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【書籍紹介】 15歳からの社会保障 人生のピンチに備えて知っておこう!

今日は、書籍の紹介と、読んで感じたこと、考えたことを書いていきます。

以前、学問のやり方に通じるとして、「ソーシャルワーカーとして自己研鑽するための方法論/トレーニングについて」というnote記事を引用というか、ほぼそのまま紹介させていただきました。

その記事を書かれた横山北斗さんが、書籍を執筆・出版されました。


横山さんは、ソーシャルワーカー(SWer)であり、人材育成などを通して社会変革(ソーシャル・アクション)に取り組む団体 Social Change Agency の代表でもあります。

僕も、SWerが交流し、情報や自己研鑽を共有するオンライン・プラットフォームSWallow に参加させていただいていて、お世話になっている方です。

書籍「15歳からの社会保障 ー人生のピンチに備え知っておこう!」

「15歳からの社会保障」は、10のオムニバス・エピソードを通して、どんなときのために、どんな制度があるのかを知ることができるものとなっています。

工夫というのでしょうか、一つには、目次と各章末にある制度紹介で、困りごとの内容から、どのような制度があるのか、を『逆引き』のようにみることもできるようになっています。

もう一つは、それぞれの人生の中の『物語』として語られているとです。中高生の方にも親しみやすくということはもちろんですが、それだけでない物語の大切さがそこにある気がします。

『物語』が歩みを進める

情報はたしかに重要なものです。この「15歳からの社会保障」も、ただ知らなかったがために更に苦しい状況に追い込まれてしまう人が、実際にいたからこそ書かれた本だと思います。

だけど、頭では制度があることを知ってはいても、それだけでは、人は決断したり、動き出すことはできないということもあります。

その制度を受けるとき、また受けたその後に、どうなるのか、状況は変わるのか。受けたその先のイメージがなければ、ただでも苦しいときに勇気を出して窓口に行ったり、助けを求めたりはできません。たとえ、そのイメージが不確かなものだとしても、将来のイメージがまったく持てなければ、知識だけでは一歩を踏み出せないものじゃないでしょうか。

『物語』は、そのイメージを与えてくれます。

この本で紹介されている制度は、どれもネットで“ググれ“ば情報を得ることのできるものです。しかし、一歩を踏み出すためのイメージは、また、それを与えてくれる物語は、『誰か』が語ってあげる必要のではないでしょうか。

だからこそ、この本は、10のエピソードというかたちで語られているのではないか。そんなふうに思います。

僕が、この本を手にとってほしい人

もちろん、“15歳からの“ですし、エピソードというかたちで親しみやすく描かれているのですから、中高生に読んでほしい一冊です。

ただ、個人的には、子どもたちの側で見守る大人のひとたちに読んでほしいと感じました。正確には、大人子ども関係なく、いつか困っている人のそばで、声をかけてあげられるかもしれない、すべての人に。

後書き(「おわりに」)に書いてあった、ある一文を読んだからではありますが、各エピソードを読み返して、ひとつ気付いたことがあります。ネタバレって話でもないと思うので書いてしまいますが、どのエピソードも、困りごとに直面してしまった本人に、『誰か』が声をかけたことから、物語が前に進みはじめます。

その『誰か』は、ソーシャルワーカーだけでなく。

それは、医師だったり、学校の先生だったり、ときには友達からのLINEでの一言だったりします。

苦しいとき迷ったときに背中をおしてくれる一言は、ネットの情報ではかけることはできません。もしかすると、この本にあるような『物語』でも、直接にはやはり難しいことなのかもしれません。

そして、実際には、そんな声をかけてくれる人に出会えない、ということも少なくないのも現実ではあります。

だから、いつかもし、大切な人が困っていたとき、ここにある『物語』を思い出し、迷いながらでも声をかけてみようと思ってもらえるように、多くの人がこの「15歳からの社会保障」を手に取ってくれたらなと思います。

そんな『誰か』に、この本が届きますように

最初の方で、『社会変革(ソーシャルアクション)』という言葉を使わせてもらいました。聞きなれない方もいらっしゃるかと思います。

聞いたことがあっても、「ソーシャルアクション」は、どちらかというと行政などに働きかけ政策提言したり、社会的事業を立ち上げたりといったイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。

でも、社会を変えるというのは、ほんとうは、困っている人がいたときに、声をかけ、一緒に考えてくれるような人を増やしていくこと。呼びかけ広げていって、そうすることが当たり前の社会にしていくことなんじゃないかと思うことがあります。

これは僕の勝手な想像ですが、横山さんの「おわりに」の言葉にも、ひょっとしたらそんな思いがあるのではないかと感じました。

この部分だけ引用させていただきます。

「この本、なんで書かれたんだろう。学校の教科書に載っているのにね」
そんな言葉が聞かれる未来が訪れることを願い、筆を置きたいと思います。

横山北斗「15歳からの社会保障」『おわりに』より


この本が届き、困っている人に声をかけようか迷っている『誰か』が、「そういえばさ」と声をかけてくれることを願って。そして、このような本がなくても、誰もが迷わず当たり前に声をかけあう未来がくることを願って。

いま自分にできることを。

この本をご紹介させていただきます。

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