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【見習い日記⑰】 それいけノリさん事件簿4

「知の難きに非ず、知に処するは則ち難し」

(知識や情報を得る事は簡単なんだけど、それを実際に使うっていうのが難しいんよな)

これは、今から2300年程前の中国戦国時代の思想家(法律家)「韓非」の有名な言葉である。キングダムで言えば70巻あたりに登場する。紀元前233年 秦王の「嬴政」は韓非を秦に招き入れるために、信と騰を韓に派遣し…おっといけない。今はこういう話をしている場合ではない。ボクは忙しいのだ。


キングダムに登場する韓非。実写化するなら草薙剛がピッタリだと思うの。なんとなくね。


現代社会に於いても「情報」はネットで容易に得る事ができる。しかし、それを自分の「スキル」として上手く活用できるかと言えばそうではない。逆に「情報」を容易に得られるからこそ誤解して、あたかも出来るかのように振る舞ったり、上澄みの「知識」を押し付けたりする輩の多いこと多いこと。おぉっといけない。今は当社のT課長の悪口を言っている場合ではなかった。



前フリが非常に長くなってしまって申し訳ない。今日も我らがノリさんのド天然エピソードを共有したい。前回はこういう事件を紹介したのでさっと目を通して段取りして欲しい。

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⑤それいけノリさんテレビ購入事件

ノリさんの家のテレビは2010年製のAQUOSの亀山モデルという骨董品である。地デジ創世記からノリさん家のリビングに鎮座している。一家団欒の真ん中でノリさん達をずっと見守ってきたに違いない。喜怒哀楽を共にしてきた 言わば家族なのだ。

地デジカ懐かしいすね!あれ?地デジカの前に誰かいませんでしたっけ?ほら公園で全裸前転した…(すっとぼけ)


そのテレビがついに寿命を迎えた。

ある朝 急にテレビが全く映らなくなったそうだ。ノリさんにとってこれは大事件である。情報を得る手段の大部分をテレビが占めているからだ。

「知り合いの電気屋さんにお願いしようかなと思ったんですが…。」

いわゆる街の電気屋さんだ。アフターサービスは非常に良いものの価格設定が量販店より高めである。少しでも安く抑えようと思ったのだ。

「家内と色々調べてみたんです…。でも種類が多すぎてよく分からなかったんです…。」

「テレビのサイズはどれくらいの買うんです?」
正直、たいして興味は無かったがこの話に少し付き合うことにした。

「せっかくなので大きいサイズに替えようかなと。」

「今のサイズはどれくらいですか?」

「これくらいですね。」

手を広げるノリさん。テレビのサイズなんてものは部屋の大きさ有りきで考えるので、ここで大きさを聞いてもどうしようもないなと感じた。仕方ない。話を合わせているだけなのだから。

こういった生産性のないラリーを続けていると、

「娘にも聞いてみようと思います。」

情報というものは色々な方面から等しく集める方が良い。最後に決断するのはノリさん自身なのだ。


NHKの朝ドラが大好きなノリさん。しかしここ数年は最終回を全て見逃している。これ豆な。


次の週…

「娘に聞いたら、テレビの他にも外付けHDDとやらが必要みたいで家電量販店に見に行けばいいと言われました。」

妥当な判断だ。むしろネットに溢れる情報や 今回の場合は口コミ などを鵜呑みにしてはならない。

ノリさんの口から「外付けHDD」というワードが出てきたことに驚きを隠せなかったが、それだけ真剣にこの問題を捉え、情報を集めた結果なのだろう。正直 直近1週間のノリさんは全く仕事に気持ちが入っていなかった。悪く言えばボサーっとしていた。ノリさんはマルチタスクで仕事ができる程 器用な人間ではないからだ。


「知の難きに非ず、知に処するは則ち難し」

あとは電気屋さんでこれまで得た知識・情報をフル活用し、満足のいくテレビを購入するだけである。店員さんにテレビのことを質問した際、まず こう聞かれたそうだ。

「1番こだわりたい所は何ですか?」

こういった場合、店員さんは利用シーンを聞いて最適なものをオススメするのだろう。サイズや画質、使いやすさ、よく見る番組(映画、スポーツ、歌番組)など、テレビを選ぶ上で重要なポイントなのだ。

「アンテナ線がリビングにしかないので皆が見られるような角度で置きたい。」

なんともノリさんらしい答えではないか。ノリさんの心の機微に触れた気がした。テレビを選ぶ際に家族と過ごす時間を第一に考えたことがあるだろうか?目頭が熱くなる思いがした。

当然、店員さんには何の関係もないので軽くあしらわれたそうだ。この感動が伝わらなかったのが非常に残念である。


ノリさんは「はじめてのおつかい」を見て「私もおつかい行きたくなりました」と独自の視点からあの番組を観ている。これ豆な。


次の日、テレビが到着し早速アンテナ線につなぎスイッチを入れた。

が、テレビが映らない。

配達業者も慌てたことだろう。

テレビの画面にはこんな表示があったそうだ。

E202  受信できません


「知の難きに非ず、知に処するは則ち難し」

ノリさんは大切なことを忘れていた。何故テレビが映らないのかを調べなかったのだ。そう、テレビが壊れていた訳では無く、アンテナに問題があったのだ。テレビの無いノリさんにとってはそもそも情報を得ることが非常に難しいことだった。この「韓非」の金言でさえもノリさんには適用外なのである。


結局、アンテナ修理の為に知り合いの電気屋さんに来てもらい、ネズミが噛みちぎったアンテナ線を交換したそうだ。

「こんなことなら最初から知り合いの電気屋さんに来てもらえば良かったです!ハハッ!」

……頑張れ!ノリさん!


まーじょこさーん!何のテレビ買ったか聞かなかったのー?な?ほんとに興味無さそうだろ?


おっといけない。もうこんな時間だ。そろそろ仕事に戻ることにしよう。話を聞いてくれてありがとう!ではまた。



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