都知事選は予想通りの結果

予想というのは、私ではなく、
①投票日前の事前情報
②開票番組での出演者の発言
で、現職が当選することは予想通りと思われていた、ということである。


以下、上記について過去に発信された情報を羅列していく。

1.投票日前の事前情報

まず2024年の東京都知事選の情報について整理する。
都知事戦は、6月20日(木)に告示され、
6月21日(金曜日)~7月6日(土曜日)
の期間で行われた。
5月17日に石丸氏が立候補を表明した。
東京都知事選挙 石丸伸二 安芸高田市長が立候補の意向を表明

5月27日に蓮舫氏が立候補表明した。
東京都知事選挙 立民 蓮舫参院議員 立候補の意向を表明

小池百百合子氏は6月12日に立候補表明した。
東京都知事選挙 小池知事 3期目を目指し立候補の意向を表明(NHK)

1.1.各社情勢報道(まとめ三春充希氏)

各社の情勢報道をまとめていらっしゃる三春氏のポストを見ると、7月3日までの各社情勢報道では、一貫して小池氏がリードを保っていた。

1.2.自民党の情勢調査(宮原健太氏)

「予想外の結果」になる可能性が高まった…都知事選「最新の情勢調査」で見えてきた"勝敗を分ける要素"(2024/06/26)
上記文春オンラインに掲載された宮原健太氏が独自に入手した自民党の情勢調査(15~16日)は
小池氏43.6%、蓮舫氏32.1%、石丸氏8.3%、その他7.8%
であったとのこと。
さらに宮原氏は個人のYoutubeチャンネルで、7月6日のライブ配信で
1位小池氏、2位石丸氏、3位蓮舫氏
予測していた。個人の願望ではなく、マスコミ各社の出口調査を独自入手して予測しているとのこと。

1.3.政治記者の予測(選挙ドットコム、産経記者水内氏、朝日記者今野氏)

水内茂幸氏(産経新聞記者)と今野忍(朝日新聞記者)による予測
水内氏「この差(小池氏と蓮舫氏)がなかなか縮まらない。」「蓮舫さんと石丸さんとの差がどういう風になるのかなっていうのもすごく注目点」

1.4.過去の選挙からの予測(平河エリ氏)

蓮舫氏が立候補表明した直後、5月29日時点のポストである。

1.5.立候補者の予測(石丸幸人氏)

7月1日に上記動画をアップロードし、1位小池氏、2位蓮舫氏、3位石丸(伸)氏と予想していた。

1.6.投票日前の情報まとめ

どの情報を見ても小池氏優勢であった。選挙期間で変化があったとすれば、石丸氏が3位から2位に上がったという点であった。
つまり、多くの記者や政治解説者、コメンテーターなどの方々は、選挙前から小池氏優勢であり、選挙期間中も差が詰まることはなかった考えていたのでおり、何ら意外ではない結果が出たのである。
続いて、開票番組の状況を確認する。

2.開票番組での出演者の発言

2.1.TBS NEWS DIG

米重氏は、支持政党別の投票先データを用い、選挙戦序盤は無党派層の支持先は小池氏が最も多かったが、選挙戦を通じて、石丸氏が伸ばしていったと説明していた。また、支持政党別の各有権者から満遍なく票を得ていたことを指摘していた。自民党だけでなく立憲、共産党の支持者からも1割程度の票を得ていたと説明していた。

2.2.ニコニコニュース

今回の選挙についてコメントを求められた石戸氏は、開票前ではあったが、「いつもの都知事選挙であった、となるんじゃないか」とコメントした。ここでいう、いつもの東京都知事選とは、現職が有利、与/野党が候補者を立てる、若い候補者も立候補する、その候補者がある程度支持を獲得する、というものであり、今回の都知事選は、そのひとつであったというのである。

2.3.ゲンロン

開票前に過去3回の都知事選の情報が表示された際に、宇佐美氏は2020年の都知事選で宇都宮氏(84万票)と山本氏(65万票)が合わせて150万票取っていることに触れ、今回、蓮舫氏が150万票を取らなければ、今後の政治活動に悪影響があるのではないかと述べている。つまり、小池氏が当選することは当然として、石丸氏と蓮舫氏のどちらが上位か、どの程度得票するのかに注目しているのである。この配信でも、小池氏が当選することはほとんど確定しているとして話が進んでいたのである。
開票後、東氏が蓮舫氏の票が伸びなかったことについて、西田氏に疑問をぶつけていたが、西田氏は、基礎票を積み上げていけばわかる結果であり、不思議な結果だとは思わない、という回答をしていた。

2.4.ABEMA Prime

開票直後、コメントを求められたパックンは、「多くの人がこのような結果(1位小池氏、2位石丸氏、3位蓮舫氏)を見込んでいると思います。」と述べている。つまり、小池氏が1位になったのは予想通りの結果であったということだ。

2.5.ポリタスTV

番組では、開票前のトークの時間に蓮舫支持者が行なった一人街宣について肯定的に話していた。また、津田氏曰く、金曜日に情勢調査を紹介したところ、チャットの人が怒ったとコメントしていた。このことからポリタスTVの視聴者は蓮舫氏支持であったと思われる。
津田氏は、蓮舫氏支持で、蓮舫氏に投票したが、小池氏が勝つことを予想していたと明言した。また、小池氏が勝つことをほとんど明らかであるということをデータとともに示しても、納得してもらえない人がいるとコメントしていた。

