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【見習い日記⑨】 それって妖怪のせいですよねの話


世の中には科学では説明できないことがたくさんある。心霊現象や怪奇現象などがこれにあたる。具体的に言うと幽霊や鬼、妖怪などであろう。

亡くなった祖母がまだ若かった時の話。離れにあった風呂に薪を焚べていたところ、すぐ横の小川をA4サイズの船に6人並んで乗って下って来る河童を見たそうだ。その河童たちはおもむろに下船するとそのまま風呂にポチャンと入るや忽然と消えて居なくなり、その後の風呂の湯はネトネトして気持ち悪かったそうだ。これは科学では説明できない。いかんせん河童のサイズがボクのイメージのそれとはかけ離れている。泳げるはずの河童がわざわざ船に乗るというのも不思議な話だ。上流には船の発着場的な場所もあるのだろうか?

スプラッシュマウンテンみたいに乗船してたのかな?


おっといけない。祖母の河童の話でボクの休憩時間が終わってしまう。前フリはこれくらいにして、早速本題に入りたい。


皆さんも日頃生活していて「は?」と思うような事象に遭遇したことがあるだろう。数年前に流行った「妖怪ウォッチ」の言葉を借りれば、これらは全て「妖怪のせい」なのだとか。もしそうだとすれば全て合点がいく。皆さんの「は?」が聞こえてきたがこのまま話を進めたい。くだらない。実にくだらない。重々承知している。


例えば、目薬やらリップクリームやら使いたい時に見つからない事象。これは「妖怪 こものかくし」の仕業。特売で安かったニラが一晩で腐り、冷蔵庫の中身全てをニラの匂いにしてしまう事象も「妖怪 ニラくされ」の仕業である。もちろん妖怪の名前は今思いついたものを名付けている。お弁当の醤油が開かないのも、全ての信号に引っかかるのも、トイレットペーパーが薄すぎて指の形で破れて足元が散らかっちゃうのも、買い物中に見たいものがある場所に限って他のお客さんが居るのも、昔の黒歴史を思い出してウワーと声を出したくなるのも全て妖怪のせいなのだ。

妖怪ウォッチが10年前というのが信じられんよね


このように我々の身近な所に妖怪は潜んでいるが、実際に見たという人はなかなかいないであろう。ボクは見たことがある。それどころかコロされかけた経験がある。

先に言っておくが、今日もたいしたオチの無い話をするので覚悟しておいていただきたい。


昔、熊本の繁華街の居酒屋で働いていた時のこと。

三年坂通りから駕町通りに入り、銀座通り沿いのいつもの有料駐車場に向かって歩いていた。夜も遅かったので人通りはほとんど無かった。歩き慣れた道なので怖いとかそういう感覚は無かったがその日はいつもより通りが暗く感じた。しまった、1本向こうの下通り側から回って来れば良かったなぁと思っていた矢先、数歩先にに小さな水溜りがあるのが見えた。室外機の水だろうか?それとも掃除中であろうか?よく見るとまさに現在進行形で水がジョロジョロと音を立てて流れてきているのが確認できた。

その水溜りを飛び越えようとした時である。

電気の消えた雑居ビルの階段の3段目くらいに女性が座っているのが目に飛び込んできた。そこにはこちらに向けて放尿している女性がいたのだ。距離にして2メートルくらいであろうか。ヤバい。これは科学では説明できない。

人間とは本当にビックリした時は声が出ないものである。そして凝視してしまうものである。わずか数秒の時間がDIOのザ・ワールドの能力が発動してしまったのかのように延々と続いた。ベロンベロンに酔っているのだろう、眼光鋭くボクを見ていた。その姿は完全に妖怪である。「妖怪 そそうさん」である。

自分の意志に反して肩がビクウゥゥッと大きく動いてしまった恥ずかしさを誤魔化すように「ビックリしたーー!何してるんすかーー!」と声をかけた。

するとその妖怪は「何ば見よっとやー!うっコロすぞー!(訳:何を見てらっしゃるの?息の根を止めて差し上げますわよ)」

ボクは虚をつかれた。マジでヤバい。下半身丸出しのくせによくそんなに大きな声が出せるものだ。妖怪の足元から流れ出る大水はスプラッシュマウンテンを彷彿させるほどであった。ほんとにすんごい水量だったなぁ。

ボクが見たのとは180°違うスプラッシュマウンテン


おっといけない。ボクは忙しいのだ。人生で一度は行ってみたいディズニーランドに思いを馳せつつ今日はここまでにしておこう。話を聞いてくれてありがとう。ではまた。

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