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誰? 明野照葉

嘘は自分が騙されてっちゃうよね。


名前を複数使い、3人を手取り犯罪行為を重ねる主人公が最後には捲れて崩壊する話。

ミステリーだね。

私はこういった話は結局捕まらなかった、や、逃げ切った後を知る人はいない、、的な物語が好きだけど、面白く読めたかなぁ。


偽名。

私も名前は複数持っていた。未だにその名前で出会った人はその名前で呼ぶ。

ただ問題はその名前を捨てた後に、その名前を呼ばれた時に反応をしない事ができるかどうか。だ。

まぁ未だにぬけぬけと本名と生年月日を言いたくない感はある。

今はもうそんな必要ない生活をしているのに。


でも本作のタイトル通り『誰?』になる。

私は名前で性格や考え方まで変わる。

変身するのだ。心が。

悪意を持って騙そうとしているより、自分を苦しませない為の逃げ道だと思ってる。


そもそも嘘を吐く事は悪い事じゃないと私は思ってる。

ただ何故世の中で『嘘をついてはいけない』と言われるのかと言うのは

信用が無くなるからだと思う。

つまりは捲れなきゃその相手にとっては私の嘘は本当なのだ。

まぁ歳を重ねて嘘を吐く必要も無くなったし、

ワガママに人を振り回し、傷付けてもいいと思ってるので嘘はつかなくなったが。


今作で凄いなぁ。っと思ったのは

私は、偽名の自分(性格も設定済)で過ごしていると、

いつの間にか自分を侵食して行って、

偽名中の嘘が嘘じゃなくなる感覚に陥る事が多々あった。

それが主人公にはないのだ。


自己肯定感が皆無な癖に自己確立してんなぁこいつ。ってすごく思った。


でも『現実を見ないで私を信じてた方が幸せなのになんでみんな真実を知りたがるのか』的な描写があるのだが

めっちゃわかる!!!!

って言うか真実ってなによ。

嘘偽りなく話します、、

って話てる事がまた、嘘かもしれないじゃん。


面と向かってる相手が言う事はそのまま鵜呑みにすればよくない?

真実なんてその場にいない限り現実的な証明があったって

その人の感情や起伏なんて知れることなんて無い。


全く人は理不尽だ。


金払えボケカス。って気持ちになるのもすげーーーー分かるっ。


ただねえ。幸せにはならんよね。

問題はそこなのよね。

嘘をつき続けるって幸せに生きる為には向いてないことが圧倒的に多い行為なのよね。


まぁ決まってこう言う行為をする人間は年齢も生活感も不詳だけど、

そんな人が魅力的に映る。

人とはとても愚か。


私はもうこりごり。

人を試すことも試されることももうしない。


まっすぐに傷付け、まっすぐに傷付きたい。

そういう人と付き合って人生を形成していきたい。


文体の感想で言えば

起承転結の転〜結の進みは楽しい。

おーーほっほっほっ!って綻びから解けていく

グランギニョルがとても良い。


最後に良い夢を見た年上の男。

馬鹿で純粋な年下の男。

自己肯定感を貪った女。


被害者ヅラしてんじゃねえよ。


付き合う人を選ぶ時に目が利かない自分を責めろ。

歳上の男はやはり社会経験値もあってか

どっかでは分かってたし、結末に後悔はなかったんじゃないかと私は思う。


主人公は可哀想だよ。

自分も他人も信じられないのは辛い。

信じられる人が1人居たら何かが変わっただろう。

しかし、そうはならなかった。

だから終わった。苦しいまま。
苦しさも忘れたまま。


自業自得なんて私は言えない。

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