【ピリカ文庫】短編小説「バス停と猫」(テーマ「窓」)
朝七時半。
二階の窓から外を眺めると、道路の向かいにバス停がある。通勤や通学のためにバスを待つ人達が列を作り、たった一つある青いベンチには額に白い富士を持つ白黒柄の猫が鎮座していた。
小さなセーラー服を身に着けた女の子が、スーツ姿のお母さんに手を引かれて列に並ぶ。お母さんは膝を曲げて女の子と視線を合わせると、「気をつけてね」と言ってから道路の反対側にあるバス停へと向かっていった。
マコちゃんは私立の小学校に通っていて、身体の体積に対して大きすぎるランドセルを背負ってい