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『二木先生』を読んだので

『二木先生』読み終わった!!!

最近、気が乗らないのと忙しいのとであまり本を読めていなかったけれど、久々に最初から最後までぶっ通しで読み切った。

マイノリティな性癖を持つ先生と、周りから浮いている変な生徒。。。

序盤の数ページから心をえぐられる予感がしていた。

登場人物全員が割とえげつないんだけど、フィクションとして美化されていない、妙にリアルな生々しさがあるから否が応にも読み手に感情移入させてくる。

主人公と自分を重ね合わせて、気持ちよくなれないタイプの小説だ。自己嫌悪が先にくる。

広一は昔の私に似ている。
二木先生は今の私にとても似ている。

二木先生は言った。

「自分の大事な部分をクローゼットの中に隠して生きていく方法もある」

多様性がうたわれる世の中だけど、どう綺麗事を言ったって人間が本能的に「気持ち悪い」と思ってしまうことはどうにも仕方がない。

極力バレないよう、隠して生きていかなきゃいけないことの方が多い。

いくら多様性をうたったって、気持ち悪いものは気持ち悪い。それはそれで良いと思う。
というか、良い悪い以前に感覚を根っこから変えることなんて出来ない。

二木先生は「自分に嫌われたら終わり」と言ったけど、「来世は普通の性癖に生まれたい」とも言った。

二木先生は「こんな自分でも良い」とは思ってないんだろう。
思っていたら、来世は普通の、なんて言葉は出てこない。

私は、「自分の性癖と向き合うこと」=「自分を好きになること」だと解釈した。

肯定でも否定でもなく、折り合いをつけて向き合うことが、マイノリティでありながら社会に紛れ込むための二木先生なりの戦術だと思った。


読み切った後は謎に涙が出てしまって困惑した。
誰にも同情できないしストーリーも胸糞悪いのに何故。。??この涙はどこから??

そして、作中にでてきた漫画雑誌はきっとコミックLOだろうな、と見当がついちゃうあたり、私もだいぶ気持ち悪い人間だ。

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