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映画「悪は存在しない」のネタバレ新考察。 悪は存在すると思いますか? 出演者に聞いてみた!

今日。土曜日。朝起きるとlineが入っていた。
「悪は存在しない、見た?めっちゃ評判高いよ」と、信頼筋からの連絡だった。
私は今日、それを観に行くことを即決めた。少し寝ぼけていたせいもあったかもしれない

夕方、渋谷。映画の前に腹ごしらえをと、ミヤシタパークでほんの少しのタコスを買ったら二千円した。東京はくそだ。が、とんでもなく美味しかったから、それはいいこととする。さすが東京だ

さあさあ、それで、宮益坂のビックカメラの上の映画館に行く。
私ここ、好きなんだよね。ビックカメラに似つかわしくないクラシカルなエレベーターで上っていく感じも、含め。

Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下 にて


さあさぁ。それで。映画がはじまって。

最初30分は、申し訳ないけど超絶退屈というか、
よくある  "邦画"  のあの感じ雰囲気丸出しで、
(意味もメリハリもない映像、会話、描写、などのザ邦画〜ってかんじの空気感あるじゃん。なにも起きない日常をずっと撮ってるあの感じ。飛んでる鳥を意味もなく追っかけて撮ってぶれぶれしてるあの感じ、みたいなんとかさ)

私は思ったね。「あーー、騙された。これは、いわゆるよくある  "邦画"  だ」って。
邦画のこうゆう空気が好きなひともいるじゃない。私だめで、危うく寝かけた。が。

そこから展開していって、最後は、あっという間に終わった。

最後の最後まで「悪は存在しない」とか抜かしやがって!とんでもない映画だ。。

いろいろ、レビューなどを観ると、ラストが投げっぱなしジャーマンだ!と憤慨している方が多いようだった。

でも、私は、映画を観ている中で、自分の中で「あーなるほど」と腹落ちして、

もうあのラストはこの道一本線しかないな、って感じ

だったので、
ここからはそれを書きます。

ーーーー以下ネタバレですーーーー


ーーーー観てない方ごちゅういーーー



さて。まずなにから話そうかってくらい、色々と言いたい映画なわけなのだけど。
とにかく、映像が綺麗というか、PVみたいだね。と思ったけど、それもそのはず、最初はライブパフォーマンス用の映像を作っていたら、そこから映画になっちゃった、て話みたいね。

個人的に、終わった後にいろんな意見や賛否両論ある映画ってのは、映画に限らずだけど、良い作品(傑作というか奇作みたいな)と思います

万人が「おもしろかったー」な映画は、たぶん、面白くなくて。
そんで、最近、私の友人で、「嫌だ味」を大事にしているっていう男がいて。

嫌だ味(やだみ)。

いやだな・・・いやな気持ちになるな、っていう読後感というか。そんな言葉あんのかよってかんじだけど、 
うまみ、とか、うれしみ、とかみたいな、嫌だ味。

コロナとかで、現実世界が荒れているときは、創作の世界にはみんな癒しを求めるから、ほっこり映画が好まれる風潮らしい。

だが、コロナも落ち着き、そういうものにも揺り戻しがあると、私は思うのよね。
平和な現実であれば、創作は悪なものを。

だから、いま、人間は、創作の世界に、嫌だ味を求めているんじゃないかな。

そういう意味で、この作品は「悪は存在しない」というまるで釣りのような、ほっこり映画と見せかけた、とんでもない嫌だ味ラストを持ってきてます。

で、それは結構解釈を観客に委ねてる、という捉え方が多かったみたいなのだけど、私が最初にみたときに、スッと入ってきた考察を書きますね。

---

まず、主人公・巧が何度か言っていた「半矢(はんや)のシカ」について。
ふつう、シカが人間を襲うことはまず、ありえない。
あるとしたら、半矢のシカか、その子どもを守る親だけだ、って。

半矢のシカというのは、作中でも話されていましたが、シカ猟で仕留めそこねた、手負いのシカ(傷を負っている状態)だと。
人間も、火事場の馬鹿力じゃないけど、たぶん、絶体絶命のときってふだんしない行動やパワーが出ちゃったりするけど、
シカも同じなのかなぁ。と。

で、この状態って、ラストの巧(親)と花(子ども)、そのままだと思いません?


