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自称HSPから考える認知の変化〜白黒つけるのやめようぜ〜

初めましての方は初めまして。いつも見に来てくださっている方,お世話になっております。スプーン界のスクランブル交差点,占い屋はると申します。

spoonの悩み相談カテゴリをみているとHSPの人話しませんか?や自称カウンセラーによるあなたがHSPかどうか判断しますというタイトルの配信を見かけるようになりました。

そもそもHSPとは何なのか

Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)といい、「とても敏感な人」という意味で、この頭文字を取ってHSP(エイチエスピー)といいます。1996年人にエレイン・アーロン(Elaine Aron)博士によって提唱された「人の気質」を表す名称です。

Ilse Sand(2016)によると人口の約20%がHSPと言われています。しかし明確な病気・診断基準はなく,DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)-5やICD-10(国際疾病分類第10版)には定義されていません。

自称HSPの何が恐ろしいのか

病気という定義がなく,診断基準も明確に存在するわけではありません※1。そのためインターネットでHSPと調べれば,こういった特徴や傾向がある人はHSPだ!という定義をいくらでも見つけることができます。ノリとしては〇○型血液型の説明書に近いです。

ただ明確な定義や基準が存在しないため,自称カウンセラー※2によってあなたはHSPですねと言われたり,本人が勝手に私はHSPだと思い込むことができます。

そのうえでHSPにはこういった特徴や傾向が見受けられやすいというものが存在します。あくまでも見受けられやすいということに着目ください。

例えば判断基準が1問1点の50問あったとして,30個当てはまる人はHSPの傾向があるという尺度があったとします。
その尺度を試した結果,35個当てはまったから私はHSPの傾向があるのか,じゃあ私はどういうことに気をつければ少し楽になれるのか?という風に考える手段として活用することはいいことだと思います。

とくに血液型占いと違うところは少なくともHSPという気質自体は医学関係で認知されており,その気質によって苦しんでいる人がどうしたら少しでも気楽に過ごせるかという部分まで解説している本も存在します。

しかし自称HSPの中に一定数の割合で発生するのが100%あてはまっていないと不安になる方が発生します。

50個の項目があるのに私は35個しかあてはまってない!私はHSPなんだから全部あてはまらないとおかしい!と。

心理学でいうところの認知的不協和状態が発生しています。自分はHSPなんだから全部当てはまらないことはおかしい!そうだ,じゃあ当てはまらない部分の性格や行動,認知を変化させることで全部の項目にあてはまるようにしよう,と

これはアジア圏の特に日本で当てはまりやすい傾向にありますが,何かしらの尺度(型という方がわかりやすいかな?)を提示されたときに白か黒でしか判断しません。つまり全部に当てはまってないならHSPではない,全部当てはまって初めてHSPだと考えるわけです。

不思議な話ですよね。そういった気質を持っている人が一定数いるのだからどうやったら少しでも認識をましにできるかを考えるはずが,悪い方向に認知を変化させてしまっています。

これに関してはHSPがどうこうではなく,自らが悲劇のヒロインとしての役割を手に入れたいがために起きている現象なのかなと。

結論

病気や気質というものは本来,その人の状態を正しく把握し,そこからどう改善させるか,どういう風に日常生活に差し支えがないように送るかを考えるために使うものです。にもかかわらず,自分が悪い方向に考えるために使ってしまっては本末転倒と言えるでしょう。

もう少し,白と黒だけじゃなくグレーって考え方ができるようになるとましになるのかもしれません。


HSPに関して学術的に,そしてどんな風に付き合えばいいのか知りたい方はこちらがお勧めです。

HSPに限らず生き辛さやしんどさを抱えている方はこちらをぜひ。


※1
HSPの傾向を調べるための尺度そのものは提案者のAron & Aron (1997)によって作成されています。

※2
ここでいう自称カウンセラーとは公認心理師もしくは臨床心理士,医師免許以外の資格を保持しているカウンセラーを指します。

引用文献

Aron, E. N., & Aron, A. (1997). Sensory-processing sensitivity and its relation to introversion and emotionality. Journal of Personality and Social
Psychology, 73, 345‒368. 

Ilse Sand(著), 枇谷 玲子(訳).(2016). 鈍感な世界に生きる 敏感な人たち. ディスカヴァー・トゥエンティワン社


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占い屋はる
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