駿蛾 皆徒

見たな

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生きる

奪われ続けるのが人生だ 編み上げた仮初の姿 崩れ去るありのままは どこか遠くへ連れ去った 愛を持つことの苦しみが 苛み続ける明晰夢の中 君の後ろ姿を見つけた それすらどこか遠くへ消えた 神様に縋り続けた背中 無意味に道徳を信じた 何もしてはくれなかった 復讐すらも、もう飽きた 何もしてくれなかった世界に 美しく儚い花束を

    • 泣くための言葉がこの世に溢れている 生まれること、生きていくこと、死ぬこと 喜ぶこと、悲しむこと、壊れるこかと 人の様の移り変わりは いつも涙と友達ごっこ 僕は何も見ません 僕は移ろいません 僕は変わりません 僕はただ無意味な言葉をあげる バッドエンドがお好みなら 冷たい水をあげましょう 泣くための言葉がこの世に溢れている 僕の言葉で泣く奴は全員、嘘吐きです

      • 真っ青

        僕が血を流すとき それらはやさしさとして 酷く賛美されました 僕の血が骨髄で作られるたび それらはやさしさになることを 望んでいないのに、僕は 仮面が本当になったとき 僕は傷だらけになって ただ、そこに立ち尽くしていました 流れる血が尽きるころには 少しは身勝手になれる気がして 僕は多くの血を流そうとしました いつかこの青白い身体を見て 誰かは僕を蔑むでしょうか やさしさを消費されつくせば 塵として捨てられていくのでしょうか 僕はそれすら悔しくなくて 何だか空っぽになって

        • 愛情の詩

          僕は自分の惨めさに苦しめられていると思いますが、決してそれが恥ずかしいわけではないのです。だって少なくとも無責任な道徳や倫理より僕はやさしい。 だから君を消してあげよう。存在さえなかったように消してあげよう。皆、君のこと覚えてないよ。君が飛び散った後の血痕。蔑む罵声も結構。いつか地獄で結婚しようね。

          窓のない部屋

          窓のない部屋

          愛は瞳で歪ませて

          愛は瞳で歪ませて

          かんせい

          体が風船になって 膨らんで 割れそうに 割れ、割れない 割れるのが怖いから ですか? ぱちん 嗚咽、眩暈、呆然 くすりがきれた みたいだね はやくのまなきゃ しにたくなるよ 外を走る車の音 うるさいね ね、ね、音、ね、音、ねねね音音ね ねぇ うるさいよおまえ うわ/ああ/わ/あ/!! 聞きたくないよ やめろ、黙れ 聴きたくない 嫌いだおまえなんか それ、が、愛だと 知ってくれ だまれうるさい 君が誰かを 好きなんて ききたくないよ だまって、だまっ、て おねがい、しま

          薫る

          立ち上り薄れゆく 紫煙のように あなたは遠くに いってしまうのですね 距離が遠いことよりも 心が遠い方が苦しいこと 教えてくれたのは あなただったはずなのに ならばせめて笑いましょう あなたなどいなくても平気かのように それがあなたに送る最大の 復讐であり祝福だから

          草木萌動

          枯れ木の時も暮れたなら 赤い蕾と陽の匂い いくらか早い朝焼けに 胸は凍てつく寒々と 寂れた路地で黄昏て 草葉と遊び灯を点す 踏み潰された道端の 花を見つめて涙する 命は消える軽々と 地獄の様と同程度 生きていくとは、そんなもの 炭酸水の泡のよう ただ生きるのも不甲斐ない 死んでいくのも恥ずかしい 救いとやらを求むのも 浅い呼吸を、今はただ

          ミダス

          夜を荒らした影の正体は 君が残した温もりの残滓 明けない夜があるならば それを熱望する愚かな獣 飴色の空が君を連れていく 雨が降れば寒そうに擦り寄る 気怠げにするほど歪む口元 まるで悪魔みたいで愛しくて 寝顔を見るため吸う酸素 朝日と共に響く包丁の音 君が残していったのは 簡単に消えてしまうもの 雪解けにはきっとまだ早いよ 僕を嘘つきと呼ばないで どこか遠くへ連れてって

          サムネイル

          名前を呼んでみせて ふわり、と とろけだす香り 絖の肌で応えてみせて 薄氷の笑み 黄昏の雨 世界の色を 全部僕に教えてみせて やわらかな海の中で 囁く声に耳を澄ませて 名前を呼んで もっとみせて 過去作です。

          なんにもない

          ペルソナに塗り固められた鏡 映らない影とふわりと浮く肌 口から漏れ出る真っ赤な嘘は いつのまにか透明になっていた 陽炎のようにゆらめく 花の香り、風の感触、光の眩さ ゆらめいては消えていく 人の匂い、声の響き、濡羽の髪 なんにもないね なんでもなくなってしまったね あんなに僕の心を焼いたのに あんなに僕を見て泣いたのに なんにも、ない 僕は君が好きでした そんな気がしていたの なんでも、ないよ なんでもないよ あっちむいてて それでも、 僕にはまだ虚しいと思う心が

          なんにもない

          水屑

          背中の傷がまだ消えない 海が見える、深く青い海が見える 体が心地よく沈んでいく 海の中に溶けていく 遠くで売女の悲鳴が聞こえる 泣き叫ぶ声が 掻き混ぜる音が ほどけていく音が 水の音 聞こえるはずのない 泣き声が聞こえる あの人の傷は、もう消えない 過去作です。