【短歌&小さな物語】「スパゲティー」
スパゲティーをゆでると村上春樹を思い出すようになったのは、いつからだろう。
例えば『ねじまき鳥と火曜日の女たち』の冒頭部分は、こうだ。
そして新刊が出れば、つい読んでしまう。これはもう習慣に近い。
『街とその不確かな壁』は初期の中篇を書き直した作品であるためか、ゆっくりページをめくっていると、村上春樹の物語を読み始めた大学生の頃のことが自然に思い出された。
最新刊については、毀誉褒貶相半ばするようだけれど、村上春樹の中にまだ初期の瑞々しい抒情が残っているのが感じられて、わたしは好きだった。
今日、わたしもスパゲティーをゆでた。(別に珍しくもない、ふつうのミートソースなので写真は無し)
それにしても、パスタをゆでると村上春樹を思い出すなんて、なんだかいかにも上っ面だけの、底の浅い読者みたいだ。その作品をずっと読んできたけれど、わたしはたぶん、いわゆる「いい読者」ではないのだろう。
あ、パスタじゃなくて、スパゲティーね。