★大坂が「天下の台所」と呼ばれたのは西回り航路のお陰
★東京が日本一の理由は南海路のお陰
★大阪経済が存在感を失ったのは地回り経済のせい
★名古屋経済が好調なのは政治的・経済的に要衝だったから


< 各詳細 >


★対岸の火事が経済を成長させる
・・・歴史的に、景気が大きく飛躍する要因の一つは、「他国の戦争」である。第二次世界大戦後の日本はスタグフレーション(不景気下の物価高)でフラフラだったが、朝鮮戦争による「特需景気」で一気に経済復興した。復興に伴う国内の設備投資拡大で起きたのが1955年からの「神武景気」と1957年からの「岩戸景気」である。しかしこれらは内需主導の好景気だった為、設備投資で外国から機械や材料を買うと、外貨保有高が減って景気後退してしまう恐れがあり、これを「国際収支の天井」と呼ぶ。しかしここでベトナム戦争が起きたことで、国外輸出で外貨獲得の流れができ、国際収支の天井を越えることができたのである。


★日本史上、トリクルダウンは一度も起きたことが無い
・・・安倍政権は、アベノミクスによるトリクルダウン効果を主張するが、日本の歴史上、トリクルダウンが起きたことは一度も無い。「トリクルダウン」とは、富裕層や大企業を豊かにすると、富が国民全体に行き渡ると言う仮説である。第一次大戦中の大戦景気ですらトリクルダウンは起きず、寧ろ米価急騰で米騒動が起きている。高度経済成長期の成長は、トリクルダウンと言うより、全員が一様に上向きの成長である。なのでアベノミクスは期待できないし、新アベノミクスの「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心に繋がる社会保障」は、最早政策の矢ですら無く、目標そのものの「的」でしかない。

★少子化は適正人口に戻る過程
・・・少子化がよく問題視されるが、戦後と言う特殊な事情で起きたベビーブームと現在の少子化を比較することは無理がある。歴史的には、日本の人口は奈良時代の500万人から徐々に増え、江戸時代に3000万人、大正時代に6000万人、昭和45年に1億人に達している。昭和時代前期までは戦争や占領地移住等の特殊事情が重なる為、適正人口を考える上で参考にはならない。自然に考えれば大正時代の6000万人程度、以後自然に高齢化が進んだことを考慮しても7000万人が日本の適正人口であると結論付けられる。現在の人口減少は適正人口に戻る過程だと捉えれば、ポジティブに捉えられるだろう。


★少子化の直接的な理由ベスト3
・・・日本の少子化が進んだ直接的な原因は3つある。1つ目は個人主義の浸透で価値観が多様化したこと。「自分の人生を大事に生きよう」と言う発想になれば晩婚化・非婚化が進む。2つ目はアメリカから恋愛結婚と言う価値観がもたらされたこと。恋愛は「好き」と言う感情で結婚するので、逆に好きで無くなれば別れると言う発想になり、離婚率が高くなる。3つ目は子育てにお金がかかること。国が発展して社会が複雑になると、知識・技術習得の為の教育費がかかるようになり、経済的な理由から子供を諦める人が出て来るのである。


★日本は学歴階級社会になりつつある
・・・格差がよく問題視されるが、日本は資本主義国なので、格差が生じること自体は当然である。自由なら平等ではなく、平等なら自由ではない。一方、資本主義は「結果の平等」はないものの、才能や努力次第で大きな結果を得られる「機会の平等」は求めることができる。しかし、日本は学歴社会であり、教育にかけるお金があるかで子供の将来の経済力も固定されてしまう。「学歴社会は崩壊した」と言われても、実際成功者や言論人の肩書きを見ると高学歴である。格差が固定されてしまう状態を「階級社会」と言うが、日本は小泉政権時代に構造改革・規制緩和で自由競争に走り過ぎ、格差が拡大して階級社会になりつつあるのが現状である


これより先は有料コンテンツとなります。価格は200円と、週刊少年誌よりも安く変える値段ですので、更にサクッと学びを深めたい方は是非ご購入下さい。

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