見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<207> カスタマーハラスメントとは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


カスタマーハラスメントとは

 顧客や取引先が企業などの事業者に対し、理不尽な要求を行い、業務や従業員の健康などに支障を来すこと。妥当性のない悪質なクレーム、行為は社会問題となっており、企業や行政らが対策に乗り出している。カスハラともいう。

 カスハラを明確に定義することはできないが、厚労省が公表する資料では、顧客らの妥当性のないクレームや言動、社会通念上実現できない要求で、労働者の就業環境が害されることを想定している。顧客らには今後商品、サービスを利用する可能性がある潜在的な存在も含む。

 同省が2020年に行った企業調査では、過去3年間に相談があったと回答した割合のうち、パワハラ、セクハラに次いでカスタマーハラスメントが高く、増加傾向にあることが分かった。労働者調査では一度でもカスハラを経験した割合はセクハラより多く、受けた内容は「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム(過度なもの)」、「名誉毀損(きそん)・侮辱・ひどい暴言」が続いた。

 企業や業界団体でも対策が広がっており、指針の策定や売り場などへ限度を超えたクレーム=カスハラの防止を呼び掛けるポスターの掲示などに取り組んでいる。厚労省は従業員の保護を義務付ける法改正を検討しており、東京都も防止を目的とした条例の制定を目指し議論を進めている。

みなと新聞本紙2024年6月4日付の記事を掲載