花ちゃん(子ども)が、手負いになった状態で見つかる。
それを守ろうとする親が、ふだんは襲うことのない、人間を襲う。

そのまんまやん! と思って、すごく自分で腹落ちしたのですよね。


その前にも、「グランピング施設ができたら、シカたちはどこに行くんですかね?」という巧の質問に
「さぁ、別のとこにでも行くんじゃないっすか?(山なんだからいくらでも行くとこあるっしょ的な)」と、
芸能事務所プレイモード社の高橋は悪意なく答えているんだけど、

これもまた、シカ=巧たち に置き換えると、しっくりくるというか、


「グランピング施設ができたら、おれたちはどこに行けばいいんですか?」
「さぁ? 別の場所にでも行けば?」

って言われた気がしたんですよね。

だから、ラストの解釈としては、わたしは、

手負いの子を守る親が、人間を殺した。というものだと思いました。

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あとは、東京のおしごとパートのところは、本当に自分の普段の仕事を見ているというか、浅さを見透かされているようで、胸が痛かった。

特に、「地方創生セミナー」とか、「地域活性化を考えましょう!」とかよくきくけど、
すごい押し付けがましいというか。

説明会の中で、高橋が、「グランピング施設ができたら、この地域にカネが落ちるんです! 私たちは共存共栄でやっていきましょうよ!」
というところなんて、 もうほんとにしらけるというか。
これは、地元住民側の気持ちで見ているからだと思うんだけど、とにかく意識のギャップがすごくて。

あ。あの、金髪青年の演技は百点でしたね。なぞの田舎のイキリがよかった(笑)

彼の演技、満点ね笑


そのあとも、高橋が、「オレ、実は管理人やりたいと思ってて! さっき薪割りしたときに、最高に気持ちいいって感じて!!」
っていうシーンも、ほんとにしらけるというか。

これは、その前の車中で、高橋とまゆずみ(女性社員)のたわいもない会話から、その考えに至る経緯を見ているから、
高橋が本気でそう思っていることを、視聴者はわかるんだけど、
巧からしたら、「は?」と。

たかが一回、薪割って、きもちよくて、管理人やりたいとか、なめんな状態だよな、と。

というか、アクティビティじゃないわけ。薪割りも、水汲みも。巧からしたら、「生きるために必要なこと」なのに、
高橋はまるで、都会のストレスを捨てに田舎体験たのしみたいです、的なテンションに見えた。

なんか、最初は、主人公・巧役の演技がヘッタクソすぎて、大根役者すぎて見るに耐えなかったのだけど、
逆に高橋の演技はとてもうまいというか、こういううっさんくっさいおっさんおるよなー的な感じがあって、
それも、「自然(田舎)」と「作られたもの(都会)」の対比として見ることができてからは、どんどん映画の世界観に引きずり込まれていった。

それなのに、巧はがんがん煙草吸って、ぽいすてもするしね。
それもなんだか皮肉というかリアルだなって思った。

いやーいい映画だったなぁ。 おもろかった。ひさびさおもろい邦画みたなってかんじでした。

考察は以上です!


ーーーここからは、べつのお話ーーー


ーーー悪は存在すると思いますか?
        出演者に聞いてみた!ーーー


どうでもいいけど、村人への説明会のシーンで、座ってるいろんな人を見るともなく見ていたら、めっっちゃくちゃ友達に似てる人が出てて。

先生の左側に座るヒゲの男性。

特にセリフとかなかったんだけど、「あ、これ絶対あの男じゃん」てかんじで。

自分でもよく気付いたなと思ったけど、この男性 笑

別にその男は俳優志望でもないのに、なんでこんなとこに出てんだ?てかんじで、

でも、「なんか友達が出てる!」と思って興奮してそこからスイッチ入ってちゃんと映画に集中して観た(笑)


10年会ってない友達だったけど。
映画館でて、ソッコーで電話した。

もしかしたら、電話でないかもな、と思いながら、10コールくらい鬼コールして、あぁ、やっぱ出ないよなと思って切ろうとしたときに

男「もしもし」
me「あ!」


男が、まさか、出た。

男「なんだよ」
me「あのさ、質問があるんだけど、」
男「なに?」


me「あのさ。 "悪は存在すると思いますか" ?」


男「はは。 "悪は存在しない"  よ」


だって。なんというセリフみたいな会話よ。。

ーーーーー

というわけで、やっぱり彼が出てました。

というか、なんか、彼はずっとヒッピーみたいな生活をしていて、今回撮影する地となったとこにいたときに、

監督から、「主人公のモデルのひとりとなってほしい」て言われて、薪割りとかいろいろ教えたりしたらしい


このリアル便利屋さんが彼


今は、アイルランドの路上でピアノを弾くパフォーマーをしてて、6月にアイルランドに帰るけど、会えたら会おう、てなって、

再来週10年ぶりに再会することになりました。


彼にも、この映画の解釈をいろいろ聞こうと思いますので、それができたら追記します!

---

「あのさ。 "悪は存在すると思いますか" ?」

「はは。 "悪は存在しない"  よ」


いい会話だったな。
おわり

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