3.選挙結果について

選挙は小池氏が1位となり決着した。
小池氏 291万8015票
石丸氏 165万8363票
蓮舫氏 128万3262票

得票率(引用元)NHK首都圏ナビ
支持政党別投票先(引用元)NHK首都圏ナビ

3.1.小池氏の勝因

都政の評価は悪くなく、そもそも現職有利の選挙(過去に現職が負けたことはない)であり、自民党の組織票を抑え、失点につながりかねない討論会への参加を極力抑えるという守りの選挙戦を展開した小池氏が順当に当選した。討論会に出席しないというのことが許されるのか(法律決まっていないので義務ではない)という問題はあるが、結果的に、有権者はその態度を許容した。そして小池氏は圧勝した。

3.2.石丸氏の敗因

上記のとおり、小池氏が勝つ可能性が高い選挙であったことから、そもそも何を目標に出馬したのかわからない。当選が目標であれば、目標未達であるけれども、どうやら世間的には石丸氏の選挙は成功のような評価をされているようである。その要因は、当初の予想より上位、特に蓮舫氏より上位で終えたことであろう。

石丸氏の勝因
上のNHKの出口調査によると、石丸氏の票田は無党派と自民支持者であった。特に、無党派からの指示は小池氏を上回った。
上記の各政治番組によると、石丸氏は古い政治の一層を訴え、一方で政策に具体性はなかったようだ。加えて、SNSで切り抜きがインプレッションを稼ぎ広報戦略に成功していたようである。
無党派は、現職より、野党推薦候補より、既成政党と距離を置いた(ことになっている)候補者を選んだということである。

3.3.蓮舫氏の敗因

石丸氏の欄でも触れたとおり、戦前から小池氏が勝つ可能性が高い選挙であるのは明確であった。強い候補が期間中も守りの選挙を展開し、結果的に蓮舫氏にとってはノーチャンスだった。選挙後いろんな人が敗因を分析していた。出馬が遅かった、政策が練れていなかったなど色々な理由が挙げられていた。後から敗けた理由を挙げるのは簡単である。そしてそれらは正しいかもしれない。しかし、私からすると、それらの理由を蓮舫氏が満たしていたとしても、負けていたと思う。そもそも現職が強いのだから。
強いて理由を挙げるとすれば、出馬したこと、それが敗因だと思う。
誰が出ても負けていた。出ていなければ負けなかったわけだから、立候補したことが一番の敗因だったと思う。

負けると分かっていて立候補することは意味がないのか
選挙だけでなく、負ける可能性が高い戦いに挑むことがある。戦いの種類は千差万別だが、それらは一切意味がないのか?
それは当人次第だと思う。
当人が意味があると思えば、それで十分なのだ。今回の選挙では小池氏以外は全員負けた。しかし、石丸氏は負けたが出馬した意味があったように思う。また、選挙に出るということは意見を可視化するという効果もある。田母神氏も、安野氏も、内海氏も、ひまそらあかね氏も十万以上得票をしており、それらの意見が可視化されたという価値があった。彼らの意見を十万人以上が支持したということが明らかになった。蓮舫氏に至っては120万票であったわけだから、たとえ負けたとしてもそれらの意見があったということが可視化されたのである。
意見を可視化させるというのが選挙の意味であり、民主主義おいては大事なことだと思う。なので、負けると分かっていて立候補するのは意味がない、とはならないと思う。

4.都知事選で勝つには

私は今回多くの選挙情報に触れ、素人なりに都知事選を知った気になったので、都知事選で勝つ方法を考えてみたい。

4.1.現職を出馬したら諦める

上で示した各番組では、都知事で現職が負けたことがないという情報が必ず紹介された。なので、現職が出馬時点で、その選挙での勝利は諦め、次回以降の選挙で勝つべく、顔を売るために色々な所をまわり、有権者と接触することを目的にするのが良いだろうと思う。

4.2.無党派から支持される

上の支持政党別投票先を見れば分かるように、無党派が一番の票が多い。比肩する可能性があるのは、自民党くらいで、他の党の支持者の票を固めても無党派の30%を得るより小さいのである。
具体的な数字を調べてみると、2024年の都知事選では、
有権者数:1100万人
投票者数:680万人
だった。NHKの上記表によると、680万人の48%は無党派であるから、326万人が無党派になる。無党派の30%から票を得るだけでも108万以上の票になる。勿論、30%では都知事になれないので、40%以上の無党派から支持され、130万以上の票は得たい。

4.3.自民党の票を得る

無党派には及ばないが、自民党支持者の数は多い。その支持者から票を得ることが都知事になれるか否かの鍵を握る。
21世紀になってからの東京都知事は石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏、舛添要一氏、小池百合子氏であり、全員なんらかの形で自民の票を得ていた。今回は小池氏が自民党の票を固めた。2016年は自民党が増田寛也氏を推薦したが、小池氏を支持する造反が生まれ、保守票は割れ、結果、小池百合子が圧勝した。
選挙に勝つうえで、自民党支持者の数は無視できない。であれば、自民党から推薦を得られなくても、自民票を割るような選挙戦を仕掛けなければ、都知事選には勝てないだろう。
過去、野党が鳥越俊太郎氏や宇都宮健児氏を候補として立てていたが、そもそも自民票を割る動きをしなければ勝てないのである。選挙結果に影響を及ぼすのは野党が固まることよりも、自民を切り崩すことなのである。

次回の都知事選は、現職が出馬しなければ、無党派と自民票を得た候補が都知事になるだろう。



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