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僕の小規模な退職 その12

くぅ疲れました。昨日が最終出社日です。

最後の引継ぎを終えて一緒に仕事をした方たちにご挨拶。
仲間とまでは呼べなかったが一緒に仕事出来て良かった方たち。
お世話になりました。ありがとうございます。
その後、退職の挨拶を全社一斉メールで送って本当に終了。

お世話になった方々に個別に挨拶しようか迷っていたが、本当にお世話になった先輩、同僚含めた3名のみにすることにした。

19年も在籍していたので他にもお世話になった方はたくさんいる。
だが、その方達全員に個別に挨拶しようとは思わなかった。
本来ならばするべきなのかもしれないが、そうすることが自分の性に合わない。
未練がましいというか、そんな多数の人ひとりひとりに挨拶していたら辞める必要ないじゃないかと自分自身で思ってしまうからだ。
当然だがキレイに辞めるわけではない。
何かしらのどうしようも無い事情を抱え、後ろ髪を引かれる思いで辞めるようなわけではない。
単純に言ってイヤになって辞めるのだ。
なるべく円満ぶってはいるが、結局はネガティブな感情を抱いたから辞める身。
良い思い出も悪い思い出もある中で、良い思い出しか無い御三方のみに挨拶することに決めた。

それぞれ遠方の拠点で働いているため直接会うことはできない。
電話でのお別れとなる。
仕事での接点も無くなっているため暫く連絡を取り合っていなかったので、皆さん電話を取るや否や開口一番に「どうしたの?」という反応。
退職する旨と今日が最終出社日だと伝えると驚きの反応だった。
電話越しとはいえ、久しぶりに話をするのでやはり会話は盛り上がる。
1、2分ほどの通話のつもりが、お互いの近況を話しながら冗談を交えたり軽口叩いたりとだいぶ長電話になってしまった。
通話を終え、気が付いた。
「俺、会社の人とこんな風に話せてたんだな」と。

6年前に転勤で今の土地にやってきた。
この土地に来てからというものの、それまでいたところの様に気を許せて話す相手がいなくなった。

なぜそうなったのか。
年齢のせいもあるかもしれない。
役職のせいもあるかもしれない。
でもそれだけではない事象もある。

誰かに言ったことが他の第3者に曲がって伝わっていたり。
上司に個人的な話をしたところ全員のいる会議の場で発表されたり。
社内のゴシップばかり話す人。
陰口、悪口。
助け合いよりも足の引っ張り合い。
挨拶の無視。
社内ゴシップのマウント合戦。
中傷、誹謗。
ゴマすり。
嘘。
噂話。
権力者への迎合。
依怙贔屓。
建て前と本音。
社員を試すような言動。
理不尽な態度。
怒号。
陰湿な対応。
などなど。

この6年間で僕はすっかり社内の人と話す時は警戒するようになってしまった。
最初の2年間は一番苦しかった。
今までの勝手と違う。
どうやっても空回り。
そもそも、こういった場所でうまく立ち回る術を身に着けてはいないし、今から身に着けようにも性分的に不得手なのだ。
出勤前は動悸がひどく医者に頼るつもりは無かったので救心を頼った。
こんな状態、長くは続けられないと思っていた矢先にコロナウイルスが蔓延。
その影響は社内の様々なところに及び、パーテーションや座席の間引き。
在宅による出社人数の制限などで社内コミュニケーションの場が減少した。
自分に取っては、それが幸いし何とか苦しさを紛らわすことができた。

だが、やはり信用できる人はいない。
同僚であれ、後輩であれ、上司であればなおさら。
何かを発したことで何かに利用されるのかと疑心暗鬼の気持ちは消えず、当たり障りの無い対応。当たり障りの無い発言をする人間になっていた。

だが件の3名とは違った。
普段通りの自分で話すことができた。
そういえばこうやって話す相手がいたから仕事も楽しかったんだ。
そう思いだした。

そのうちの一人が言ってくれた
「もっと早く知っていれば何とかしてあげられてかもしれないのに」と。
6年間居心地の悪さを感じながら過ごし、自分の居場所はここでは無いんだと退職を決めたが、まだまだ自分にも居場所があったのかもしれない。
自分に好意的な相手がいたのだと実感できて救われる思いがした。

こういう方達にまた出会えるのだとしたら再就職も悪く無いのかもしれない。
だが一度こころに芽生えてしまった猜疑心はそう簡単に消せるものでは無い。
この感情がなければ最後に一緒に仕事をした方々にも心を開けたかもしれない。そして最後に「仲間」と呼べたのかもしれない。
こころを癒しながら、次の進路をゆっくり考えよう。

44歳。推定無職。本当にありがとうございました。


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