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過去の体験が、いま起こることってあるの?

過去の体験が、いま起こることがあります。

えっ、そんなバカな! 過去がいま起こるわけないでしょ!

はい、過去がそのまま起こるわけではありません。

過去の体験が、急激に、いま起きているかのように、蘇る現象があります。
誰にでも起こるわけではありません。

そのことが、自分で気がつく場合と、
それが過去のこととつながっているとは、
自分ですぐに気がつかない場合の、両方があります。

どちらも急激に起きて自分が圧倒されてしまう場合、それをフラッシュバックといいます。

フラッシュバックの定義と、影響、および対処方法について、説明します。


フラッシュバックの定義

フラッシュバックとは、
過去に経験したトラウマや強烈な感情を伴う出来事が、
突然鮮明に思い出され、
まるでその瞬間を再び体験しているかのように感じる現象のことです。
視覚的なイメージ、音、匂い、身体感覚など、
さまざまな形で現れることがあります。

フラッシュバックの影響

フラッシュバックが起こると、その時の恐怖や不安、
苦痛などの感情が再燃し、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

具体的には以下のような影響が考えられます:

  1. 精神的ストレス
    強烈な恐怖や不安が再び生じ、感情的な混乱が引き起こされます。

  2. 身体的影響
    心拍数の上昇、発汗、震えなど、身体的なストレス反応が現れることがあります。

  3. 日常生活への支障
    仕事や学業、人間関係に集中できなくなり、社会生活に困難を感じることがあります。

  4. 睡眠障害
    フラッシュバックが繰り返されることで、不眠や悪夢などの睡眠障害が起こることがあります。

フラッシュバックの対処方法

フラッシュバックへの対処方法は、
トラウマの影響を軽減し、
心身の安定を取り戻すために重要です。

身体を使う方法と、言葉を使う方法の、2種類があります(服部,2024)。

以下に、いくつかの対処方法を紹介します:

身体を使う方法

フラッシュバックが起こった際に、
自分が今ここにいることを意識するための方法です。
意識が外側の現実に向かうようにします。

足をゆっくり床に押し付けてその感覚を味わったり、
イスの座面に座っている感覚を確かめます。

手で机や壁を強くゆっくり押す「プッシング」も有効です。

また、周りの物に触れて感触を確かめたり、
5つの感覚(見る、聞く、感じる、味わう、嗅ぐ)を使って
現実の世界に集中することが効果的です。

たとえば、視覚を使って、周りを見回して、危険がないこと、
安全な場所であることを、確認します。

言葉を使う方法

現実に焦点をあてて、言葉で確かめて、過去と現実を区別します。
言葉や記憶を使って、今の安全を確かめて、脳にインプットします。

たとえば、今日の日付と時間を確かめて、口に出して言いながら、
年齢と合わせて、自分の声で確認します。
「今は2024年、8月10日、午前8時8分、私は今〇〇歳」など。

感覚と言葉を使う方法もあります。
たとえば、目に留まったものを言葉で表現します。
「木の額に入った花瓶と花の絵」

目に留まったものの色と名前を言う。
「水色のコップ」「ベージュのカーテン」

また、身体が触れているイスや机を触り、
その感覚を言葉にする。
「硬い」「柔らかい」「つるつる」「さらさら」

サポートを求める

フラッシュバックの影響を感じたら、
信頼できる人に話すことや、
専門のカウンセラーやセラピストに相談することも重要です。
サポートを受けることで、孤立感や恐怖感が軽減されることがあります。

これらの方法を使いながら、フラッシュバックを徐々に管理し、
日常生活における影響を軽減していくことが大切です。

文献

フラッシュバックと対処方法については、米国トラウマ心理療法士の
最新刊が必見、わかりやすいと思います。

服部信子(20024)『今すぐできる心の守りかた フラッシュバック・ケア』KADOKAWA

タイトルには、「今すぐできる」と書いてありますが、
本書の本文に書いてあるように、学習と練習は必要ですね。
タイトルは、売れそうなものとして、出版社がつける場合が多いと思います。

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